魚ノ丞さんの性格が最初とっつきにくかったのだが、慣れてくると寧ろ成海の性格の方が気になるという。
人のために頑張れる子ではあるが、脊髄反射で言葉にして反省することもしばしば。
そんなところが、終盤に彼女自身が忘れていたことへと繋がっていく。
百鬼夜行がおどろおどろしくなく、設定が分かると必要なこと
...続きを読むであり、救いでもあるというのはユニークだったと思う。
現代人こそこの百鬼夜行は必要だろう。
その分、魚ノ丞さんやカナくんの負担は増えてしまうが。
その百鬼夜行でも救いきれなかったものは、この二人が救ってくれる。
その光景は、背景に重いものがあるだけに、毎度感動的である。
美しいのだ。
ただその美しさを純粋に崇められないのは辛いところではあるが。
(救う側も救われる側も色々抱えているので)
救済の物語ではあるが、ただの美談ではなく、常にどこかほろ苦さを纏う物語。
成海が抱えていたものも、ざまあ展開にまでは至らないので、罰を受けるべき存在に因果応報の展開は訪れない。
まあ作中にもあるとおり、それを「悪」だと断じるのは、思っているこちら(今の場合は読み手の自分)の尺度で都合だ。
決めつけて批判するのは簡単だが、それは、救われる前の成海と同じような状況。
今までのことを含めて受け入れて、自分自身の力で立ち上がる、歩み出す。
その方が難しくはあるが、尊いことなのかもしれない。
そう考えさせられる話だった。