伊藤薫のレビュー一覧

  • 八甲田山 消された真実
    小説はあくまでも創作物であり、事実ではない。
    小説にはヒーローが付き物だが、現実にはなかなか出現しないものである。

    八甲田山の遭難は、冬山に物見遊山感覚で挑み、やるべきことをやらず、やってはいけないことをやった結果の最悪の結果。

    そして残念ながら、偉い人が要らぬ口出しをして現場を引っ掻き回すのも...続きを読む
  • 八甲田山 消された真実
    映画「八甲田山死の彷徨」を見た人なら、徳島大尉に憧れたことだろう。高倉健演じる徳島は冷静沈着、用意周到で、寡黙ながら思いやりを感じさせた。ところがどっこい資料を丹念に調べると全く正反対だったりする。この企画そのものが福島氏(映画では徳島)の出世欲と虚栄によって成立した側面もあるようだ。ただ確かに冷静...続きを読む
  • ヤマケイ文庫 八甲田山 消された真実
    映画「八甲田山」は観たことはなかったが内容はなんとなく知っていた。やはり映画と同じように成功したほうの隊のトップはちゃんとした人なんだろうなと軽い気持ちで読んだら全く違っていたので驚いた。どちらの隊でもこんな上司の下で働くのは嫌だ。ましては生死が関わる場所でのところとなると・・・。部下を人と思わず、...続きを読む
  • ヤマケイ文庫 八甲田山 消された真実
    八甲田山死の行軍を研究した書籍。日本の公務員組織の隠蔽体質は21世紀の警察不祥事などにもつながっている。
  • ヤマケイ文庫 八甲田山 消された真実
    こういうテーマの映画があった、ということで『八甲田山で雪中行軍して遭難し大量の死者を出した』と知ってはいても、映画は見てないし、ましてや原作という小説を読んでもないので具体的なことはさっぱり知らなかった。だから真相と真実に迫ると言われても、はあそうなんだ~、やっぱりの隠蔽体質~、真面目な軍人ももちろ...続きを読む
  • 八甲田山 消された真実
    八甲田山遭難事件を知らない人だと難しいだろう。
    しかし、元自衛官としての考察・評価は面白かった。
    公表資料の齟齬から組織の責任回避を推測し、また本当はこうあるべきだという評価が良い。
  • 八甲田山 消された真実
    著者は元自衛官。八甲田山の遭難事故については、新田次郎の本や映画を見たことがあり、多くの人達はそれが真実だとして受け止めているが、様々な資料生存者の証言で検証してみると、多くの点で間違いがあるらしい。著者は、青森の自衛官時代の経験をもとに丁寧に当時の状況を考察しており、大変面白く読めた。映画では、有...続きを読む
  • 八甲田山 消された真実
    新田次郎の映画を小学校の頃映画館で観て子供心に三国連太郎氏の連隊長の身勝手さに腹が立った思い出があったが、実際は連隊どうしの対抗心や三一連隊の福島大尉の功名心、明治陸軍の身分制度等の影響も大きかったのだと思います。大量の資料と陸上自衛隊の経験が反映されて読み応えのあるドキュメンタリーです。
  • 八甲田山 消された真実

    八甲田山遭難の原因がわかる!

    当時の新聞や、生き証人の証言をもとに書かれている。八甲田山の遭難の原因が、何であったのかが検証されていて、よくわかる。大変読みごたえのある一冊!
  • 八甲田山 消された真実
    事故報告の隠蔽や捏造は現在でもよくあること…。
    また第五聯隊が遭難中に関わらず、転出将校の送別会を優先というのも、問題が起きてもゴルフや会食を継続する現政府に通じるものがあります。助かった第五聯隊の殆どが下士官であり、一般兵卒でなかったところもまた、今も昔も犠牲になるのは下の者なのだな、という印象で...続きを読む
  • 八甲田山 消された真実
    事件後に陸軍大臣等に出された報告書を検証しつつ、事件の全体像を描いている。
    基本的に事前の準備がほとんどできていない。現地踏査もしていない。
    露営も非常に安易に考えられている。
    事件報告も、聯隊長等が非難されないよう都合良く事実をねつ造している。
    ただ、遭難して寒さのため責任行動がとれず、十分に思考...続きを読む
  • 八甲田山 消された真実
    こういう解釈もあるというところが、妥当かと。
    映画「八甲田山」やその原作小説が史実のように思われるのに憤慨するのはわかりますが、キレてどうすると。
    5連隊長の捜索の遅れですが、二次遭難を考えたのかもしれません。ただ、200人遭難して、1人の救助に13人と仮定すると、連隊規模を越えるので、さっさと師団...続きを読む