山高昭のレビュー一覧
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日経新聞に早川書房社長のコラムの連載があり、その中で著者のクラーク氏のことが触れてあったのを読んだら無性にクラークSFを読みたくなってしまいました。
未読の本書があったので読んでみる。
人類の月着陸船プロジェクトを詳細に描く本作はもちろんアポロ計画より前に発表されながらも実にリアルに描かれた、あり得たかもしれない宇宙計画だ。宇宙へのあこがれや地上の諸問題をほっぽらかしてなぜ宇宙へ行くのかといった観点を正面から描き清々しい。第二次対戦をのりこえて世界がむかうべき道が宇宙に広がっているとか、成層圏の外側に国境はないとか、今読めば赤面するくらい真っ直ぐに描く。月へ向かう多段式ロケットは原子力エンジ -
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宇宙エレベーター建設をめぐるハードSFでありながらも、宗教や異星人とのファーストコンタクト、架空歴史ものの要素も盛り込まれた作品。
宇宙エレベーターの建設への理想的な場所が、3000年の歴史を持つ寺院が建つ霊山の山頂。ここで描かれる宗教と科学の対立。思索的な部分や抽象的な話が多くて、前半はかなり苦戦しました。なんとなく読み進めていたらいつの間にか、具体的な建設の話に移ってしまっていた印象で、自分の読み込みが追い付けなかったのがもったいない……
一方で宇宙エレベーターの描写や、異星人とのファーストコンタクトの歴史が語られる場面の壮大さがよかった。人間の技術では測れない異星人との出会いが人類に -
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【由来】
・もちろん、出た時から知ってるし宇宙エレベーターだし。ハヤカワの電子書籍50%オフと、それで購入したSF2000レビュー本がトリガー。
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・面白かった。大体が一人の男が宇宙エレベーターをつくるのに打ち込むストーリーだが、最後が想像されるような大団円じゃない。ある意味、それを上回る未来讃歌。
・宇宙エレベーターは銀河英雄伝説だったり最近はGのレコンギスタ辺りで出てくるが、SFとしては本書が最初。しかも実際は宇宙工学や物理学の世界で最初のアイディアは提唱されたらしい。それを自分のものにして、ここまでのストーリーをつくる。しかも、細部の -
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タイトルからすると、新しい世界をつくる機械、新しい世の中を作る機械、という感じがするので機械が主人公なのかと思った。
ところがそうではなく、未来の地球での科学者のお話である。
K理論という、わたしには理解もつかない難しい理論をうちたてた科学者と、それを実現化する装置を完成させた科学者は、その当時の社会情勢が交戦モードになっていることに違和感を覚え、政府機関での研究をやめてしまう。
ある自由機関で彼らの研究を行っていくが、政府が彼らに圧力をかけ始め、結局は政府からお金を引き出させて研究を続けることになる。
最終的に主人公のクリフォード博士が作り上げた装置は、衛星からピンポイントで爆撃できる -
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2061年、それはハレー彗星が地球に最接近する年。医学の進歩により100歳を過ぎてなお矍鑠としたヘイウッド・フロイド博士は、ハレー彗星に着陸調査する宇宙船に賓客として招待され、未知の世界を楽しんでいた。しかし、そんな楽しい旅の途中で彼が接したのは、孫に当たるフロイド宇宙飛行士が搭乗する宇宙船が「禁断の星」エウロパに不時着したという知らせだった。自力でエウロパから脱出する術をもたない宇宙船を救うために、フロイド博士が採った奇策とは?
あの歴史的名作「2001年宇宙の旅」、その続編「2010年宇宙の旅」に繋がる"Space Odessey"シリーズの1作。シリーズのお約束とし -
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良かった。これこそ、クラーク作品だと思う。実はこれを読むのは2回目なんだけれど、それでも良かった。2001年宇宙の旅、2010年宇宙の旅と続いているシリーズもののような作品群なんだが、3つの中では特に2061年がよい。
クラークが好きであるところの、人類より高い知性を持った異星人がテーマとなっているんだが、この高次の知性を「遥かなる地球の歌」でみられるような哲学&宗教的な「神」とするのでもないし、「宇宙のランデヴー」のように隠しきってしまうわけでもない。高次の知性を、もっと人間くさく描いているという感じだ。
高次の知性に憧れるのはよく理解できる。これを第二の神としてあがめる気持ちも理 -
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「神の鉄槌」では幻滅したが、こっちは良かったなぁ。1990年の作品だが、とても良かった。
筋書きは、タイタニック号を引き揚げるという近未来のSF。もちろん、これにまつわるさまざまなドラマが展開される。私には無駄と思える登場人物も沢山いるが、それはそれなりにクラークがいいたいことを代弁させる役割として許してしまえる感じ。
中身は非常にハード。ハードSFと言う言葉が一斉を風靡した頃の流れがここにある。日本では(今はどうしているんだろうか)堀晃氏等がハードSFをよく書いており、私も好きだ。ハードSFって明確な定義は知らないが、要するにひとつふたつの虚構(仮定)を除けば、かなり理論的な展開が -
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人工知能がテーマの傑作
2028年。人工知能がどこまで進化するのかを確かめるため、隔離された環境である宇宙ステーションでの実験が実行に移された。
自分を守るという命題を与えられ、人を攻撃することを強いられる人工知能。やがてその攻撃は実験の想定範囲を超えてしまう。
あわやというとき、人工知能は自身と人の共通性を推論し、一気により高度な知能を開花させる。
登場人物に多少のインフレ感があるものの、無駄のないプロットに加えて序盤から中盤への爆発的なテンションアップ、序盤の伏線をラストで一気に開花させる小気味よさと読むものを飽きさせない。
いやぁ、おもしろい。映画にすればとても絵にな -
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副題:PRELUDE TO SPACE
著者:アーサー・C・クラーク/山高昭訳
出版:早川書房
価格:480
初版:1992-3-31
クラークの近未来小説。月への人類初の旅について語る処女長編。1947年に書かれた作品。
歴史学者であるダークの目からみた、はじめての月旅行までの道のりが題材。ストーリー性から言えば、同じアーサーのヘイリーなら、もっとうまく小説にしただろうと思われる部分(最後に反対派が破壊工作に来る部分など)が非常に多くあるが、初期のクラークの作品という事で
許してしまおう。最後のエピローグでは、ダーク(これはどうしてもダーク・サイド・オブ・ザ・ムーンを連想してしま