高寄尚子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1年前あたりから私の中ではちょっぴりブームな作者さん。★も良かった初期の作品に行ってみる。
しかし、なんだな、歳を取るとこういう話に弱くて、最初のほうで妻(乙美)に先立たれた熱田が生きる気力もなくした姿を読むと、自分でもそうなってしまうだろうなと心が揺れる。
そこに、亡き妻から頼まれたという日焼けをした黄色い髪の女子(井本)が押しかけて、加えて、夫の不倫から離婚届を置いて家を出て来た娘(百合子)が戻ってきて…と始まる話。
『四十九日には明るくて楽しい大宴会みたいなのができればいいな』という乙美が遺した言葉に従って、井本と彼女が連れてきたブラジル人(ハルミ)にも後押しされ、熱田と百合子はゆるゆると動き出す。
乙美の生涯を綴る年表づくりの中で語られる熱田と乙美の、乙美と百合子の、それぞれの記憶のひとつひとつに、夫婦の愛、親子の愛について考えさせられ身に沁みる。
福祉施設でボランティアだった乙美に教えられたという井本やハルミの行動と、その仲間の人々の心情に、人としての情の深さを感じいる。
見合い話を断られて押しかけてきた乙美が熱田との出会いである夏祭りの豚まんの話を語る場面がとてもあたたかい。
四十九日の宴会に美佳がコロッケサンドを持ってきた場面は、冒頭の弁当の話につながって、通勤電車の中で読んでいたが、泣けてきて困った。(毎日早起きしてお弁当を作ってくれている配偶者に感謝)
井本とハルミの存在がファンタジーのように語られる終い方も話の落ち着け方としては良かった。
百合子の夫(浩之)と相手(亜由美)には我慢ならず、関わらなければよいのにとずっと思っていたので、よりが戻って良さげに終わったのが唯一不満。
物語としてはああ締めざるを得ないのかもしれないが、女癖ってのは簡単には直らないと思うぞ。 -
Posted by ブクログ
突然亡くなった女性、熱田乙美。
傷心する乙美の夫と、その娘百合子。
百合子にとって乙美は産みの母ではなく、継母であり、「乙母さん(おっかさん)」と呼んで慕っていた。
百合子は夫の不貞問題で東京の家を出て実家で屍のように過ごしていた。
その二人の前に現れた「井本」という金髪ギャルの女の子。乙美の絵葉書教室で世話になった、乙美の四十九日の大宴会のためにやってきたという。
そこから、ブラジル人青年(名前はなく、熱田がハルミと愛称をつけた)も加わり、大宴会への準備を進めていく。
この本、身勝手な大人が多数登場して、途中読むのも憚られるような場面もあった。
でも、ラストへのたたみかけが、さすが伊吹さん!
私も、井本は乙美で、ハルミは産まれられなかった子だと思った。ファンタジーだけど、そう考えた方が幸せじゃないか。
死んだ人が、遺された家族を思い、遺された家族は死んだ人を思う。
四十九日の間に、遺された家族が再び前を向いて歩いていけるために、乙美が残した「レシピ(処方箋)」。
乙美が、熱田を好きになった理由(夏祭りに豚まんを売りに行って、暑くて誰も買ってくれないとき、熱田が「うまいうまい!」と食べてくれたこと)も、すごく良かった。1930年台生まれの乙美の時代感を感じられたし、乙美の人柄が現れているエピソード。
人の死は悲しい。別れはさみしい。
でも生きている人は、生きていくしかない。
立ち止まって、悩んで、苦しんでも、生きていく。
そんな人みんなに、こんな奇跡が起きたらいいのに。