中原尚哉・他のレビュー一覧
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親しみやすさを意識して構成されているようで、初心者の私でもとても読みやすかった。
あと、「三体」の第一巻と第二巻は大衆向けのテーマを入れ込んだけど、第三巻はハードなSFファン向けだから出版社も作者も諦めてたのに、シリーズ全体の成功につながったのはSFファン向けに書いた第三巻だった、という話はこの本に掲載されてるエッセイに書いてあったんですねぇ。読めてうれしい。 収録作家と作品は以下の通り。
●陳楸帆(チェン・チウファン)
・鼠年
・麗江(リージャン)の魚
・沙嘴(シャーズイ)の花
●夏茄(シア・ジア)
・百鬼夜行街
・童童(トントン)の夏
・龍馬夜行
●馬伯庸(マー・ボーヨン -
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ケン・リュウ氏が編んだ中国SFの短編集。様々な賞を受賞している作品も多く、どれも面白い。中国SFだから何か特殊な作風があるのかというとそうでもなく、欧米のSF作品と似た読み方ができる。もちろん、読者は中国の事情を踏まえて読むことも多いだろうから、それはそれで読者が楽しめばよい。収録作品で印象に残ったのは「折りたたみ北京」で、これは何度読んでも良い。「沈黙都市」(馬伯庸)は言葉狩りの究極の姿を描いたディストピア。単純に息苦しさを感じる。「神様の介護係」(劉慈欣)は流転を感じる大きな時間軸の物語。「円」(劉慈欣)は既読で、IT技術の黎明と戦術いうか謀(はかりごと)を絡ませているのが面白い。
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短篇の名手ケン・リュウが精選する中国SFアンソロジー。ヒューゴー賞の表題作を含む、7作家13作品を収録。
ケン・リュウの英訳によって広く知られるようになった近年の中国SFがアツい。三体の劉慈欣は別格だが、それ以外にもクオリティの高い作品が多く、作家層の厚さをみせてくれた傑作短篇集が本書。ケン・リュウ自身の作品はないが、彼に劣らず魅力的なタイトルが目立ち、非常に読み応えのある一冊だった。
「童童の夏/夏笳」介護における近未来技術の予測、すぐにも実現しそうで興味深い。
「沈黙都市/馬伯庸」個人番号がウェブ上に延長され、匿名が許されない超管理ネット社会が描かれる。ネットの閲覧が管理国家によって -
購入済み
現代中国SFアンソロジーです。人気作家のSF短編が一冊で読めるので、中国SF新参者にはとてもありがたい作品でした。
現実とは異なる世界でありながら、現実の社会課題を抽象化し描いたような作品が多く、社会課題を見つめる良いきっかけになります。
エッセイでも書かれていましたが、何かを成し遂げるための手段・道具としてだけではなく単純に文学として面白いという点も魅力です。 -
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ネタバレ全般的に非常に品質が高く、多様性に富んでいて、とてもよかった。共通して美しい世界観があるのもよい。
作者に女性が多いところがちょっと意外で、日本とは違うところだなと思った。
圧巻だったのはやはり「三体」の劉慈欣。「神様の介護係」がよかった。
あとは馬伯庸と郝景芳の作品をもっと読んでみたい。
## 劉慈欣
### 円
古代中国を舞台にして、兵隊を演算素子としてコンピューターのようなものを作った歴史改変もの。
あれだけの大国の大量の兵をもってすればできなくもなかったかもと思えて面白い。
### 神様の介護係
最高に面白い。
神様は確かに存在したが、それは何億年も前に栄えた文明に生きた人々のこ -
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現代中国の様々なSF作家の作品を集めたアンソロジー。傑作揃いで非常に読み応えがあった。
全体的にディスピアものが多く、激しく変動する中国社会に苦悩する作家達が、世界に示したある種のアレゴリーとしても受け取れる。
一方で、美しい詩的表現が目を引く作品もいつくかあり、詩歌(漢詩)の国 中国 の豊穣な蓄積が感じられた。
以下、気に入った作品を軽く紹介。
・龍馬夜行/夏笳
長い眠りから目を覚ましたロボット“龍馬”。長い年月の間に、地球から人類の姿は消えていた。“龍馬”はひとり、夜の旅をはじめる…
幻想的な情景と、海子(中国の詩人)の詩の引用が、寂しい夜の旅を美しく描き出す。
・折りたたみ北京/郝 -
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中国現代SFのアンソロジーである。序文や収録されているエッセイで、中国SFはどう中国なのか質問されるという話が出てくるが、今回紹介されているSFはバラエティに富んでいて、一口で中国SFを定義できない。
面白いのは、このアンソロジーが英語経由で日本語に訳されているということ。英語圏において中国現代SFが広く紹介されていることにも気づかされる。
表題作の『折りたたみ北京』を読んでファーマーの『ディワールド』とあさのあつこの『No.6』を思い出した。一週間を平等に分けるディワールドと違って、功利主義の行く末としての折りたたみ北京の怖ろしさ。これは国の差というよりは、時代の差なんだろうと思った。 -
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「三体」を読んでなんか、もういいやというけだるさを覚え遠ざかっていたが、又好奇心がむくむくと。
今回も期待に違わず、圧倒される「膨大な人口と国土を持つ」国の人物が描いた世界だった。執筆陣は30歳代がメインということもあって読んでいてパワーが迸る。如何せん、どうしても背後に習近平の顔がちらつくのは仕方ないか。ペンを握ると国家間に壁がないと言うが、私はそうじゃないと思う・・良きにつけ悪しきにつけ、生まれ育った文化と風土、流れるDNAは「豊穣の極み」
そして通奏底音の如く流れる文化としての詩歌の韻律の美しさ。
一番好きな作家は誰と言えないくらい、どの方も素晴らしいものを持っている。
作品として好 -
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「紙の動物園」を読んで中国SFに関心が高まっていたこと、以前知人にオススメされていたこともあって手に取った(三体もそのうち読もうと思いつつなかなか手が出ないのが恥ずかしい)。
アンソロジーのいいところは何かしら自分の好みにあった作品がひとつは見つかるということと、表題作目当てで読んだら思わぬ出会いがあるということが挙げられると思うが、これもまさにそのようなアンソロジーだった。
そのような観点からでは、「円」と「童童の夏」が良かった。前者は何といっても人間コンピュータを使って円周率を求めようとするというSF要素に古代中国の歴史ネタを混ぜるという壮大な設定に面食らったが、ハッタリもここまでくれ -
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中国SFのアンソロジー。
陳楸帆(チェン・チウファン)「鼠年」「麗江(リージャン)の魚」「沙嘴(シャーズイ)の花」
夏笳(シア・ジア)「百鬼夜行街」「童童(トントン)の夏」「龍馬夜行」
馬伯庸(マー・ボーヨン)「沈黙都市」
郝景芳(ハオ・ジンファン)「見えない惑星」「折りたたみ北京」
程●(女へんに靑)波(チョン・ジンボー)「蛍火の墓」
劉慈欣(リウ・ツーシン)「円」(「三体」から抜粋した章の改作)「神様の介護係」
劉慈欣の「神様の介護係」がいい。「円」も面白く「三体」が読みたくなった。
次に若手の陳楸帆。「荒潮」が出版されたら読みたい。
女性だったとはしらなかった郝景芳の「折りたたみ北京」