村上貴弘のレビュー一覧
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前作に続き面白い。話の筋自体は若干似ているが、こちらの本は巻末の先生のスケッチが圧巻だった。ハキリアリの音声が聞けるおまけもあるが昼休みに読み終えてまだ聴けていないので楽しみだ。
指導教授との出会い、研究テーマとの出会い、フィールドとの出会い…色々な偶然で自分にぴったり合う対象に出会えたのか、はたまたこういう好奇心旺盛な人はどんなテーマを与えられていても自分のものにできたのか、本筋と関係ないところで興味があるが、この先生ならどんなテーマでも面白く語ってくれそうである。
この本にも出てくるシジュウカラの鈴木先生の本も最近読んだことがあり、人間の言語という先入観にとらわれず様々な生き物の音を研究している人がいるということを知れたのも収穫。 -
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この表紙の雰囲気が『僕には鳥の言葉がわかる』(鈴木俊貴)に似ているから、出版社側はヒットにあやかった所もあるかと思うが、村上氏が動物言語学の研究者として、鈴木氏をリスペクトしているからなんだろうなと納得した。(173ページ)
アリの一般的なイメージは働き者だけれど、詳しく知るとそんな単純なものではない。協力して働く、寄生して乗っ取る、奪って奴隷にするなどバリエーションが豊富で人間社会の多様性をどう捉えるかについても考えさせられる。
色んな生き方があって、それが今でも残っているならどれも間違ってないし正しくもない、ただそう生きているだけなんだなと思えた。
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日曜天国でいつも聞いているキノコアリの話をもっと知りたいと思い読書。安住アナがピックアップして聞いているポップな箇所はラジオと一緒だし、筆者の語り口もラジオの語りと似ていて面白い。のだが、やはりこちらの本の方がディテールに勝ると言いましょうか。
パナマでの地道なアリの観察、真社会性とは(実は親子(母娘)よりも姉妹の方がDNAが濃いから、働き蟻たちは自分に近い子孫を残すという使命で働いているとか。生物ってそんなに自分のDNAを残すという本能に動かされているのか!?)、アリに刺されるうちに体質が変わったり数々の刺され経験を各地でしたり。
加えて最後の方、学者としての村上さんの背景にある哲学がよかった。メキシコの先住民の草鞋を履いている=現代の経済中心社会からはみ出たい気持ち(少し前にあの草履でトレイルラン優勝した先住民の女性がいたのを思い出し、履いてみたくなった)、ヒアリについての啓蒙活動を続けているとか。産官だけでは対処できないヒアリ対策に、学者としてできることを無償でもやりますという姿勢とか、後半は熱い思いが溢れ出さんばかりだった。
最後の方を読んでいると、安住さん、ラジオでこっちを聞いてよ!(忙しいから本の前半しか読んでないのかも)と思ってしまう。個人的にはレイチェルカーソンの伝記に感銘を受けただけあり、その影響が大きすぎたことによる副作用があったとは知らなかった。曰く、外来種であるヒアリの被害が過小評価されると共にDDPなど農薬の被害危険性が一人歩きして、世間は1かゼロかの極端に走ってしまったという。神聖視されがちな彼女の功績に、学者として釘を刺している箇所もおおと思った。農薬の功罪を把握した上で、適切な使い方を感情的にならずに考える…アリの長い歴史に比べて人間の存在なんてちっぽけでまだまだ浅いという実感があるからこそ、人間が独りよがりで世界を変えようとしている姿に感じるところもあるのかも。次のラジオ出演も今から楽しみ(その際はぜひ新しい話を聞きたい)。 -
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「アリ語で寝言を言いました」の村上先生のアリ本。今回も面白い。アリ愛にあふれてる。
アリは現在1万5000種。まだまだ増えるかもしれないそうだ。
初めに出てくるトゲアリの仲間だけでも、幼虫の出す糸で葉っぱを紡いで巣をつくるやつやら、クロオオアリに寄生して巣を乗っとるやつやら、満潮時水没する巣に住んでいて5℃以下であれば100時間も水中にいられるやつやら、第1章からなかなか面白い。
その小さい相手に対して、体毛を剃ったり、解剖したり、研究者たちのすごい世界。
村上先生は、分かりやすい書きっぷりで、とてもよみやすい。本の中のイラストも分かりやすくて面白い。
途中やや難しいところがあったから、また読み返さなきゃ。 -
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あるラジオ番組で、著者の村上さんがゲスト出演されており、お話がすごく面白かったので、もっとしりたと思い、こちらの本を手に取った。
アリの社会がこんなにも複雑で、かつ、そのシステムがこんなにも多様性に富んでいるということを知らなかった。さすが5000万年の歴史を持つだけのことはある…
子どもを生まないけれど同胞のために休みなく動く働きアリ、勢力互角のため直接対戦を避けるハキリアリとグンタイアリ。働きアリを騙してコロニーを乗っとるサムライアリ…つい今の人間社会に投影してしまった。
人類より遥かにながい生命の歴史を持つアリから学べることはかなり多そう!研究は大変そうだけど頑張ってほしい。応援してます! -
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ひたすらに面白い。アリは社会性のある生き物、ということだけはよく聞くが、その詳細は知らなかった。多くの人はそうなのではないだろうか。
どうやら働き者らしい、この「アリ」という生物。
ひとくちにアリと言っても多様な種類があり、それだけの社会の形態がある。
直接的には子孫を残さない「働きアリ」がせっせと働く背景には「利己的な遺伝子」が暗躍していたり、「働きアリの法則」にはアリの種類による違いがあったり。身近なようで知らなかったアリの世界がらありありと提示される。
そして何よりも、村上先生の情熱。この情熱に触れられるという点が、本書のもう一つの醍醐味だ。
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真社会性生物のアリ。5千万年前からほぼ現在と同様の形態。その魅力にハマり研究する筆者。真摯な研究態度に好感が持てる。
真社会生物とは、集団が協力して子育てを行い子供を産まない個体が存する、繁殖だげ行う女王が存在、世代が重なるという特性を持つ。ハチ、アリ、シロアリやハダカデバネズミなど。
筆者はハキリアリという巣でキノコを育てるアリの研究者。本書はハキリアリをはじめグンタイアリ今流行りのヒアリなどの不思議な生体と研究生活を実に分かりやすく語る。複雑かつ巧妙な生態がどのような過程で獲得されたか、謎が多い。
ヒトの歴史はたかだか20万年、5千万年の歴史のあるアリ社会は環境の変化に対するヒトの社会に役に立つ見本となるかもしれない。
バッタだったりウナギだったり鳥だったり、ニッチな研究について面白可笑しく語る本は一つのジャンル。だが本書で好感が持てるのは自虐、ウケ狙いが全くなく、筆者が本当にアリの魅力を語っているところ。専門的な内容であっても知的な発見の連続が本書で堪能できる。
筆者のアリ愛。一見無駄そうな基礎研究の大切さと楽しさを教えてくれる1冊でした。文句なしに五つ星です。 -
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ネタバレアリの世界を知るほど、「働く」ということについて考えさせられる一冊。特に驚いたのが、同じ巣の中でも働き方に大きな違いがあること。せっせと働くアリがいる一方で、普段はほとんど仕事をせず、仲間が足りなくなったときに動き出す「働かないアリ」がいる。そして、働き続けるアリほど寿命が短くなるという「過労死するアリ」の話には衝撃を受けた。
さらに、アリが仲間の匂いを手掛かりに巣の仲間を識別したり、化学物質で餌の場所などの情報を伝えたり、音や振動まで利用してコミュニケーションを取っていることにも驚かされた。小さな体で、これほど複雑な社会を作っているとは思わなかった。
アリの生態を詳しく追っていくうちに、話は進化や生態系、さらには人間の働き方や社会のあり方へと広がっていく。専門的で少し難しく感じる部分もあるけれど、それ以上に「アリってこんなに面白い生き物だったのか!」という発見が多い。身近なアリを見る目まで変わる、奥深い一冊だった。 -
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アリの社会から、ヒト社会が学ぶこと目指すこととは何か、について考察されていました
ヒトは誕生してまだ20万年で、アリに比べるとまだまだ若い(アリは数千万年)
アリの利他的で真社会性が整っている行動は、数千万年を乗り越えて進化してきた結果である、と書かれていました
アリの行動は、原則上記の通りなのですが、種類によってめちゃくちゃ働く種類、ほとんど働かない種類、別の種の巣に居候する種類、子孫の残し方など様々であることは興味深かったです
また、働き過ぎるアリは、のんびり暮らすアリよりも寿命が短いことはとてもドキリとさせられました
アリの言語を解読しようとしているお話もとても面白かったですし、まさか、本当に音でコミュニケーションをとっていたとは驚きでした
加えて、著者のポジティブでワイルドな行動力は、とても素晴らしいと感じた反面、私には到底真似ができないし、アリに対する愛情がとてつもないんだなぁ、と感じ続けながら読み進められる内容でした -
Posted by ブクログ
世の中には色んなものを見ている人がいるんだなぁと思いました。
誰もが身近で知っている「アリ」について。
でも、読んだら全く未知の世界が広がってました。
おしゃべりをするハキリアリ、
キノコを育て農業をするキノコアリ
アギトアリ、アミメアリ、パラポネラ‥など、聞いたことのないアリ、アリ、アリ、アリ…
なんと多種多様なアリがいることか!
女王アリ誕生のメカニズムも実に様々。1つのコロニーに1匹だけかと思ってたら、多数いるものもあり。
知れば知るほど驚きの生態!
でもそれを知るためには地道でチマチマした実験と危険なフィールドワーク。
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60匹ものアリの身体に個体識別のマーキング、顕微鏡で15分毎 10時間×5日の観察、アリ語の音声分析、アリのコロニーの発掘。
どれかを手伝うとしたら究極の選択だな…。
グンタイアリやダニなど、どんな危険な生物に出会うかもわからないアリのフィールドワークは想像以上の過酷さで命懸けのご様子でした。
著者は日本でも数年前に確認された外来種「ヒアリ」についても、研究をされています。
本書を読んで、生態系に及ぼす影響の大きさを想像できるようになると、研究者がいて警鐘をならしてくれるありがたみを感じた。 -
Posted by ブクログ
アリ研究者のエッセイ。タイトルがキャッチー。
著者の専門は「菌食アリ」と呼ばれる、ハキリアリやキノコアリである。彼らは農業を営むアリとも言われていて、巣の中に畑を作り、そこでキノコなどの菌類を育てて女王や幼虫の餌にしている。ハキリアリは葉っぱを切って運ぶことからその名がついているが、この葉っぱを直接食べるのではなく、キノコを育てるために使う。
アリは社会性動物であり、ハキリアリも女王を中心として、育児やキノコ栽培といった複雑な社会生活を送る。その際にはもちろん、コミュニケーションが必要なわけだが、従来いわれてきた「におい」によるコミュニケーションに加えて、音声のコミュニケーションがある、というのが本書の1つの読ませどころだ。
アリがどう話すのかというと、
キュキュキュキュ キュッキュキュキュキュキュ
キュキュキュ キュキュキュ
キュンキュン ギョギョ
という具合。
発音器官は、胸と腹部の間にある「腹柄節」という部分だ。昆虫の中でもアリにしかない。
小さなアリが小さな部分で立てる音を拾うには、高性能の小型録音装置が必要になる。まともに買うと飛んでもない価格だが、著者は安い部品を集めて工夫して高性能のものを用意する。
これを飼育ケースにセットして、キノコ畑を再現し、アリを入れる、というわけだが。
人相手の言語学者であれば、現地の人とコミュニケーションを取りながら、どの行動でどんな言葉が発せられるかを調べ、仮説を立てながら検証していく。
しかし、相手はアリ。ひたすら行動観察して音声と突き合わせていく。これが飛んでもなく地道な作業である。録音した音を聞きながら、あるシチュエーションで「キャ」が何回、このシチュエーションでは「キュキュ」が何回、この場合は「ギー」が何回と、「正」の字を書きながら(!)数えていく。あるアリなどは15分で7000回もしゃべっており、この15分の解析だけで1ヶ月掛かったというから気が遠くなる。著者も
「本当にお前、意味のあることしゃべってるのか?」
とぼやきたくなったというのもむべなるかな・・・。で、挙句の果てに、寝言でまでアリ語をしゃべるようになってしまったのがタイトルの意味。
この解析の結果から、行動と音声の関係に関して、いろいろおもしろいことがわかってきたそうで、近いうちに論文発表されるとのことである。
地道な解析に加えて、現地(ハキリアリはパナマなど中南米にいるため)でのディープな研究者生活の話も興味深い。
著者はヒアリも専門にしていて、最終章はヒアリにあてられている。近年、日本への本格上陸も警戒されているが、そのためにはまず、ヒアリについて正しい知識を持つことが大切だという。
特異なアリの研究から、「社会性とは何か」や、ヒトと「害虫」との関わりについても見えてくる。
軽く読めてディープで楽しい。