田中均のレビュー一覧
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[自負故に]日米経済交渉や普天間基地問題、そして総理訪朝までの北朝鮮との水面下でのやり取りなど、数々の交渉の現場を担ってきた著者による、「本質」を捉えるための交渉論。ご自身のエピソードを紹介しながら、交渉を結果に導くために必要な要素が紹介されています。著者は、現役を退かれた後も積極的に外交に関する発信を続けている田中均。
著者が外交官だったこともあり、主に国家対国家の交渉が想定されていますが、9つに分けて紹介される交渉の要諦はその関係にとどまらず、ありとあらゆる交渉について視程に収めた有益なものだと思います。また、実際の外交交渉というものが(ここで紹介されているものは特殊なケースかもしれま -
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別の近著を読もうと思っていたのだが、たまたまこっちを本屋で見つけた。組織人としての則を守りながら組織の枠を超えた仕事をしようとする姿勢・苦悩に学ぶところあり。この人がバッシングされてしまった訳も少しわかるような感じはするが、それだけ突出した仕事ぶりであったのだろう。
交渉の基本的要素
「確信」
交渉を始める前に達成すべき利益に確信を持たないと相手を説得はできない。相手の利益についても確信を持つべし。
「インテリジェンス」
交渉相手の組織について情報を集め評価する。また交渉相手の個人的立場についても。
「信頼性」
交渉相手が相手組織の首脳部を説得できるか。特定の課題を与えてチェックするこ -
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ネットの文字や動画で見えてる表面的な出来事だけを捉えて一喜一憂する人達。韓流ドラマを観ながらも反日感情からくる嫌韓意識にさいなまれ、中国の強行的な体制を批判しながら、中華料理をおいしく食べて、中国製品に囲まれながら生活している。
過去に国家間で実在した様々な出来事が残したものは、外交的に表面に現れるものだけでなく、人々(被害を受けた側)の心の中に深く刻まれる。それは子供、孫へと引き継がれていく。
その過程も月日の経過により物語化されて変わっていく。
それを外交に利用しようとする人も、何も知らず無知に反応する人も、いずれも怖い。さらに煽るマスコミに評論家、コメンテーター。
真実を全く誤りな -
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ネタバレ著者は日朝首脳会談で有名となった外交官の方。
交渉力を身につけるための本、というよりは、氏の業績を述べた本といった感じ。交渉力を体系的に学ぶ、というのには向いてないだろうが、外交官の方がどんな仕事をしているか、というのがわかり、一読の価値がありました。
交渉をうまくやるためには、バスケットの中にたくさんの課題を持ち込めば持ち込むほどやりやすくなる、一方的に自分の要求を主張するだけでは交渉ではない、というのは確かにそうですね。交渉の基本だと思います。仕事でも交渉する場面はよくありますが、交渉の枠組み、相手側へ与える利益等、交渉の枠組みを考え、作戦を練ってから交渉に挑むべきだな、と思いました。 -
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日朝国交正常化交渉にあたった元外交官だった筆者による交渉論が本書のテーマ。
交渉では、双方の利益となる目的の設定とそこに至るための交渉者の確信がまず必要。
筆者は、双方の利益を大きくするための大きな絵をまず提示するように心がけている。「大きな絵=複数の論点を含んだ提案」と私は認識した。つまり、譲れる点と譲れない点、または重視している点とさほど重視しない点を見極めて、双方の価値が最も大きな案を描くことが必要だということ。
これは、『交渉の達人』で述べられていた「価値の創造」とほぼ同意だろう。「価値の創造」も交渉における当事者双方の価値のパイを大きくさせて、価値要求だけではなく、双方のWin-W -
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外交官である著者が外交交渉で得た交渉テクニックを書いた本。
以下は要点。
交渉に当たり「これは本当に自分の利益か」と問いかける。自分が納得しなければ、良い交渉はできない。
交渉は「共通の利益が作れるか」が大切。
相手の利益が何か考えよ。
綿密な情報収集が必要。
交渉を呼びかけた方が利益を得たいという意思表示。
自分のトップと同じ考えだと交渉相手に思われないといけない。
相手の話をとことん聞いてやる。
自分が何をできるのか、できないか早めに相手に示した方が良い。
交渉でリスクをとらないと前進しない。
交渉シナリオを考えておけ。
交渉において譲れない点を明示せよ。
迫られたから言うではなくて、自ら