井野瀬久美惠のレビュー一覧

  • 興亡の世界史 大英帝国という経験

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    25年のマイベストに入れたい1冊。
    驚異の約7年の積読の末に挑戦笑。
    膨大な情報量をベースにいくつかのキーワードをピックアップしながら大英帝国史を紐解いていく。
    当方事前知識と呼べるものは殆どなく、大量の固有名詞に苦労する所もあったが極めて発見と学びの多い1冊になった。
    多くのトピックが取り上げられているが故に、大英帝国を核に多方面への興味関心を刺激される。この本をベースにこれからもイギリスに関する知見を深めていきたい。

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    2025年05月27日
  • 興亡の世界史 大英帝国という経験

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     英国は世界史の中で中心的に活躍する国の一つなのですが、私たちはその歴史については今ひとつ理解していないようです。たとえばなぜあれほど強大な国であるのに、国内にスコットランドや北アイルランドなど反イングランドの地域を抱えているのか?、なぜあんなにも小さな島国が世界帝国として君臨できたのか?、黒人が多いのは何故なのか?、日英同盟はなぜ締結されそして更新されなかったのか?などなど
     この本は、平面的な英国史というよりも、人物や事件を取り上げながら大英帝国という実像を描いているので、とても興味深く読むことができました。そして何よりも感じたことは日英同盟締結(1902年)の理由の一つに「国民の退化」と

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    2024年01月25日
  • 奴隷・骨・ブロンズ――脱植民地化の歴史学

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    ①日本の博物館も、先住民からの略奪から始まっているが(函館仮博物場)、その問題に取り組む博物館がほとんど無い、あるいはその事が世間的にあまり知られていない状況であること
    ②某アーティストのコロンブス問題で、世界的な歴史認識と日本の歴史認識の差異を感じたこと
    ③脱植民地化というキーワードが気になっていたこと
    から手に取った。
    日本では「脱植民地化」という言葉はまだまだ浸透していないと感じるが、海外の事例に倣って、日本でもこれまでの歴史認識のあり方、ミュージアムの認識などを見直す段階に来ていると思う。そのため、まずは海外の事例を学ぶことが出来てよかった。
    残念なことに、日本でも歴史修正主義は根深い

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    2025年09月11日
  • 奴隷・骨・ブロンズ――脱植民地化の歴史学

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    最近の本のチョイスが、我ながら重たい。奴隷貿易や西洋人による収奪に関してである。著者によると、タイトルはジャレドダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』に影響を受けてつけられたもの。さすがに人類史をそこまでのスケールで書いてはいないが、前述の通り、奴隷制や植民地政策の話。

    取り返しのつかないスティグマ。ジェノサイドと同じ位、残虐。本書では、ブラック・ライヴズ・マター、BLMによる奴隷商人の銅像破壊が話題となるが、その背景を紐解いていく。

    奴隷商人はコルストンだが、同様に略奪の象徴としてコロンブス像もBLMを中心とする反レイシズム運動のターゲットとなる。「コロンブスによる新大陸発見」は欧米に開いた「

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    2025年06月15日
  • 興亡の世界史 大英帝国という経験

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    先に中公新書の『茶の世界史』を読んだばかりなので、関連していてちょうど良かった。
    もちろん、「大英帝国」をこのボリュームで語るのだから詳細は無理なのですが(当たり前)ああ、大英帝国ってのは、米国に独立されてからが本番だったのねぇと改めて認識するに至る。
    大きな時間軸で言えば、世界は未だに大英帝国が定めたフォーマットの上で動いているんだなあと。
    そして、奴隷貿易を率先して行いながら、奴隷解放に率先して動く「君主豹変す」
    何度でも変われる。変わってきたってのが、「大英帝国」繁栄の礎なんだろうなあと。

    もちろん、全てが光ではなくて、今も中東がああなのは、英国の「三枚舌外交」による物なのは言うまでも

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    2018年10月14日
  • 奴隷・骨・ブロンズ――脱植民地化の歴史学

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    現代から過去を覗くまたは発見、思い出したときに歴史の視点としての角度から多様な思索を重んじる良書である。
    本著で示唆されている通り、現代においても世界中で様々な形において奴隷制度は存在している。先進国も含まれ例外ではない。身近な例であれば、家庭内でも起きえるし、少しスケールを上げると会社という1組織内でも方法をとれば簡単に奴隷制度が出来上がる。人が人を動かし生み出すときに必ず奴隷制度に似た形がどのような形であれ継承されていくだろう。本著が述べているように、奴隷や過去に遭った悲惨な出来事を繰り返さないようにする思考は重要である。だが、同時に全員が同じ評価と身分になったときに、また違う歴史が顔を覗

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    2025年05月20日