清田隆之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
様々な場所で書かれた文章をまとめたエッセイ集。
とても面白かった。
過度に性的な誇張をされた図画を公共の場で掲出することへの批判に対して、一部男性からの異常なまでの反発具合を、男性の側からおい待て待て、それは男性の自己評価(女性とは違って)「理論的」「理知的」「道徳的」な態度からは離れすぎてやしませんか、ていうかそもそもお前らは批判の対象ですらないよ、と諭している。
気付かないでいられる、無頓着で鈍感でいられる立場の男性、というくだりに、新井素子のSF小説『もいちどあなたにあいたいな』に出てきた「卑怯階級」という言葉を思い出した。
とても面白かったけど、これを読んでもらいたい男性こそは -
Posted by ブクログ
最新作が不発という口コミもあり、あまり期待していなかったがなかなかに鋭い本。「さよなら」という言葉(一から、改めてという意味を含む)からの出発も素敵だった。
being doingの言葉遊びはピンとこないところはあるが、ただ「いること(存在すること)」の大切さはいくら言っても言いすぎることはない。
本書を見てしこりが残るのは、なぜ清田さんは「ウォーク」できたのか?最近そのことを考えていて、清田さんの場合、過去の開陳がすごいと思うのだが、聞いても聞いてもあまりピンときておらず、それはある意味でどんな男性だってウォークできるのではないかという希望なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
不思議な感じのする文章だ。常に自己を省みながら、周囲に目を配りながら書かれる文章はミソジニーや家父長制の感触とは無縁。断定的ではなく、叩くとやんわりと跳ね返って来るような…従来の男性的・女性的の二元論的には捉えきれない不思議な感覚がある。
「感動」や「ときめき」がこの本のテーマ。
過去に流れ去ってしまう『その一瞬』。感じ続けることの出来ない『その熱い想い』。
そういったことを繰り返し経験し、それでも過去に囚われることなく考え続ける。
そんな些細なことを大切にしている人なのだと思う。
著者は自分のことをフェミニストと呼ばない。
(若しかしたら間違ってるかも)
それは、口で何と言っても自分が男 -
Posted by ブクログ
澁谷知美、清田隆之ご両名と西井開、中村正、平山亮、前川直哉、武田砂鉄それぞれとの対話形式。こういう系統の本を読むの好きだし、ほぼほぼうなずきながら読めるんだけど、一方ではここまで男ってミソクソに言われないといけないのとも思う。
だいたいこういう本を真に受けて品行方正におさまる人はますます品行方正を深めてしまう反面、非難に値するしょうもない男たちはまったくこんな本省みずのうのうと生きることだろう。そういうのってちょっと悔しいな。書いてあることは正論なんだけど、そういうことが通じないんだよね。世代が違って「いまどきの若者は何を考えてるのかわからない」って言うのと同じような感じか。
登場する人々がみ -
Posted by ブクログ
桃山商事という集団のことも作者の清田隆之さんのことも全く知らない。
むしろ上坂あゆ美さんとの対談を見て「苦手かも」って思ってた。だけど対談前に本を買ってしまってたから、半ば「仕方ない」気持ちで読んでみたら面白かった。
フェミニズムとかジェンダーとか、今までいろいろ感情を揺さぶられてきた話題だけど、かといって自らが強い思いで語りたいとも思わないし遠ざけてた。でもこの本では清田さん自身も悩み、迷い、決めかねていることを言語化してあって、とても読みやすかった。エッセイの中に出てくる本を全部読みたくなるような魅力的な言葉で紹介してくれるところも好き。 -
Posted by ブクログ
面白かった!すいすい読めてしまった。
多様性とは言われても、結局マイノリティばかりクローズアップされ、
現状を考える必要に迫られることなく、ぬくぬく疑問も持たずに生活し、
それが普通で当たり前だと信じて疑わない男性たち。
マイノリティに生きづらさを押し付けている根本は
そうした無意識のホモソーシャルな状況が生んでいる。
少数派だけに声を上げさせるのではなく、
双方からの動きがなければ、世界は変わっていかない。
もちろんこれは男性だけの話ではなく、
「常識」に安住しているすべての当事者に関係する話でもある。
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」
「human doing で人を判 -
Posted by ブクログ
ここまで開陳していいんだという本。清田さんの中で1番大切にしていることの一つに弱さを認める、さらけ出すということがあると思うけど、そのことが前面に出ている。読んだ本や作品が多く紹介されていたのも個人的には理解しやすかった。
一方、恋愛において、始まり方や終わり方の分析が他に比べておざなりになっているのでは?と思うところもあった。もちろん、あまり詳細に分析しないことのメリットもあるとは思うのだけれど、もう少しそこは突っ込んで欲しかった。始め方終わり方にも、ジェンダーの問題は多く関わっているのではと思うので
とは言いつつ、最後の「もう恋愛をすることはないと思うけれど」はすごくよかった。恋愛だけ -
Posted by ブクログ
恋バナを聞き集める桃山商事代表の著者が10人の一般男性にインタビューした「ありのまま語り下ろし」本。当初は女性が感じる「男の考えていることがよくわからない」に賛同と理解を示し、企画を立ち上げた様だ。
主に「自分にダメなところがある」「コンプレックスがある」という人たちが登場する。彼らは生い立ちや現状、性格や性癖などを自己分析して自覚し、それをインタビューで自己開示しており、それでも前向きに状況を良くしよう、成長しようと考えて行動して努力している。共感できるもの、リスペクトできるもの、理解できないものもあったが、感情移入しながら読むことができた。
オトコは本能的に、競争とか見栄とか自己顕示と