あらすじ
俳句「歳時記」の豊かな季語の世界と、暦をよすがとして人々が積み上げた「昭和の暮らし」の思い出を、名句や季語の魅力と合わせてやさしく語る。「便利な電化製品がなく、多くを手でこなすという生活は、まことに不便でしたが、不幸ではありませんでした」(宇多喜代子)。立春から大寒まで、暦に暮らし、俳句に親しみ、先人の知恵に生きる喜びがここに!
俳優・小林聡美さんもご推薦!
「宇多さんから「昭和」のバトンを繋ごう!」
写真提供:武藤盈『写真で綴る昭和30年代 農山村の暮らし』(農文協)
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Posted by ブクログ
歳時記の季語を手がかりに、四季の移ろいにあわせた日本人の暮らしと風土を描く。春は立春、蜆、薄氷、草餅。夏は蛙、燕、青梅、夏座敷。秋は籠枕、重陽、秋袷、柿。冬は鵙、障子、懐炉、春着。なじみのある季語もなじみのない季語も、それぞれに例句があり著者の思い出が添えられ、当時の暮らしがありありと目に浮かぶ。俳句を味わう本であると同時に、貴重な生活の記録である。
「あたたかや蜆ふえたる裏の川」「指一つにて薄氷の池動く」「てのひらに昔がありぬ草の餅」「来ることの嬉しき燕来たりけり」「夜天より梯子降り来て梅を干す」「遠き日の風ぬけてゆく夏座敷」「手の届くかぎりに置きて籠枕」「重陽や海の青きを見に登る」「秋袷早々たまふ灯火かな」「柿色の日本の日暮柿食へば」「汐風の中より鵙の高音かな」「朝やけも夕やけも映る障子かな」「使い捨て懐炉死ねば即座に剥がさるる」「膝に来て模様に満ちて春着の子」「親と子の親獅子子獅子初芝居」