ドット・ハチソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本に送る私からの最大の賛辞は、
「超絶胸糞悪かったけど読み切ってしまった」
である
ああよくもまあこんなに微妙に異なるイカれた連中を描き分けられたものだなぁと感心しつつ、
胸糞悪すぎて途中で本を閉じること数回。
それでも、読み切ってしまったのは、
FBIに取り調べを受けてる「マヤ」と呼ばれる謎の少女の語りに引き込まれてしまったからだ。
どこか飄々としていて掴みどころのないマヤ。
でも、彼女には、絶望の淵を覗き込んでなおしたたかな強さと他の者を勇気づける生命力が備わっている。
マヤの存在が、この暗く深い絶望の物語のひとすじの清涼剤となって、読み進めてしまうこと間違いなしだ。 -
Posted by ブクログ
耽美で、とてつもなく残酷な雰囲気の作品。
でもご安心ください。
この作品の猟奇的な部分は、文体によってかなり緩和されています。
執拗に暴力要素を細かく書くこともありません。
時に作者にそういう趣味があるのかと訝しむ作品もありますが、この小説の描写は必要最低限のものにとどまっています。
それでも、女性たちに起きた信じられないような出来事は、確かに残酷だと感じさせる。
酷い、おぞましい、その狂気が確かに感じられる作品です。
すでに被害女性たちは救出されていて、なんだかわからないままに、リーダー格の女性を、FBIが取り調べをするという、なかなか斬新な形式が特徴です。
リーダー格の女性、通称マヤが、また魅力的。
取り調べに協力的と言うわけでもなく、非協力というわけでもない。
一筋縄ではいかない、とても強かな女性です。
彼女が体験した”ガーデン”での出来事は、耐えがたい異常な場所。
“庭師”と呼ばれる男が作り上げたガーデンは、美しいけれど、そこに囚われた女性たちは蝶の翅を背中に彫られ、外の世界には出られない。
徐々に明らかになる彼女たちの残酷な運命、庭師の家族、とにかく酷い出来事が、マヤの口から語られていく。
読み手はそこで起こった出来事、彼女たちに起こった残酷な運命を知りたくなり、どんどん読んでしまうのですが、マヤの話は時系列が飛び飛びで、時折、マヤ自身の出自の話も入り混じります。
読み進めるに従い、マヤという人物の過去を知り、彼女の人柄も理解できてくる。
なにかびっくりするような、ミステリ的な魅力的謎があるわけでもないし、女性たちが救出されていることも明らかであるのに、どんどん読みたくなる感覚はとても新鮮でした。
レイプ、誘拐、殺人、暴力、といった猟奇的で気持ちの沈む要素が含まれながら、さらっと読めたのは驚き。
囚われた女の子たちの個性や、マヤの性格、語り口のおかげか。
ガーデンに囚われた女の子たち、どの子も反応や性格が違って、人物の描き方がとても良かったと思います。
取り調べをしているFBIの冷静なヴィクターと、熱くなりやすいエディソンも。
会話劇がユニークで、酷い事件なのに時折クスッと笑える場面も多い。
読後感もなかなかよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ★3の下。
いや~、鬼畜!
サイコパス親父が少女を拉致る。
拉致った少女の背中にお気に入りの蝶のタトゥーを彫る。
でもって壁に囲まれた秘密の広大な温室施設「ガーデン」で飼い殺し。
好きなときに好きなように弄ぶ。
累計で何十人も。
何十年か続いている。
初期に拉致られて、殺されずに加害者に協力するようになった女看護士もいる。
基本16歳くらいのキレイな少女をを狙う。
いつまでも「ガーデン」に馴染めないと殺す。
妊娠や病気になっても殺す。病院には行かせられない。
21歳になったら殺す。サイコパス的な賞味期限。
1人殺すと補充のために新しい子を拉致しに行く。
常時20人くらいをキープする。
殺した子は防腐処理をしてガラスケースに入れて樹脂で固めて展示する。
サイコパス親父の長男も喜んで協力する。
サイコパス親父は歪んだ美意識でやるが、長男は嗜虐癖で楽しんで女の子を傷つけ、ときには殺す。
そんな鬼畜なとこに拉致されてマヤと名付けられた少女の物語。
グロそうな話しだと思ったが意外にそうでもない。
いや充分にグロいんだが焦点はそこではない。
これサスペンスというよりサバイブだわ。
サバイブといえば船が難破して無人島にってのがパターンだけど、これはサイコパス親父の温室からのという設定。
残酷な犯罪に巻き込まれた少女たちのサバイブストーリー。
最後はちょっとできすぎかなと思うとこがあったり、描写や言い回しが思わせぶりなとこがあって分かりづらいとこもあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレFBI捜査官のヴィクターが取調室で対峙しているのは、マヤと自称する10代後半とおぼしい少女。ある事件の被害者である彼女は、実は共犯者なのではないかという疑いをかけられていた。やがてマヤが語りだしたのは、〈庭師〉と呼ばれる男が創りだした理想の庭に集められ、彼の手で背中に刺青を彫られ、名前を剥奪され尊厳を踏みにじられ、〈蝶〉にされた少女たちの物語だった。おぞましい〈男の夢〉と、拉致された少女同士の絆を描いたサスペンス。
耽美主義のシリアルキラーものとして読むと、〈ガーデン〉のアイデアやダミアン・ハーストじみた死体の保存法には既視感がよぎったが、マヤ=イナーラという独自の価値観を持つ語り手の設定は新鮮だった。彼女を中心に、気が強い粘土アーティストのブリス、マヤの前に少女たちのメンターを務めていたリオネットら、被害者少女たちの絶望とささやかな希望を描くシスターフッド小説としての面はすごくいい。ジーラの最後の一日が奇妙な幸福感に包まれる一連のくだりなど、涙ぐみもした。
〈庭師〉と二人の息子を通じて、女性を所有物扱いする男の典型例を見せているのも上手い。特に、父親を告発しない代わりに少女たちを攻撃もしないデズモンドを、諦めと共に受け入れていく〈蝶〉たちのやるせなさとか、どんな現実も自身の理想どおりに見ようとする〈庭師〉の認知の歪みなど、日常生活でも遭遇する種類のリアルなイヤさがある。〈庭師〉の紳士的な物腰は『侍女の物語』の司令官を思いださせる。自分が散々レイプした少女を息子に"相続"させることができて興奮する〈庭師〉のキモさにうっかり笑ってしまったが、当然笑う場面ではない。
だが、FBIの描写には違和感をおぼえた。容疑者に含まれているとはいえ、この境遇の女の子の話を聞くのに男二人でやるかなぁ。エディソンの直情的なキャラクターは読者がイナーラの供述に感じる苛立ちの受け皿として配置されているとはわかっても、最後まで好きになれなかった。ヴィクターもキャリアが30年もあるわりに尋問が上手いように思えない。彼らをもマッキントッシュ父子と同じくテンプレ的に描写することで、イナーラの口から個性豊かに語られる〈ガーデン〉や〈イヴニング・スター〉の女性たちと対比させる狙いなのかもしれないが。
深く傷つき、一度は社会との接続を絶たれた女性同士の新しい家族のあり方を書いたラストも良いことは良いのだが、なんとなく最後まで作者を信頼しきれない気持ちが残る。男性が読んでも気を悪くしないように、というところに特別心を配って書かれたシスターフッド小説という感じがするからだろうか。なんだか釈然としない。 -
Posted by ブクログ
FBIの取調べ室。特別捜査官のヴィクターが対峙する一人の女性。彼女の呼び名はマヤ。マヤは何年も拉致監禁され、救出された10名以上の女性の中の一人。
彼女たちは庭師と呼ばれる男によって拉致され、ガーデンと呼ばれる秘密の庭に「蝶」として監禁されていた。背中にそれぞれ蝶の翅のタトゥーをされて。
一体ガーデンで何が行われていたのか?一体何人の女性が拉致されていたのか?そして、そこから逃げのびることができた理由は?
全編ほぼ捜査官ヴィクターの取調べに答えるマヤの独白という形式で進む。
「美しい世界でどんなおぞましい地獄があったのか…」といった感じの宣伝文句が付けられてますが、最近のサイコパス系の犯罪のフィクションや、ノンフィクションに比べて、この小説が特におぞましいという事はない。
しかし、独白系の進行と、マヤのキャラクターが読者を惹き込む。また、最後に明かされる事実が、そうだったのか!とさせる佳作。