大原富枝のレビュー一覧

  • 婉という女・正妻
    江戸時代の学者、野中兼山の娘と妻の話。女性は、強くはなくとも、堪えることの上手な生き物だ。古い時代の情景が浮かぶような描写。婉の風変わりな姿が印象に残る。
  • 婉という女・正妻
    「婉という女」では、与えられた境遇の中でじっと耐えることしかできず、己を抑えて生きることしかできなかった女 婉(えん)が、幽閉が解かれたことをきっかけに「生きよう」と決心し、自分の人生を築いていきくお話。ここに登場する女性は強いです。「正妻」は、兼山の妻市(いち)が主人公。正妻でありながら、夫婦の交...続きを読む
  • アブラハムの幕舎
    弱者の魂の漂流と「イエスの箱舟」の存在感。20代後半にもなって「母親が煩く逃れられない」と縷々述べられてもなぁ、と思うのは強者の視点と責められるか。しかし、追い詰められるからこその祈りにかける衝動は胸に迫る。貧相な「幕舎」の設えに「引くわ〜」とはならないわけで。弱者と強者の対立ではなく、共存にして孤...続きを読む
  • アブラハムの幕舎
    母親に忖度する癖が、骨の髄まで染み渡っており
    自分自身の人生を生きている実感がなかった
    自分の考えを通そうとして、勝手なことするなと怒られるのが怖いんだ
    それで、人間関係が上手くいかず
    いい歳なのに結婚もできない
    良識にもたれかかって、自分では世故長けたつもりでいる母親に
    言いたいことは山ほどある
    ...続きを読む
  • アブラハムの幕舎
    千葉にある母の病院へ行くのに、新宿から黄色い車体の総武線各駅停車に乗った。もっとも速く、到着地へ着くという経路を選ぶことが億劫になったからだ。各駅で行くという考えが心をスローダウンさせてくれる。

    総武線の中で読みさしの林真理子の「花」を読みはじめた。芸者の祖母と、母、そしてキャリヤウーマンという女...続きを読む