あらすじ
「“全般経済学”とは、生産よりも富の“消費”(つまり“蕩尽”)のほうを、重要な対象とする経済学のことである。」経済合理性の範疇に収まらない蕩尽・祝祭・宗教・エロス・芸術は、人間の喜びの本質が有用性の原理に拠って立つ生産・蓄積過程にあるのではなく、消費・蕩尽にあることを示す。本書は人間が不可避的に内包せざるを得なかった「過剰」を考察の対象にして人間存在の根源に迫り、生を真に充実させるために、蕩尽・神聖・恍惚に代表されるこの「呪われた部分」の再考を鋭く強く促す。意識の「コペルニクス的転回」に賭けたバタイユ作品の新訳。巻末に先駆的重要論文「消費の概念」を収録。
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Posted by ブクログ
久しぶりにバタイユの著書を読んだけどやっぱ理解するのに手間取る手間取る。
バタイユもニーチェと同様、掴み損ねると火傷しそうな思想家。二項対立の図式から抜け出でる手段を常に模索してる感じ。
本著の主題は経済学における既存の捉え方にコペルニクス的転回を加え、全般経済学という新たな地平を提示すること。
生産的生活のなかに余剰を通し現れる蕩尽という非生産的消費活動。
現代の消費主義とも深く共鳴するバタイユの鋭い視点にうなづく点が多い。
初期イスラム、プロテスタンティズムあたりの分析は複雑すぎてあんま覚えてないけど、面白かった記憶はある。
人は自分の欲望を大っぴらに語りたくないが、根本的な部分で人は自分の生命エネルギーを生産し、ゆくゆくは全て発散しようとしてるのではないか。
そこから始まるのが人間の実存そのものな気がする。