ジョルジュ・バタイユのレビュー一覧

  • エロティシズム

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    言葉で表すことの難しいエロティシズムを議論の的とした意欲作。

    エロティシズムという感情は禁止の侵犯という宗教や衝動的な暴力と同じ精神的基盤に立つという視点から至極主観的な事象を語っていく。

    この本と他の本との決定的な違いは「議論が完結していない」ということ。
    訳者あとがきでも述べられている通り、多くの問題提起と議論の余地を残したまま議論が進んでいく。

    よって、一度読んで終わりといった本ではなく、この本を契機に様々な本を読んでまたこの本に戻ってくるということを繰り替えすことで読者に考えることの楽しさを知らせてくれる。

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    2013年04月23日
  • エロティシズム

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    読む前から一度読んですんなり理解できるとは思わなかったけど、やっぱり読んでみて明確に理解することはできなかった。『同性愛の経済人類学』という論文を読んで、そこにエロティシズムと労働の関係について書かれていたので、おかげで少しは入って行きやすかったかも。

    先に論じたことを後でも繰り返し述べられているような形になっているので、そのあたりは理解しやすかった。
    あくまでこれは男性視点のエロティシズムだな、というのは感じた。女性のことははなから無視されているような。そこになんとなく違和感があった。確かにエロティシズムという問題を論じるときに、男性主体になるのは仕方ないのかもしれないけど。これが書かれた

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    2010年07月05日
  • エロティシズム

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    ネアンデルタール人に道具、すなわち労働が、埋葬すなわち死が観念として発生し、クロマニヨン人により洞窟壁画などの宗教観念が認められるものが現された。
    根源的に不連続であるインディビジュアルな人間の存在。聖なるもの、エロティシズム、死への経験、供犠などはそこに連続性、無限定性を介入させる。その暴力、不安、そしてそれを緩和させようとする笑い。
    存在を外に投げ出す経験。
    エロティシズムの本質は汚すことだという意味において、美は第一に重要なのだ。

    /禁止に対する侵犯がエロティシズムである。
    禁止と侵犯は相補的関係。/


    糞便、腐敗、生活動
    「私たちの嘔吐感とは空無感なのだ。吐き気で気を失いそうになる

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    2010年04月04日
  • エロティシズム

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    「序論」でまず、この本の目指すところがはっきりとわかる。それから、とても素晴らしい翻訳(酒井健)だと思う。こちらから入って、澁澤訳の同書を読んだほうがいいかな。「エロティシズムとは、死におけるまで生を称えることだと言える」。

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    2011年07月19日
  • 呪われた部分 ──全般経済学試論・蕩尽

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    久しぶりにバタイユの著書を読んだけどやっぱ理解するのに手間取る手間取る。
    バタイユもニーチェと同様、掴み損ねると火傷しそうな思想家。二項対立の図式から抜け出でる手段を常に模索してる感じ。
    本著の主題は経済学における既存の捉え方にコペルニクス的転回を加え、全般経済学という新たな地平を提示すること。
    生産的生活のなかに余剰を通し現れる蕩尽という非生産的消費活動。
    現代の消費主義とも深く共鳴するバタイユの鋭い視点にうなづく点が多い。
    初期イスラム、プロテスタンティズムあたりの分析は複雑すぎてあんま覚えてないけど、面白かった記憶はある。
    人は自分の欲望を大っぴらに語りたくないが、根本的な部分で人は自分

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    2025年02月01日
  • エロティシズム

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    20世紀フランスの作家、思想家であるジョルジュ・バタイユ(1897-1962)の論考、1957年。エロティシズムの究明を通して人間存在の根源を見出そうとする。一般にバタイユの関心は、人間が理性の裂け目において覗かせる非合理性(エロティシズム、死、暴力、狂気、悪、瀆聖、神秘主義など)に向けられているようにみえる。これは、青年期に第一次大戦を経験し、人間を理性的存在として規定する近代の合理主義的人間観の破綻を目の当たりにした世代に共通する傾向であるかもしれない。思想的にはサド、ニーチェ、フロイト、シェストフ、ヘーゲル(コジェーヴ)らの影響を受けているとされる。また、一時的にシュルレアリストや共産主

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    2024年09月18日
  • エロティシズム

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    禁忌に対する侵犯をエロティシズムと定義する事ができ、それは、人間特有である。禁忌とは何か。宗教のような、後天的な規定。しかしまた、それは先天的なものをも含む。先天的なものがあり、かつ、エロティシズムを人間特有とする。さすれば、人間とは、先天的な本能にして、他の霊長類とも差違的な存在なのか。答えは否。だとすれば、次の二択になる。つまり、人間以外の霊長類にもエロティシズムが存在するか、先天的な禁忌というものは存在しないのか。

    そもそも禁忌とは何か。社会を統制し、利益を傾斜するために守らせるべき約束事。また、人民同士が住みやすい社会を構成するためのルール。宗教上のタブーとは、絶対的存在に対する秩序

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    2014年05月31日
  • エロティシズム

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    「エロティシズムとは、死におけるまで生を称えることだと言える。」
    ということを説明している本です。
    エロティシズムというどちらかと言えば人間の暗部について考えぬかれた本です。バタイユさんが60歳で出版されてます。書き上がるまでにおそらく二十年以上かかっているんじゃないでしょうか?

    エロティシズムは死や暴力と関係が深いようです。しかも理性から逃れ去る性質があります。ですからエロティシズムそのものを意識化して言語化するのは不可能みたいです。そういうところをしつこく粘りに粘って書こうとされています。

    考えてみれば性衝動は大脳よりも下位の脳(視床下部とか?)が関与しているところのようですから意識化

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    2013年09月15日
  • エロティシズム

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    数年前に読んだ時は、[聖なるエロティシズム]=神の追求、及び 神への愛との一体化 [芸術様式のエロティシズムと美の境界] の視点で、さらさらと読み済ませていたが…
    その時、私はクンデラを知らなかったのだろうか…。存在の重さ軽さ、連続性と不連続性、生の彼方、死からの出発…

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    2011年08月09日
  • エロティシズム

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    読みやすいです。眼球譚を読んだあとの方がいいかもしれません。私は河出文庫の生田耕作訳を読みましたがそちらも面白かったです。

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    2010年10月04日
  • エロティシズム

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    私が眼球譚でもやもやと感じた事が、
    言葉にされているので、読んでる最中は
    おもしろかったんだけど、
    時間を置いてこの本を思い返すと
    眼球譚のような鮮やかさはない。

    「錯乱」を説明するには、
    論文より詩や小説のほうが適するんだろう。

    ただ非常に興味深かったです。

    芸術活動は労働であるべきではない。


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    2009年10月04日
  • 呪われた部分 ──全般経済学試論・蕩尽

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    本当は「宗教の理論」の方を読みたかったのだけど本屋になくて、たまたま新刊で出てたこちらを勢いで買ってしまった。言い回しが回りくどかったりで内容はよく分からなかったけど、刺激的ではあった。この本が今になって文庫化するのはよく分かる。現代の生産性至上主義に辟易している人が読めば、いくらかスカッとした気分になれると思う。私はスカッとした。

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    2018年02月25日
  • エロティシズム

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    バタイユの珠玉の一冊。エロティシズムの起源を生物学的に定義付け、その後にエロスと禁止、禁止と侵犯、そして宗教との関連について考察する。
    日本では高群逸枝が似たような考察を先んじて行っているが、生物学から演繹して人間の情念を論じるということは近代において避けられてきた部分もある。今日では恋愛感情は自律神経の働きによって分析されているものが最も「科学的」と思われているのだろう。心理学によって実際の行動のパターンは分析されうるものの、それの社会的機能、基盤についての考察においてはこの『エロティシズム』を超える論述は未だお目にかからない。私の勉強不足であるかもしれないが……
    情念論はデカルトあたりを発

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    2012年08月24日
  • エロティシズム

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    エロティシズムの発生メカニズムを、人間社会における動物性や自然的直截性への嫌悪、あるいは惧れという心的な抵抗、すなはち<禁止>という現象と、それをさらに否定すること、すなはち<侵犯>という両者のダイナミズムで以って俯瞰的な説明を施した書。

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    2012年07月15日
  • エロティシズム

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    _専門家_はけっしてエロティシズムのレヴェルにはいない。すべての問題のなかでエロティシズムは、最も神秘的で、最も一般的で、最もかけ離れた問題である。/最高の哲学的な問いはエロティシズムの頂点と一致する。/労働と比較すると侵犯は一つの遊びである。遊びの世界では哲学は解消する。/言葉だけが、限界で、もはや言葉が通用しなくなる至高の瞬間を明示するのである。だが、語る者は、最終的には自分の非力さを告白する。

    エロティシズムとは、人間の意識のなかにあって、人間内部の存在を揺るがすもののことなのである。/タブー〔禁忌〕は冷静さと理性の世界を可能にするが、その大元では恐怖の震えなのだ。/女は男の欲望に対し

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    2012年06月07日
  • エロティシズム

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    飽く迄も常識の概念から逸れる事無く繰り広げられている、エロティシズムの哲学。澁澤氏の方が好ましいと思われる。
    サド侯爵の引用文から、死・殺人とエロスティックを繋げて居るところは評価したい。しかし眼球譚と書いた筈のバタイユの哲学としては、少々期待外れな気もする。
    まだ途中ではあるが。

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    2011年08月06日
  • エロティシズム

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    伊坂幸太郎の『重力ピエロ』で春が必至に読んでいる作品。
    これも授業のために読んだ。
    ジョルジュ・バタイユですらエロオヤジで有名だがそんな彼でもサドのことを冷静に分析していてこっちのほうがサドを知るにはいいと思った。

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    2009年10月07日
  • エロティシズム

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    大学3年のゼミ夏合宿のテーマ本です。人がエロスを感じる原理や、そのルーツなどを考察しています。
    性行為自体が生と死と密接な関係にあり、その生の肯定にあたる。そのため、死を連想するものや、そういった禁忌を超えたところに興奮がある。
    そうやって考えていくと中々怖いものがありますが、これが多くの文化人や学生に影響を与えたのもよくわかります。
    読むのは多分前半だけでも十分だと思います。

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    2009年10月04日