WOWOWは一年間で56万人もの新規会員登録が合っても5000人しかユニークで残らない。
新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持(リテンション)に比べて5倍もコストがかかる。
1996年、スカパー!の参入で加入者数を競争する形となり、各社◯ヶ月無料!やいまなら〇〇がもらえるなどの販促施策を打ち出し
...続きを読むていった。
しかし、無料期間が終わると解約され、結局本来得られる料金が得られなく成るだけだった。
代理店(家電量販店)にも〇〇件以上獲得してくれたら手数料増やします、という施策も、結局代理店が「◯◯ヶ月だけ見て解約でも良いので」というトークで加入者が増えただけで、優良顧客は増えず、無料なら入るというだけの人しか増えず、大量加入大量解約は止められなかった。
◯加入者数を減らした2つの要因
①値引きやプレゼントに頼ると、売れ行きが鈍ったときに更に大きな値引きやプレゼントにいきがちだが、それでは優良顧客の獲得にはつながらない、むしろ、販管費だけ拡大し、微妙な顧客の拡大になる
→本来顧客に提供すべきでない施策での販促になり、結果解約になった。
②営業ルートの整備が遅かった。
当時、放送のデジタル化という外的環境で、デジタルでの加入はTVの内蔵カード番号が必要なため、代理店の場で契約が完了しなかった。そのため、WOWOW直販のルート整備は急務だったが、代理店に恩義があり、またこれまで出来ていたため簡単には変わらなかった。
◯解約防止にコストを割いたほうが圧倒的に良かった
例えば、2007年の月間平均解約者数は46,000件。月額2300円だったので、この解約者たちが平均1ヶ月伸びるだけでも1億580万の売上アップになる。
一方で、46,000件の新規顧客の獲得をするには1億580万円では足りない。
単純な経済合理性の基にリテンションマーケティングを提案した。
番組ごとの気持ちデータベースと解約理由をもとに、62のグループ分けされ、どれに当てはまっているかを特定し、そのグループの顧客に効果の高い順に並べられた対応が電話オペレーターのPCに表示されるようになる。
例えば、その人が好きな「気持ち」に合う番組(盛り上がる系が好きな人に盛り上がる番組)を勧めたり、
忙しくて見れない人にはデジタルデバイスで見られるオンデマンドや録画機能のレコメンドをするなど。
例えば、60代の男性が赤穂浪士がきっかけで入った男性に時代劇を勧めるのではなく、
「なぜ赤穂浪士が好きか、どんな雰囲気が好きですか」
→「男気溢れるやつ」
→「男気溢れるのが好きなら、ロッキーシリーズもやってるけど、ご覧になりませんか?」
→「良いね!見てみたい」
でリテンションに成功するなど、レコメンドの精度を上げられる仕組み作りをしている。
その上で、WOWOWの場合、優良顧客(長期顧客)になりやすい共通項は
「一世帯内で複数人数が視聴してて、複数ジャンルで視聴していること」だった。
その中でも、複数ジャンルを見ていることが一番大きな要因だったため、複数ジャンルを視聴してもらうような施策がスタート。
例えば、サッカーが好きで加入した若い世代の人たちには、サッカーシーズンが終了する前に、映画作品を見てもらえるように、映画の魅力が伝わるDMを送付するなどをする事で解約率が30%下がった。
☆コメダ珈琲の例☆
コメダは店舗数でスタバ、ドトールについで、店舗数3位、レジ前で購入して受け取るセルフサービス型のスタバやドトールとは違い、フルサービス型ではトップチェーン、その中で毎年店舗数と売り上げを伸ばし、2018年では営業利益率25%
繁華街ではなく、郊外に広めの駐車場を設置して、運転技術の低い女性でも出入りしやすい店構えで、
くつろげる事をモットーに新聞や雑誌なども読めるようにし、1テーブルずつ仕切りを設けている。
その結果、一度きた顧客が優良顧客化し、80〜90%が常連客。
☆歯科クリニックの例☆
患者の60%が長期リピート顧客である歯科クリニック
痛みが無くなると診療途中でも来院しなくなり、再発を招いていた現状を変えるべく、
歯が健康で無いと人生にどのようなマイナスがあるか、予防をする事で将来に渡る治療費をどれほど減らせるかなどを受付のスタッフなどが説明する事で、継続的に定期健診を受けることが可能に。
→優良顧客を獲得するには、
自分たちが提供できる価値を明確に示すことが重要。