高寄尚子のレビュー一覧
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タイトルに、四十九日、とあるくらいだから涙的な作品なんだろうなとは思っていたが、やっぱりじんわり泣けた。人が人を思う気持ちに心が熱くなった。この作者の作品は2冊目だが、前回も似たような感想をもったなぁと思い出した。「人が人を思う気持ち」たぶん、そこが私のツボなんだろうなぁ。他の作品も読んでみたい。
「夢はかなわぬこともある。努力は報われぬこともある。正義は勝つとは限らない。だけどやってみなけりゃわからない。さあ、頑張ろう」
きっと人生には何かが必要だ。
食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作り出す何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが -
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私が読んだ伊吹さんの作品は再生の物語が多い気がする。
この作品も、妻である乙美を亡くした良平とその娘の百合子がどのように生きていくのかを考えて進む物語だ。
突然現れた井本とハルミ。現実にこんなことが起こったら受け入れることは難しいだろう。しかし、こんな2人がもし現実に現れたなら自分の人生も変わっていくのかもしれない、と想像したら楽しくなった。
良平も百合子もこの2人に出逢わなかったら、人生なにも変わらなかっただろう。
乙美が託した想いを繋ぎに来た井本。
井本とハルミの去っていく姿がどちらも気になる。
実際この2人は何者だったのか、と。
ずっとずっと良平と百合子と居て欲しかった。そこが少し残 -
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ネタバレ百合子
三十八歳。五歳のとき、動物園に行った日。父に乙美を紹介された。お弁当を食べようと差し出した重箱をたたき落とした。乙美お母さんを縮めてオッカと呼んでた。
乙美
継母。父との間に子をもうけぬまま、七十一歳でこの世を去った。
熱田良平
百合子の父親。警備の仕事をしていた。釣りに出かける際に乙美が作ったコロッケサンドのソースがしみていて怒鳴りつけ持って行かなかった。
井本幸恵
十九歳。乙美がボランティアで絵手紙を教えていた福祉施設の生徒。乙美から、自分が死んだら、捨てるものとか整理するものがいっぱいあるから片付けとかの面倒を見て欲しいと頼まれていた。
万里子
百合子の産みの親。熱田の先 -
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何気に手に取った本だったが、とても面白かった。
失ってみて、大丈夫がわかることは本当にある。
妻を突然亡くした妻とその娘の再生の話。亡き妻の乙美さんのレシピが深い。多くの恵まれなかった女性達や亡くなった家族にも素晴らしいレシピ、処方箋を残してくれた。愛情に溢れた素晴らしい女性だったんだろうな。
四十九日の宴会も良かった。熱田の姉があまりにひどい物言いで腹ただしかったかったが、ずっと頭が上がらず言い返せなかった熱田もついに言い返せた。これも大きな変化。怒って帰ってしまったと思えた姉だが、最後の展開もほろっとした。これもやはり乙美さん人徳だろう。
他にも、いろいろな展開があって面白かった。他 -
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1年前あたりから私の中ではちょっぴりブームな作者さん。★も良かった初期の作品に行ってみる。
しかし、なんだな、歳を取るとこういう話に弱くて、最初のほうで妻(乙美)に先立たれた熱田が生きる気力もなくした姿を読むと、自分でもそうなってしまうだろうなと心が揺れる。
そこに、亡き妻から頼まれたという日焼けをした黄色い髪の女子(井本)が押しかけて、加えて、夫の不倫から離婚届を置いて家を出て来た娘(百合子)が戻ってきて…と始まる話。
『四十九日には明るくて楽しい大宴会みたいなのができればいいな』という乙美が遺した言葉に従って、井本と彼女が連れてきたブラジル人(ハルミ)にも後押しされ、熱田と百合子はゆるゆ -
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突然亡くなった女性、熱田乙美。
傷心する乙美の夫と、その娘百合子。
百合子にとって乙美は産みの母ではなく、継母であり、「乙母さん(おっかさん)」と呼んで慕っていた。
百合子は夫の不貞問題で東京の家を出て実家で屍のように過ごしていた。
その二人の前に現れた「井本」という金髪ギャルの女の子。乙美の絵葉書教室で世話になった、乙美の四十九日の大宴会のためにやってきたという。
そこから、ブラジル人青年(名前はなく、熱田がハルミと愛称をつけた)も加わり、大宴会への準備を進めていく。
この本、身勝手な大人が多数登場して、途中読むのも憚られるような場面もあった。
でも、ラストへのたたみかけが、さすが伊吹さん -
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お母さんの死から物語は始まります。
乙母さんが亡くなり、その夫は無気力状態。
ある日突然、謎の女性現る!?
頭が黄色のイモちゃん、外国人のハルミがいい味出してるよ。
イモちゃんは、乙母さん(乙美)の四十九日まで家のことを手伝うことに。
乙美が残したレシピ。それは料理だけじゃなく下さい掃除や美容に関すること、生活に必要ないろいろが書かれているレシピ。
乙母さんの夫、そして娘の百合子が四十九日まで、どんどんと変わっていく様子が目に浮かんできて、一気に読みました。
私もこんな素敵なレシピ、欲しいです。
四十九日まで乙美の生きてきた過去が、ちょっと感動しました。