渡辺恒雄のレビュー一覧
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小泉、鳩山、菅、そして橋下と、どこまで続く劇場型政治。大衆迎合(ポピュリズム)が衆愚政治に堕ちることだけは断固として食い止めたいという思いで、この書が最後になろうという老境の中で筆をとったという。
大衆迎合には、マスコミも利用されて来たという反省もあり、読売新聞社の主筆という立場から、加担したマスコミに対する批判もなかなかのもの。
その他、
「匿名への情熱」
「社会保障こそ最良の投資だ」
など、唸らせてくれました。
ワガママなプロ野球オーナーという顔しか知らなかったんですが、政治記者としてバリバリの経験もおありのようで、経営者になってからはフィクサーばりの「密室談合の仕掛け人」としての経 -
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渡邊恒雄(通称 ナベツネ)が書いた日本の政治の行く末を案じた本。
自民党政権下で、自民党と民主党の大連立をやろうとして暗躍したことも載っているが、基本的には、日本の政治がポピュリズムに巻き込まれることで、しっかりとした考えなしに衆愚政治になることを憂いた本である。
小泉劇場、鳩山・菅の民主党政権、橋下大阪維新の会などのあやまち、そして今後の不安も書いている。ポピュリズムとメディアの問題、または歴史からのポピュリズムの考察などは、参考になることが多い。
個人的には、スポーツの世界でのナベツネは、独裁、スポーツを軽視していると思うが、政治記者だけあって、政治を見る目、過去の著作、歴史には秀で -
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渡邉恒雄の最後の一冊。
ポピュリズム(大衆迎合)すると、碌なことにならないと筆者は言う。
実際ギリシャ危機に陥ったのは、大衆迎合的政治を行ったからだ。
日本でも、小選挙区制の為、みんな大衆に都合のいいことを言って票をもらう。よって政治家自体の質も下がる。
連立を組み、政局を安定させることにより、大衆ウケではなく真の政治を行うことができると筆者いいったかったのかな?
テレビの話は、納得できた。確かに放送時間が決まってるテレビでは深掘りされてない事実、またアナウンサーが自分の意見(左翼的)を述べることによってそれを見る人達が流れやすいのは納得。
アメリカ大統領の党首討論も当時は限られた時間 -
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(2013/3/29)
どういうきっかけで入手したかを忘れて、
著者の名前もナベツネと同姓同名だ、などと思ったほど。
なんのことはない、本人。世界一の発行部数を誇る讀賣新聞の主筆であり、大連立構想などを画策する男。
思い直して読んでみた。
いきなり橋下に言及。危ういという。ヒトラーをちらつかせる。
いまさらテレビの威力に触れる。ワンフレーズの小泉、8フレーズの橋下。船中八策だから。
八策はいいのもあるが悪いのもある。脱原発異存は橋下ブレーンの大前研一氏も否定していると大前さん登場。
おそらく讀賣は大前さんは嫌いだろうに。
そして新自由主義竹中批判。小泉は竹中に洗脳されたと。竹中の2大メガバン -
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ナベツネさんがポピュリズム(大衆迎合主義)の背景と問題点を論じた本。世間的にはあんまり評判の良くない人だけど、なかなか説得力のある内容だった。
ポピュリズムの背景には小選挙区制とマスメディア(テレビ・ネット)の影響があり、政治家は国民の支持を得やすい耳触りの良いことばかりを言い、本来の政治能力とは無関係な政治家本人のキャラクターや演技力が支持につながるようになってしまった、というのが主な内容。
安易な脱原発をいさめたり、ナベツネさんが関与した大連立構想の詳細も明かされたりして、なかなかお得な一冊。ただ単に批判するだけではなく、キチンと代案を出しているのが偉いところ。 -
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ナベツネさんは頑固爺そのもののイメージを持っていたが、彼なりの国を憂える気構えが見える作品。
大衆迎合政治、橋下現象が何故起きたか、大連立構想が何故必要と判断し、失敗したのか、ポピュリズム政治の考察、大衆迎合を煽るメディア、日本をギリシャ化させないためにで纏められている。
決められない、決めきれない政治はいたるところに問題が発生し、それを見かねた国民が小泉、橋下待望論に傾きつつある。
ローマの滅亡はパンとサーカス。
ギリシャの財政破綻は保守、革新ともにポピュリズムに走った。
原発は絶対必要。朝日、菅の原発ゼロはもっての他。経済が全くなりたたない。フランスのようにテロ対策、水素爆発対策etcの対 -
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流行ってるので読んでみました。ってフレーズからコメントを書き始めたくなるのは、“ナベツネ著”のなせるワザですよね(苦笑)
でも、書かれてることは総じてマトモです。マトモだと、僕は思います。一つ一つ、どの部分をどう思ったってとこまではここでは書きませんが、総じて言えば、マトモだと思います。
でも何なんですかね〜。一冊読み終わってマトモだと思った僕でもなお、「ナベツネっていいよね〜」って人前で言うのには、やっぱり抵抗を感じちゃう。だいたい、オビに、ナベツネが葉巻くゆらせてる写真使ってるあたりからして「大衆はついてこなくていいんだよ」感が滲み出ちゃってるんですよね。
大衆に迎合するのではなく、 -
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「大連立構想」驚愕の舞台裏から、小選挙区制・マニフェスト選挙の問題点、ポピュリズムの理論的考察、そして「無税国債」私案まで。半世紀超の政治記者歴による知見が込められた、読売新聞主筆による渾身の論考。。
86歳にして讀賣新聞の主筆を務め、テレビ出演もする渡邉恒雄氏。古今の政治学者、歴史学者の説を紐解きながらポピュリズムの危険性を説く。自身の関わった民主と自民の大連立構想など政治の世界の裏側の生々しい話も。「消費税引き上げ」「無税国債導入」「原発の再稼働」「社会保障への投資拡大」など主張も明確。少なくとも酔っぱらってスポーツ紙の記者の前で暴言・珍説を披露するナベツネ氏とは大違いだった。
(B) -
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ナベツベさんによる政治論。この方、マスコミへの取り上げられ方が、悪代官だったり、ワガママなプロ野球チームオーナーという役付けなので、記事でも面白おかしく書かれることが多い。氏の本格的な政治論というのは初めて読んだ。
小泉さんから始まり、鳩山さん、菅さんで絶望的に加速し、今、橋下さんで最終局面を迎えようとするポピュリズムへの最後の警鐘とのこと。政治は安定していなければ、物事を決められないし、政治家も育たないというのは理解できるし、その意味で、現在の選挙制度の問題や、民主党の人気取り政策の愚かさを断ずる部分も賛成。ただ、氏の豊富な経験には素直に敬服するものの、戦後からの政治家や制度を讃える発言には