市川恵里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者の手に文学が渡れば、最強の力を発揮する…
革命期のイランで、
欧米の名著を読み続ける著者のゆるぎない信念が伝わってくる本。
_文学の力に対する私たちの無私の信頼によって、このもうひとつの革命が生み出した、重苦しい現実を変容させることができるかどうか見てみる
著者は、文学教授として働いていたけれど、宗教を政治イデオロギー化して特に欧米色のあるものを徹底的に排除するホメイニー政権下で大学を追放され、
すべてを無くしたときにあらわれた自由に踏み出し、
文学の研究に熱心に取り組んでいると思った7人の女子学生を自ら選んで家に呼び、最終的に約2年間に及ぶ小説のクラスを個人的に開く。
クラスの目 -
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Posted by ブクログ
激動のイランを冷静に見つめた記録。
そして女というだけで抑圧されながら文学を手に自分らしく生きる道を模索する筆者とその生徒たちの記録。
ページを捲れば捲るほどイランが暗黒の道へと進んでいく。
その延長線上にあるのが今のイランなのだ。
今、イランで女性たちが命を懸けて声を上げているのはこの作品で触れられるような数々の女性への酷い仕打ちの積み重ねであることが痛いほどわかる。
胸が張り裂けそうだった。
でも今このタイミングで読んで良かった。
イランを知るために映画を観るのも勿論良いけどこの本から始めても良いのでは。
私はこの本を強く推したい。
あと文学批評本としても完成度がとても高いのでそういった -
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Posted by ブクログ
ネタバレ革命後のテヘランでは『ロリータ』を含めて文学を読むことは大きな困難を伴った
1995年の秋、勤め先の大学を辞めた著者は、優秀で勉強熱心な女子を選び、読書会を催すという夢を実現する。「作品の選定基準のひとつは、作者が文学の決定的な力、ほとんど魔術的な力を信じていること」(P35)
ロリータ
ギャツビー
ジェイムズ(主に『デイジー・ミラー』と『ワシントン・スクエア』)
オースティン(『高慢と偏見』)
を取り上げつつ、自身と周囲の環境や想いを作品と重ね合わせ血肉にしていく。
最初から最後まで体制に命が特に女性の命が軽く扱われ煩悶するばかりの中、著者や学生が閉じられた場所といえども文学に触れ討 -
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Posted by ブクログ
簡単に言葉が出ない。
旅のお伴に選んだ本。ふとした時間に少しずつ読む。空港のロビーで、機内で、ホテルで。
本を開けば、女性が刻一刻と支配されていくイラン・テヘラン。法律が、女性の権利が男性の半分に制定される。簡単に処刑される。
大学で教鞭をとる著者が扱う英文学を通じてぶつかり合う学生の価値観、その学生らひとりひとりを取り巻く状況、家族、政治。決して踏み込めない刑務所や家庭で受けただろう扱い。著者の譲れない一線さえも奪われていく。
ロリータ、グレート・ギャッツビー、、世界中で読まれている名著と折り重なって綴られる回顧録。世界中で読まれるとはどういうことか。重たい石とかすかな希望。 -
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