山高昭のレビュー一覧
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若き天才科学者が発見する究極の理論。『星を継ぐもの』のホーガンによる、科学者の夢を描いたハードSF。
「科学の力って すげー!」
某ゲームに毎回登場するというセリフを、架空の理論によって巧みに実感させるホーガンの面目躍如たる一作。
組織での軋轢のなかで苦闘する前半から、世界の政治情勢を一変させるという大きな話に広がっていく後半まで、一貫して描かれるのはホーガン流の創作理論と科学者としての矜持を持つキャラクターの魅力。そして「こうきたか……!」と唸らせるセンス・オブ・ワンダーなラスト。創世記ってそういうことか!やっぱホーガンってすげぇな、とハードSFの面白さを再認識。K理論の内容についてのわ -
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時は2028年。コンピュータと人間の未来を探るべく、宇宙ステーションにて壮大なシミュレーションが開始する。
1979年発表、日本では1983年に翻訳された、ホーガンの代表作のひとつ。2022年の今、これを読んでまず思ったのは、当時作者が未来予測的に描いたコンピュータにまつわるデバイスやインフラなどが、かなりの打率で実用化されているなぁということ。スマホやタブレットっぽい情報端末などは言うに及ばず、ほとんどの書類が電子化されていたり、対戦型ネットゲームがあったり、ドローンが現在のイメージまんまで出てきたり。そんな中で、本作が掲げる人工知能の進化と人間との共存というようなテーマは古典的ではあるけ -
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宇宙エレベーター(軌道エレベーター)建設の実現を目指す技術者の壮大なSFロマン。
21世紀に入って実現の可能性が高まっているらしい、軌道エレベーター建設を1979年に描いた小説。全体の構成としては「プロジェクトX」風とどなたかが書いていた通りの感じ。不可能を可能にしていく建設への積み重ねと、現地スリランカの架空歴史ロマンや、地球外知的生命体との接触もからめて物語は進んでいく。ハードSFとして技術的な話も多く、中盤まで起伏がやや緩やかな展開に感じたが、未知の事象に向かっていくセンス・オブ・ワンダーは健在。アクシデントが続く終盤のスリルと緊張感には映画のような迫力があってのめり込んだ。圧巻の結末に -
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量子物理学ではないK物理という概念のもと、粒子のスピンが止まると、物質は見えなくなり消滅し、また動き始めると見えるようになる。有から無が生じ、逆に無から有が生じるという理論を作り上げたクリフォード。しかしACREという、国の軍事に関わる研究機関であったため、理論/基礎研究の意味合いが理解されず、実用性がないと一蹴される。しかし、その理論が正しいことが解ってき始めると、政府の役人はコロッと態度を改めるが、クリフォードは不満しか無く、ACREを辞職してしまう。時を同じくして、応用物理分野のオーブと合流し…。
最初の数十ページかは、「ハードな物理学は苦手だわ…」と思ってしまうのだが、訳もいい加減と -
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人工知能は人間に対して安全なのか、最近でもホーキング博士を始めとして危険と唱える識者の方も少なくない。この問題に対して地球とは隔絶された宇宙ステーションの中で実験を試みるのがこの小説です。人間側の執拗な攻撃に対して人工知能が次第に凶暴さを増してきて熾烈な人間vs人工知能の戦いになるところがハラハラドキドキでとても面白い。最終的には和解して人間の良いパートナーになるといったハッピーエンドで終わるところもまた良し。この戦いの最中、人工知能は一億年に相当する進化を遂げたとある。ヒト亜科として区分される動物が現れたのは、600万年前から500万年前とされていますが、人間はまだ進化が足りないのでしょうか
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A・C・クラークの訃報を知ったのは、ついこの前のような気がする。
そういえば、彼の作品を読んだことがあったっけ?
あったような、なかったような、記憶が非常に曖昧であった。
ならば、この機会にどれか読んでみようと思い立った。
クラーク最初の長編ということで、とりあえずこの作品を手にとってみた。
人類が初めて月へ行くお話である。
アポロ11号が人類最初の有人月着陸を果たしたのが1969年7月。
今さら何を??なお話だし、
この本に登場する宇宙船プロメテウス号の月飛行計画とアポロ計画とではずいぶんと食い違いがある。
読み始めはとても不安だった。
ところが、なかなかどうして2008年現在でもけっこ