柴宮幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前巻ラストが緊迫感有る展開で締められたものだから、続きはどうなるかと思いきや15話の扉絵を見て良い意味で肩の力が抜けてしまったよ(笑)
マチルダやラウルに凶刃を向けたロイ。その思惑は非常に子供じみたもの
けれど、それは馬鹿にされるようなものではなくて人間の根源的欲求に従った感情から来る思惑なのかなと思う
こうしてマチルダ、ラウル、ロイ、三人の思惑が明かされてみれば実は三人とも人から愛されたかったという欲求を抱えていたのだと判るね。それが望むたった一人から愛されないと全てが否定されたかのように思い込んでしまった事からすれ違いや憎しみが始まってしまった
けれど、今の時点で愛してくれる人が目の前に居ないからといってこれからも居ないとは限らないし、何ならすぐ近くに居る別の人が愛してくれるかも知れない。それを気付かせたアルベールとレネの言葉は良かったね
そうして2人は言葉で解決していただけに、拳で理解させたマチルダのインパクトが凄い事になっていたけども(笑)
次なるエピソードは再び呪いにフォーカスしたものになるようで
フーに関しては以前のエピソードで問題の大部分を解決できたと勝手に思っていたのだけど、まだ呪いを制御できたわけではなかったのか
むしろある程度制御できているアルベールの方が特別なのか……
そういった意味では呪いはやはり呪いであり、バトル漫画の特殊能力のように見世物として自慢できるものではない。それを操るには覚悟と備えと、そして信じ見守ってくれる人が必要なのだろうね
だからどのような立場だろうと呪いとの付き合い方が必要となり、そうして持ち上がってくるのがカラ国で採石できる呪いを抑える力となってくるわけか
それにしても新しい舞台で出会った人々はこれまた濃い人々ばかりだなぁ…
特に見た目は媚に媚びているのに陰を覗かせるアイシュンには目が引き寄せられてしまう
一方でラブコメをしようとして何とも上手く行かないアルベールとレネの様子は微笑ましいね
新しい衣装を褒めようとして褒め言葉になっていないのに褒め言葉として受け取るレネの姿に笑えば、贈り物として買い与えようとしたアルベールの行動を臣下として冷静に諌める遣り取りにも笑ってしまう
その反面、アルベールがそんな気なく放った言葉を「プロポーズみたい」だなんて言うのだからレネはいつだって油断も隙もない(笑)
カラ国視察の中で見えてくる裏の姿。それが呪い子にとって居場所となっている点には驚愕させられる
呪いを持つというだけで社会から排斥され、安堵できる場所を得られない呪い子達。けれど、呪いを持っている為に居場所ができるというのは驚きの視点だった
でも、全てが上手い話で構成されているわけではないから必ず落とし穴が有る。
『呪いを喰う山』は病に罹りやすいが呪い子なら大丈夫。そういう常識に凝り固まってしまったから山に何か異変が有っても呪いを持たない者による対策も調査も難しい。また、閉山でもすればそこを居場所としていた呪い子達を放逐することになる
いわば、進退窮まった状態
そこで権威と呪いを持つアルベールが名乗り出る展開は熱いけれど、一方でアイシュンを助けた謎の人物が何か仕掛けてくるのではないかと堪らなく恐ろしいのですが…… -
Posted by ブクログ
レネの故郷で繰り広げられる呪いに纏わる因縁の数々
呪いの仕業に見せかけようとするオーダも、立ち上る火や煙を見て絶望を覚えるフーも、自分を助けることは出来てもカガリを助けられないレネも…
誰も彼もが呪いによって苦しめられているし、呪いを利用して誰かを苦しめている。それはとても悲しい状態
かと言って、呪いがあればその人の全てが不幸と決まってしまう訳ではないと言及する台詞の数々は良いね。極限の痛みに襲われる状況でもレネを「祝福の子」と評したカガリも、不死のレネなら誰よりも希望を掴めると告げてくれたアルベールも
『呪い』はその人の在り方を強く定義付けてしまうけど、何もかもを決めつけてしまうわけではない。想いや行動によって変えられる
それを受け取ったフーが『呪い』の火を用いて、逆に村を救う描写は良かったね。フーは村人を救うのみならず自分自身を救ってみせたと言える。だから自由になれる
そして11話から始まるのはこれまでとほんの少し趣向の異なるエピソード。まあ、王族なのだからこの手の話がこれまで無かった方が驚きだったのかもしれないけど
アルベールもロザリーを始めとする周囲も、アルベールの縁談をレネが知ってしまえばショックを受けるだろうとあの手この手で隠しているのに、それを気にせず普通にアルベールを祝福してしまうレネは鈍感系入っていて面白い
また、全然気にされてないことに拗ねて「むっすーっ」とか「もやもや」ってなってるアルベールは可愛らしい(笑)
ああ、でも一応レネも心の奥底では気にしてるのかな?
その後、それぞれが脳内で自己完結せず、きちんと会話を行って意思疎通を行おうとするのはこの二人の良い点だね
レネはアルベールに約束した一番近くにいる未来を手にしたい、アルベールは一番辛い時に傍に居てくれたレネを手放したくない
二人の答えは一致しているのだけど、身分の差がそれを許してはくれないわけで。これから二人がそれぞれの一番を守っていくためには何をする必要があるのだろうね
そして許嫁として登場したマチルダは見た目も性格も癖が強い……
彼女がアルベールを愛しているのは確かなのだろうけど、それ以上にアルベールから愛されることに執着してる?
また、彼女の傍に侍るラウルも癖の強い人物だね
二人の関係はアルベール・レネと似通った部分がある。マチルダは王族としての立場から追い詰められ救いを求めていた。ラウルは『呪い子』と忌み嫌われることで自分を受け入れてくれる居場所を求めていた
アルベール・レネと決定的に違うのはマチルダが求めたのはラウルで無かった事と、ラウルが本物の『呪い子』では無かった事か
呪いを持たない二人はだからこそ、幸せになれるはずだし幸せにならなければならない。それが逆に二人を追い詰めてしまったわけか
急展開を迎える事態。『呪い』を持たないが『想い』を持つラウルは果たしてマチルダを救えるのだろうか? -
Posted by ブクログ
『呪い子』という本来はネガティブな意味でしか受け取れない不幸な要素。それは実際にレネとアルベールの人生に暗い影を落とすのだけど、一方でその呪いのお陰で二人は結びついて幸福になれるかもしれないきっかけを得ていくというのは面白い構図だね
”毒の呪い”を持つアルベールは誰にも触れられない。近くにある生命を殺してしまう
”不死の呪い”を持つレネは気味悪がられてしまう。どんな怪我でも生きていられる
反発する呪いを持つ二人だから傍に要られる。反発する呪いだから傍に居たいと思う
そうして閉じ籠もっていたアルベールが少しずつ心開いて、そして外へ出ていく様子は良いね
一方で描かれるのは別の呪い
『呪い子』が持つ呪いはファンタジーじみたもの。本作はそれを主軸に描いているけど、だからって他の呪いが存在しないわけじゃないという構図は印象的だったな
恵まれた立場であっても妾の子というどうしようもない要素によって人生の幅を決められたオリヴィエ。彼は理不尽な暴力を甥のアルベールに向けた。彼は呪いを言い訳に自分の心にこそどうしようもない呪いをかけてしまったのだと察せられるね
だから、対称的に『呪い子』でありながら心に呪いをかけず、第一話ではレネを心配して涙流したアルベールの心の清さが見えてくるね
オリヴィエが気付かなかった差し伸べられていた手
それに気付いても自分から手を差し伸べること出来ず、むしろ更なる毒を向けたオリヴィエの心の歪みは果てしない……
その理不尽過ぎる呪いと毒の果てに自身の内にある毒に別の意味を与えてみせたアルベールの姿は驚き
王は取り除けなかった息子の毒。対してアルベールは大切な従者の毒を取り除いてみせた
この点から見ても既にアルベールは王の器を備え始めていることが判るね
正直、この第一巻だけで物語は充分にオチていると思うのだけど、ここからどうやって二人は自身の呪いと向き合いながら王の道を歩んでいくのだろうか?