マイケル・フィンケルのレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ20歳で突如、仕事も行かずに車でどこかへ行き、そのまま森の中へ入り27年間も誰とも会わずに暮らした、トーマス・ナイトのノンフィクション作品です。
サバイバル術のような内容ではなく、トーマス・ナイトがどうしてこのような行動を行ったのか、そして発見された後の彼がどのように生きていくのか、という点にフォーカスされています。
終盤、ずっと心を閉ざしていたナイトが、著者に心を開き、森の貴婦人(死)に会いに行く計画を考えていると伝えます。その後、「何かを手放さなくてはならない。そうしないと、何かが壊れてしまう」と言い涙を流すナイトとともに、僕も涙腺が崩壊しました。
社会の中で表面上取り繕って生きるこ -
Posted by ブクログ
クリストファー・ナイトという人間の人生。
年は20歳だった。
家族も、仕事も、新車も後にしてナイトは世捨て人になった。
ひと張りのテントと、バックパックだけを持って。
それから27年間、生活に必要なものは不法侵入と窃盗によって入手しながら、ナイトは生き抜いた。
この生き方に対しての肯定否定に意味はない。
なぜ孤独の道を彼は選んだのだろう?
本書が書かれた時点では、その答えに本人も到達していないようだ。
過去には多くの人が隠者となる道を選んだ。
それは宗教上の儀式であったり、実験であったり、厭世的なものもあった。
数ヶ月のうちに精神を病み、自殺した者。
偶然自分に隠者としての適正がある -
Posted by ブクログ
【さよなら,世界】ある日ふと思い立ち,そこから27年の長きにわたって森の中で孤独に暮らしたクリストファー・ナイト。ある事件をきっかけとして逮捕された彼が語る,孤独を求めた理由と生活の様子とは......。著者は,自身も孤独を好む傾向にあると語るジャーナリストのマイケル・フィンケル。訳者は,英米文学の翻訳を多く手がける宇丹貴代実。原題は,『The Stranger in the Woods: The Extraordinary Story of the Last True Hermit』。
想像を超えた物語でありながら,同時に誰しもに考えを促す物語であったように思います。人間社会の「煩わしさ」 -
-
Posted by ブクログ
本書の主役でもあるクリストファー・トーマス・ナイトは、20歳のときから27年間、ほぼだれとも会わず、アメリカのメイン州の森にひとりきりで暮らしていた。しかし、仙人生活のようなサバイバル本ではなく、彼は近隣のキャンプ施設や別荘に不法侵入して、生活必需品を繰り返し盗んで生活していたのだという。その盗品は高価なものではなく、ささやかなものではあったというが、当然ながら評価は分かれる。単なる泥棒ホームレスではあるが。
題材が既に面白い。孤独を愛する人間の精神性、どうしてそんな暮らしを始めたのかという経緯も興味深いし、どのように生活していたのかという点にも好奇心が沸く。『ウォールデン 森の生活』という -
-
Posted by ブクログ
アメリカ合衆国メイン州の森で27年間、誰とも会わず一人で暮らした男のお話し。
彼が暮らしていた森の周辺は別荘地で、食料品や生活用品を調達するため不法侵入を繰り返していた。付近の住民からは森の隠者と呼ばれ半ば都市伝説化していたのだが、ついに地元の猟区管理官に捕らえられてしまう。
冬は氷点下30℃近くにもなる野外で、27年間も一人で生活するなんて常軌を逸しているように見えるが、社会生活や人間関係のわずらわしさから逃れて、十分幸せな暮らしだったのだと思う。作品中の印象的な一節を記しておきたい。
「あらゆる願望の成就ではなく、願望の排除によって人は自由となる」
「人は悟れば悟るほど、悟るべき事が -
-