宇多喜代子のレビュー一覧

  • NHK俳句 暦と暮らす 語り継ぎたい季語と知恵

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    歳時記の季語を手がかりに、四季の移ろいにあわせた日本人の暮らしと風土を描く。春は立春、蜆、薄氷、草餅。夏は蛙、燕、青梅、夏座敷。秋は籠枕、重陽、秋袷、柿。冬は鵙、障子、懐炉、春着。なじみのある季語もなじみのない季語も、それぞれに例句があり著者の思い出が添えられ、当時の暮らしがありありと目に浮かぶ。俳句を味わう本であると同時に、貴重な生活の記録である。
    「あたたかや蜆ふえたる裏の川」「指一つにて薄氷の池動く」「てのひらに昔がありぬ草の餅」「来ることの嬉しき燕来たりけり」「夜天より梯子降り来て梅を干す」「遠き日の風ぬけてゆく夏座敷」「手の届くかぎりに置きて籠枕」「重陽や海の青きを見に登る」「秋袷早

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    2025年04月20日
  • ひとたばの手紙から 戦火を見つめた俳人たち

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    戦中とその時代の俳壇を追体験させられる。時代に煽られ奔走させられ、俳人おのおのがおのおのの形で戦争に関わっていたんだな、ということが見えてくる。悲しいかな今の時代と重なる。

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    2025年07月30日
  • NHK俳句 厨に暮らす 語り継ぎたい台所の季語

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    俳人の宇多喜代子が、旬の食材とそれにまつわる句、思い出をつづったエッセーである。食材は、菜の花や新茶、鰹、冷奴など身近なものばかり。それらが俳句とともい紹介されると、さまざまな記憶がよみがえってくるから不思議だ。「たらちねのつまめばゆがむ草の餅」(川端茅舎)「歳月やふっくらとこの豆ごはん」(坪内稔典)「長兄は二歳の仏栗ごはん」(成田千空)「新米の其一粒の光かな」(高濱虚子)「沢庵や家の掟の塩加減」(高濱虚子)「目刺焼いて友らを酔はす座に妻も」(森川暁水)
    冒頭に、宇多喜代子と小林聡美の対談がある。舞台となった「昭和のくらし博物館」にも行ってみたい。

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    2025年05月05日
  • NHK俳句 暦と暮らす 語り継ぎたい季語と知恵

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    ネタバレ

     昭和の暮らし:電気に頼らない時代、PCでなく自力で情報収集した時代、脚で移動した時代、農事その他の作業に手足を使っていた時代。生活はまことに不便だったけど、不幸ではなかった。宇多喜代子「暦と暮らす」、2020.4発行。①立春の今日あれをしてこれをして(喜代子)②夕暮は人に近づく夏つばめ(大井雅人)③小鳥来て午後の紅茶のほしきころ(富安風生)④しづかなるいちにちなりし障子かな(長谷川素逝)⑤年始にも老の一徹見られけり(高浜虚子)

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    2023年11月14日