佐藤栄佐久のレビュー一覧
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私にとって「知事」のイメージとは著者そのものである。
「知事」という役職の存在を知ってから、県知事が他の人になったことがないからである。ついでに、「さとうえいさく」という名前からは真っ先に著者が浮かぶ。過去に同名の総理大臣がいたことは、後から知った。
著者は、県内に住む少年だった私にとっても「力強い指導者、あるいは交渉人」というように見えた。原発問題については言葉が難しかったので当時は分からなかったのだが、地方分権は子どもにも理解できる部分があったように思う。本書では書かれていないが、首都機能移転問題で、福島県の阿武隈高地を最後まで候補に残したのは、やはり知事の力あってのことではないだろうか -
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著者の佐藤さんは福島県の知事だった人物で5期目の途中で辞任。
その後、収賄の容疑で逮捕された人です。
本書は、その時行われた東京地検特捜部による捜査立件が、国のずさんな原子力政策に反対する佐藤さんを貶める「国策捜査」と主張する為に書かれた本と言えます。
2009年に出版された本ですが、今回の原発事故以降、急速に注目を集めた本と言えるのではないでしょうか。
内容は、佐藤さんの学生時代からの経歴紹介に始まり、1980年の最初の参議院議員選挙に落選した後、福島県内を地道に回って強力な後援組織を作り上げた事や
「うつくしま、ふくしま」と言うスローガンに代表される環境保護政策、地域社会を守る事 -
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新聞報道で,この本の著者が知事であったころに逮捕されたことを知った時,「また知事の汚職か」程度にしか思わなかった。しかし,実は知事の仕事を務める福島県のために(地方自治のために),著者は官僚組織,(原発問題については)大企業と闘った。しかし,それが「国策捜査」を生み出し,身に覚えのない罪で逮捕されるに至る。
知事としては真摯に仕事をしたにもかかわらず,いや,それゆえにというべきか,こうした事態に至った経過がよく書かれている。
「国策捜査」という言葉は,佐藤優氏が一般人に知らしめた言葉だったと思うが,佐藤氏,鈴木宗夫氏の例,また「国策捜査」ではないかもしれないが「検索の描き出したストーリーに沿っ -
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いや、大変に面白かった、限りなく★5つに近い★4つ。
本書を原作とした映画が近く公開されるとの記事をフェイスブックで見ました。
迂闊なことに、それまで本書の存在そのものを知りませんでした。
2009年に初版発行された本です。
著者は参議から福島県知事に転じ、県発注のダム工事を巡る汚職事件で知事を辞職、その後、有罪判決を受けました。
検察の取り調べを受ける場面が、本書の白眉でしょう。
硬軟織り交ぜて時に厳しく、時に懐柔して自白を迫る検察の手管には恐ろしさを覚えました。
これだけ執拗に過酷な取り調べが続けば、どれだけタフな人でも音を上げるというもの。
実際、この事件で検察の取り調べを受けた関係者は -
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汚職の罪に問われた元福島県知事の手記。
自分の地方格差についての感覚が鈍すぎることに驚いた。
今私が使っているパソコンと暖房を動かす電気はこんな理不尽の上に成り立っている。
原発推進も捜査の過程も事実よりイデオロギーを優先させる。
そりゃ原発事故も冤罪も起こるべくして起こるわけだ。
カーナビを信じて池に突っ込むようなやりかたは、残念ながらいたるところで見かける。
それにしても自殺者を出すような取調べって特別公務員暴行陵虐罪あたりで問えないもんなのか?怖すぎる。
これはもう「汚職」じゃなくて「政治犯」の扱い。
これだけ賢くて度胸も経験もある著者でさえ「自白」に追いやられるのなら、普通の人 -
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佐藤栄佐久『福島原発の真実』(2011)、
『知事抹殺ーつくられた福島県汚職事件』(2009)を読む。
前著は3.11以後、後著は3.11以前の出版である。
佐藤元福島県知事の事件は奇妙である。
佐藤は第5期18年目の2006年に
県発注のダム工事をめぐる汚職事件で司法の追及を受ける。
県政を混乱させた責任を取り自ら辞職。
しかし、その後二審判決で
収賄金ゼロと認定されながら有罪判決を受けている。
佐藤は県民の圧倒的支持を背景に
国の原子力行政、道州制導入などに
是々非々の議論を仕掛けてきた。
決して原発断固反対の立場ではなかったが、
国と東電による不透明な行政、運営に警句を発してきた。
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ネタバレ闘う知事で名をはせた前福島県知事の佐藤栄佐久氏の県政の中での原子力行政、地方分権、検察問題(国策捜査)等について深く書かれています。
私は福島に暮らしていた頃から、佐藤前知事を支持しており、この事件を知った当時は非常にショックだった。
その後、上京してからこの問題の事はすっかり記憶の片隅に追いやられていました。
今回、3.11の震災、そして、原子力発電所の事故をみて、原子力行政で国と闘い。それ故に、国策捜査で抹殺された佐藤前知事の事を思い出した。
そこで、知事抹殺を読んでみた。
この本を読んでの率直な感想は、腐りきったこの国の官僚制度に対する怒りである。
そして、3.11の原発問題から見 -
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震災による原発事故で、この本に関心を持った。
前半の原発や地方自治での国等との戦いのあたりは、本人だから自分に都合よく書いてるところもあるだろうなと思いつつ、何しろこの人が懸念したとおりに原発がああなっちゃってるわけだから、非常に説得力があるが、後半の汚職事件のくだりは不透明なもやもや感が漂う。
まあ、書いているのが本当なら(本当というのは十分ありだと思う)、何の罪で自分が逮捕されるのかもわからない状況で、著者の主観的に、全容が見えていないための不透明さもあるわけだが、結局、著者自身は知らなかったにせよ、著者の弟は知事の身内であることをいいことに汚いこともしていたようだし、著者が「まじめな人間 -
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もと福島県知事の佐藤栄佐久が収賄の容疑で有罪にされた事件を、自らの視点で振り返った本。結局こういったものは関係者本人にしか真実はわからないもの。でも最近の報道で検察の暴挙ぶりはうかがえるので、全く嘘ではないだろうな。どんなに無実でも逮捕だけはされたくないな。
この本を借りた目的は、311の震災から引き起こされた福島第一原子力発電所の事故を見ていて、いろいろな報道がある中、そもそも福島原発はどのように開発され、運営され、現在に至るのかをその背景を最も知っていると思われる福島県の知事の言葉で聞いてみたかったこと。
この本は前半は福島原発を巡る、東電、経済産業省(当時は通産省)、県の争いがほとん