市川恵里のレビュー一覧

  • テヘランでロリータを読む

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    ネタバレ

    著者の手に文学が渡れば、最強の力を発揮する…

    革命期のイランで、
    欧米の名著を読み続ける著者のゆるぎない信念が伝わってくる本。

    _文学の力に対する私たちの無私の信頼によって、このもうひとつの革命が生み出した、重苦しい現実を変容させることができるかどうか見てみる

    著者は、文学教授として働いていたけれど、宗教を政治イデオロギー化して特に欧米色のあるものを徹底的に排除するホメイニー政権下で大学を追放され、
    すべてを無くしたときにあらわれた自由に踏み出し、
    文学の研究に熱心に取り組んでいると思った7人の女子学生を自ら選んで家に呼び、最終的に約2年間に及ぶ小説のクラスを個人的に開く。

    クラスの目

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    2025年02月23日
  • テヘランでロリータを読む

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    2003年に発行され、日本語訳版が出版されたのは2007年なので、些か時代遅れなのですが…
    今まで自分が読んできた本の中でTOP10に入る素敵な本でした。
    イランと中東諸国の対立構図、また元米大統領トランプ氏の経済制裁撤回による中東諸国の核兵器使用の危険性は現在進行形で存在しているため、数年前の本という気がしないと思います。
    また中東情勢に関わらず、この本でたびたび触れられている、宗教やイデオロギーの対立、国間のパワーアンバランスは今この瞬間も世界中で緊張状態を作り続けています

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    2024年07月17日
  • テヘランでロリータを読む

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    激動のイランを冷静に見つめた記録。
    そして女というだけで抑圧されながら文学を手に自分らしく生きる道を模索する筆者とその生徒たちの記録。
    ページを捲れば捲るほどイランが暗黒の道へと進んでいく。
    その延長線上にあるのが今のイランなのだ。
    今、イランで女性たちが命を懸けて声を上げているのはこの作品で触れられるような数々の女性への酷い仕打ちの積み重ねであることが痛いほどわかる。
    胸が張り裂けそうだった。

    でも今このタイミングで読んで良かった。
    イランを知るために映画を観るのも勿論良いけどこの本から始めても良いのでは。
    私はこの本を強く推したい。
    あと文学批評本としても完成度がとても高いのでそういった

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    2023年07月09日
  • テヘランでロリータを読む

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    とても長いので時間はかかったが、読み終わることができた。不思議と挫折しようとは思わなかった点が、この本の素晴らしい点だと思う。改めて、文学が持つ力を教えてくれた。さらには、想像がつかなかったイランという国、ひいてはイスラム教という宗教も教えてくれた。様々な文学作品が筆者に染み込んでいる様が、とても美しく、また健気だと感じた。

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    2023年05月08日
  • テヘランでロリータを読む

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    ネタバレ

    革命後のテヘランでは『ロリータ』を含めて文学を読むことは大きな困難を伴った

    1995年の秋、勤め先の大学を辞めた著者は、優秀で勉強熱心な女子を選び、読書会を催すという夢を実現する。「作品の選定基準のひとつは、作者が文学の決定的な力、ほとんど魔術的な力を信じていること」(P35)

    ロリータ
    ギャツビー
    ジェイムズ(主に『デイジー・ミラー』と『ワシントン・スクエア』)
    オースティン(『高慢と偏見』)

    を取り上げつつ、自身と周囲の環境や想いを作品と重ね合わせ血肉にしていく。

    最初から最後まで体制に命が特に女性の命が軽く扱われ煩悶するばかりの中、著者や学生が閉じられた場所といえども文学に触れ討

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    2023年04月18日
  • テヘランでロリータを読む

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    西加奈子さんのiでミナが想像するってこと、で触れていて気になった本、あとがきもよかった

    深くて重くて、全然消化しきれなかったけど想像力の世界が持つ力についての言及は一貫しているなって思った。政治がそれらに関与するのは最も囚われているから、みたいな描写はそうだよなあと思った、私たちには力がある

    読んでいて何度も涙が溢れそうになって、ピンときた箇所でもメモしておけなかったところも沢山ある、一周じゃこの本を5%も味わえた気がしない(それでも読んでよかったとなるのだけど)

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    2022年11月24日
  • テヘランでロリータを読む

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    イラン革命直後に母国のイランに戻った著者が、大学の教え子で優秀な6人の女性と秘密の読書会を行う。
    著者はテヘラン大学で教鞭を取ったが、ヴェールを着用することを拒み追放されてしまう。
    女性の価値が男性の半分以下ともされ、美人ということだけで逮捕され処刑されてしまうような社会で、文学を学ぶ意義を問う。本書で取り上げられる『ロリータ』『傲慢と偏見』などタイトルだけは知っている著書が多かったですが、政府側とすれば規制したいような内容なのだと思う。その中に彼女らは何を見出したのか。

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    2021年12月12日
  • テヘランでロリータを読む

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    この本を発行できたことが奇跡だと思う。
    読んでいてこれが現実だということを忘れそうになった。そのくらい私にとって彼女達の日常が現実離れしていた。

    しかし彼女達の悩みに共感できることがあったり、ハッとさせられることもあった。
    人の感情はとても単純だけど、社会や道徳、願望が複雑にしているのだと思う。

    心の準備ができたらロリータを読んでみたい。

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    2021年12月04日
  • テヘランでロリータを読む

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    簡単に言葉が出ない。

    旅のお伴に選んだ本。ふとした時間に少しずつ読む。空港のロビーで、機内で、ホテルで。

    本を開けば、女性が刻一刻と支配されていくイラン・テヘラン。法律が、女性の権利が男性の半分に制定される。簡単に処刑される。

    大学で教鞭をとる著者が扱う英文学を通じてぶつかり合う学生の価値観、その学生らひとりひとりを取り巻く状況、家族、政治。決して踏み込めない刑務所や家庭で受けただろう扱い。著者の譲れない一線さえも奪われていく。

    ロリータ、グレート・ギャッツビー、、世界中で読まれている名著と折り重なって綴られる回顧録。世界中で読まれるとはどういうことか。重たい石とかすかな希望。

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    2025年11月20日
  • テヘランでロリータを読む

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    イラン革命後の抑圧された全体主義社会で、女の価値は男の半分と言われる中、女性だけで密かに行われた西洋文学の読書会の回想録。

    文学とは、この本で描かれるように、読者が自らの人生の痛みや現実と照らし合わせながら読まれてきたんだな

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    2023年09月23日
  • テヘランでロリータを読む

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    イスラーム革命後のイランで密かに開かれた女性たちの読書会。女性が学ぶことを厭う場所で学び続けることの苦しさを思った。学べば、どう生きるかを他者に規定される理不尽と、向き合わざるをえないから。

    知ることは、自分の世界の狭さに気づくことだ。

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    2023年06月29日
  • テヘランでロリータを読む

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    イランで英米文学を鏡に自らの苦悩や理想を引き出していく本書を、日本で読んで自身の闘い方(あるいは、闘わない姿勢への個人的な是非)を見出す。「読み」とは時に切実なものだ。空想の城は脆い。しかし反面では力強く、連鎖する。

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    2022年10月23日