萱野茂のレビュー一覧
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アイヌ民族の苦しみや悲しみの歴史。苦労。
誇りを持って苦しみや悲しみを乗り越えてアイヌのために生きる萱野茂さんの姿に心打たれました。
アイヌが受け継いできた文化や風習、言葉を、大切にこれからも受け継いでいくことができますように。
アイヌ語教室を開いていた萱野茂さんは生徒たちを何度かカナダへ連れていく視察の旅をされていました。
「子供たちは、カナダへ行って、いろいろな民族がそれぞれの風習を大切にしている様子を見て、日本人がいるのも当たり前、アイヌがいるのも当たり前だ、と思うようになったようです。」
みんな同じ、違う人は排除、なのではなく、多様性が当たり前、いろんな人がいて当たり前な世界になる -
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アイヌ民族は文字を持たなかった。狩猟民族で土地の風習、神々との神話を持つ暮らしであった。
この程度の知識しかなく、馬鹿にするも何も、自分と同じ人間であり生まれの血筋で容姿の違いがあるのは互いに尊重認め合う事である…そう思っていた。
私の中にはイヌイットの人々にも興味があったし、樺太が戦争の対価となったこと、吉村昭の熊嵐の三毛沢からも、北海道やアイヌ民族にとても惹かれていた。
トに○を付けた発音はできそうで出来ない。
作者が大切に記録した家族との風景に触れて、アイヌの方々の辛かった時代に寄り添う日本になると良いなと思いました。
おばあさんの昔話が終わったら有難うのかわりに言うアイヌの言葉が -
Posted by ブクログ
ウポポイで本書を買いました。
1899年にアイヌの人たちを日本国民に同化させることを目的に制定された北海道旧土人保護法。これが廃止され、アイヌ民族を固有の民族として法的に位置づけた「アイヌ文化振興法」が成立したのが、なんと約100年後の1997年
著者はまさにこの間を生き、アイヌ唯一の国会議員としてこの法律の制定に直接関わる。
ウポポイの成立も、この流れに沿ったものなんだと思います。本書を読んで、アイヌの受けた歴史と「民族共生象徴空間」の言葉が意味するものが理解できた気がします。
読後、著者の故郷である二風谷の資料館へ行きました。
巻末に解説している、萱野志朗氏がいらっしゃいました。ぜ -
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ネタバレ15世紀頃のアイヌの少女の物語の後半です。
ハルコロの成長・恋愛譚が中心ではありますが、後半はスピンオフしたエピソードの分量が割と多めでした。
見どころはコタンコロカムイを送るイヨマンテの荘厳な描写でしょうか。特にコタンの集会場で村人が一同に会し、幾夜もの間、名人の語る壮大なユーカラに静かに耳を傾ける場面は圧巻であり、この時代のアイヌの人びとが持っていた純粋さや、彼らが「カムイ」と呼ぶ人ならざる人を超えた存在への畏怖の念を、さて、21世紀の我々はどこかに置き去りがちではなかろうか? と思わせられるものがありました。
個人的には産婆さんの生い立ちエピソードも、決して現代視点でオカルトと片づけては -
Posted by ブクログ
15世紀頃のアイヌの少女の成長譚を軸に当時のアイヌの生活を活き活きと描いた物語の前半部。
多分、この物語、昔に朝日新聞の連載で部分的に読んでいて、ハルコロ、ウナヤンケといった登場人物の名に見覚えがあります。
アイヌは狩猟・採集を中心に生活を営んでいたと思いがちでしたが、粟などの穀物栽培の描写やそれを素材にした愛らしい神謡の紹介などもあり、興味深かったです。
ウナヤンケの生い立ちは原作にはなく漫画オリジナルの模様。ただ恋愛がらみの展開はその辺りのエピソードがあってこそ、なぜハルコロと彼が惹かれあったのかなどについて説得力が増していると思いました。 -