高寄尚子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
何度か涙があふれた。
特に心に残ったのは、百合子と浩之のこと。
浩之が「どっちも選べない」と言う場面は、自分自身のこととも重なってしまって、とても苦しかった。
一度離れた二人が、それぞれにいろいろなことを経験し、最後には浩之が百合子のもとへ、百合子も浩之のもとへ戻っていく。
ただ元に戻ったというより、迷ったり傷ついたりしたあとで、それでももう一度お互いを選んだように感じられたのがよかった。
そして、イモトとハルミの存在。
本当のことはわからないけれど、私はあれが乙美と生まれなかった子だったと思いたい。
熱田さんがずっと抱えていた乙美への想いも、きっと乙美には届いていたんじゃないかなと思う。
大切な人がいなくなっても、その人が残したものや想いは誰かの中に残り、人と人をつないでいく。
悲しくて何度も泣いたけれど、最後にはあたたかく、よかったなと思えたよ。 -
Posted by ブクログ
タイトルに、四十九日、とあるくらいだから涙的な作品なんだろうなとは思っていたが、やっぱりじんわり泣けた。人が人を思う気持ちに心が熱くなった。この作者の作品は2冊目だが、前回も似たような感想をもったなぁと思い出した。「人が人を思う気持ち」たぶん、そこが私のツボなんだろうなぁ。他の作品も読んでみたい。
「夢はかなわぬこともある。努力は報われぬこともある。正義は勝つとは限らない。だけどやってみなけりゃわからない。さあ、頑張ろう」
きっと人生には何かが必要だ。
食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作り出す何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが。
-
Posted by ブクログ
私が読んだ伊吹さんの作品は再生の物語が多い気がする。
この作品も、妻である乙美を亡くした良平とその娘の百合子がどのように生きていくのかを考えて進む物語だ。
突然現れた井本とハルミ。現実にこんなことが起こったら受け入れることは難しいだろう。しかし、こんな2人がもし現実に現れたなら自分の人生も変わっていくのかもしれない、と想像したら楽しくなった。
良平も百合子もこの2人に出逢わなかったら、人生なにも変わらなかっただろう。
乙美が託した想いを繋ぎに来た井本。
井本とハルミの去っていく姿がどちらも気になる。
実際この2人は何者だったのか、と。
ずっとずっと良平と百合子と居て欲しかった。そこが少し残念。
井本が去って行った時の良平の気持ちが切なかった。
良平と百合子を取り巻く親族にも腹が立ったり、共感したりと色んな気持ちにさせられたところを思えば、なかなか面白い作品だったと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ百合子
三十八歳。五歳のとき、動物園に行った日。父に乙美を紹介された。お弁当を食べようと差し出した重箱をたたき落とした。乙美お母さんを縮めてオッカと呼んでた。
乙美
継母。父との間に子をもうけぬまま、七十一歳でこの世を去った。
熱田良平
百合子の父親。警備の仕事をしていた。釣りに出かける際に乙美が作ったコロッケサンドのソースがしみていて怒鳴りつけ持って行かなかった。
井本幸恵
十九歳。乙美がボランティアで絵手紙を教えていた福祉施設の生徒。乙美から、自分が死んだら、捨てるものとか整理するものがいっぱいあるから片付けとかの面倒を見て欲しいと頼まれていた。
万里子
百合子の産みの親。熱田の先妻。百合子が二歳の時に病死。
浩之
百合子の夫。都内で進学塾を経営。進学塾の事務をしている女と浮気している。
珠子
熱田の実姉。
笹原亜由美
浩之が経営する進学塾の事務員。浩之の子を妊娠した。
美保
浩之の妹。
カルロス・矢部
自動車関連会社の工場で働いていた日系ブラジル人。ハルミと呼ばれている。
カイト
亜由美の息子。
聡美
「リボンハウス」の元園長。乙美が独自時代に働いていた病院の同僚でもある。 -
Posted by ブクログ
何気に手に取った本だったが、とても面白かった。
失ってみて、大丈夫がわかることは本当にある。
妻を突然亡くした妻とその娘の再生の話。亡き妻の乙美さんのレシピが深い。多くの恵まれなかった女性達や亡くなった家族にも素晴らしいレシピ、処方箋を残してくれた。愛情に溢れた素晴らしい女性だったんだろうな。
四十九日の宴会も良かった。熱田の姉があまりにひどい物言いで腹ただしかったかったが、ずっと頭が上がらず言い返せなかった熱田もついに言い返せた。これも大きな変化。怒って帰ってしまったと思えた姉だが、最後の展開もほろっとした。これもやはり乙美さん人徳だろう。
他にも、いろいろな展開があって面白かった。他の伊吹さんの作品を読むのも楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
1年前あたりから私の中ではちょっぴりブームな作者さん。★も良かった初期の作品に行ってみる。
しかし、なんだな、歳を取るとこういう話に弱くて、最初のほうで妻(乙美)に先立たれた熱田が生きる気力もなくした姿を読むと、自分でもそうなってしまうだろうなと心が揺れる。
そこに、亡き妻から頼まれたという日焼けをした黄色い髪の女子(井本)が押しかけて、加えて、夫の不倫から離婚届を置いて家を出て来た娘(百合子)が戻ってきて…と始まる話。
『四十九日には明るくて楽しい大宴会みたいなのができればいいな』という乙美が遺した言葉に従って、井本と彼女が連れてきたブラジル人(ハルミ)にも後押しされ、熱田と百合子はゆるゆると動き出す。
乙美の生涯を綴る年表づくりの中で語られる熱田と乙美の、乙美と百合子の、それぞれの記憶のひとつひとつに、夫婦の愛、親子の愛について考えさせられ身に沁みる。
福祉施設でボランティアだった乙美に教えられたという井本やハルミの行動と、その仲間の人々の心情に、人としての情の深さを感じいる。
見合い話を断られて押しかけてきた乙美が熱田との出会いである夏祭りの豚まんの話を語る場面がとてもあたたかい。
四十九日の宴会に美佳がコロッケサンドを持ってきた場面は、冒頭の弁当の話につながって、通勤電車の中で読んでいたが、泣けてきて困った。(毎日早起きしてお弁当を作ってくれている配偶者に感謝)
井本とハルミの存在がファンタジーのように語られる終い方も話の落ち着け方としては良かった。
百合子の夫(浩之)と相手(亜由美)には我慢ならず、関わらなければよいのにとずっと思っていたので、よりが戻って良さげに終わったのが唯一不満。
物語としてはああ締めざるを得ないのかもしれないが、女癖ってのは簡単には直らないと思うぞ。