あらすじ
おしゃべりするアリを研究する
「アリ先生」による面白すぎるアリの生態
・葉っぱを切って集め、キノコを育てるハキリアリは超おしゃべり!?
・アリは極寒、酷暑の砂漠でも活動でき、海中に住むアリも!?
・24時間ほぼノンストップで働き3か月で死んでしまうアリ
・巣全体の4%しか働かないアリ
・夫婦で寄生するフリーライダーのアリ
・死をコントロールされてしまうゾンビアリ
・子育て中はアリも寝不足になる
・アリも睡眠時間が寿命に影響する……etc.
アリが地球上に登場してから約5000万年。
原始的な小さい社会で生きるアリから、超複雑でシステマチックな社会をつくる進化したアリまで、さまざまな種類のアリがいる。
人間社会では、この巨大な社会から振り落とされないよう、社会にコミットし、仕事をして奉仕しなければならない、働かざる者喰うべからず!という思考になりがちだ。
しかし働き者のイメージがあるアリの社会は、実際はそうでもない。
高度に進化した役割分担社会と、平等でのんびりした原始的社会。どちらの働きアリが幸せだろう?
多様でとんでもなく面白いアリの世界から、地球に登場して20万年にしかならない人類が幸せになるヒントをもらえるのではないだろうか。
特典音声 ハキリアリのおしゃべりが聞けます!
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Posted by ブクログ
研究者と言う生き物が少しわかる本、サラリーマンとは違う。
働く働きアリの割合が種によって違うと言うのは興味深いですね。働かないアリは本当はどんな仕事を受けもってるのだろう。
あと、仕事の役割分担はどうやって決めたんだ?
24時間働くとアリも早死にするんだな。適度に休んで長生きするべきとは思わないが、過労死はしないでほしい、きっと辛いから。
全てのアリが生産性向上前年比5%とかいってたら恐ろしいな。資本主義社会がいかに不自然か気付かされる。
Posted by ブクログ
「アリ語で寝言を言いました」の村上先生のアリ本。今回も面白い。アリ愛にあふれてる。
アリは現在1万5000種。まだまだ増えるかもしれないそうだ。
初めに出てくるトゲアリの仲間だけでも、幼虫の出す糸で葉っぱを紡いで巣をつくるやつやら、クロオオアリに寄生して巣を乗っとるやつやら、満潮時水没する巣に住んでいて5℃以下であれば100時間も水中にいられるやつやら、第1章からなかなか面白い。
その小さい相手に対して、体毛を剃ったり、解剖したり、研究者たちのすごい世界。
村上先生は、分かりやすい書きっぷりで、とてもよみやすい。本の中のイラストも分かりやすくて面白い。
途中やや難しいところがあったから、また読み返さなきゃ。
Posted by ブクログ
アリの社会から、ヒト社会が学ぶこと目指すこととは何か、について考察されていました
ヒトは誕生してまだ20万年で、アリに比べるとまだまだ若い(アリは数千万年)
アリの利他的で真社会性が整っている行動は、数千万年を乗り越えて進化してきた結果である、と書かれていました
アリの行動は、原則上記の通りなのですが、種類によってめちゃくちゃ働く種類、ほとんど働かない種類、別の種の巣に居候する種類、子孫の残し方など様々であることは興味深かったです
また、働き過ぎるアリは、のんびり暮らすアリよりも寿命が短いことはとてもドキリとさせられました
アリの言語を解読しようとしているお話もとても面白かったですし、まさか、本当に音でコミュニケーションをとっていたとは驚きでした
加えて、著者のポジティブでワイルドな行動力は、とても素晴らしいと感じた反面、私には到底真似ができないし、アリに対する愛情がとてつもないんだなぁ、と感じ続けながら読み進められる内容でした
Posted by ブクログ
真社会性動物であるアリ。フェロモンだけでなく音を出してコミュニケーションを取っているとの研究をする筆者。世界のアリの特異な生態と社会について紹介する。
働かないアリが2割というのは種によるというのが真相。
それぞれの個体が自己判断で動きつつ種として最適解にたどり着くという不思議。
前著「アリ語で寝言を言いました」に続き、生物の魅力を伝える一冊。
Posted by ブクログ
audible。アリは砂糖が好きだと思っていたし、外でこぼしたお菓子はアリの餌になると信じてきたけどアリは固形物を食べないらしい。
固形物の中の汁を吸っているだけなので糞もしない。みんなで一生懸命にクッキーやパンの食べカスを運んだりしているのに、あれは果たして汁が吸えるのか?!俄かに信じがたい。
また、アリは地面に伝わる振動を波として脚にある器官で音を聞いているそう。
人間の足音は周波数の違いで聞こえないから大騒音にはならない。
生物によって周波数の違いがある意味を知って衝撃的だった。確かに全部の生物が同じように音が聞こえたら大変だ。
本書は、単独で楽しめるけど一応前著の続編らしい。そのためか、馴染みのないアリや難しい遺伝子の話などもあり意識が遠くなりかけた。
ところどころにユーモアのある文章を挟んでくれているけど、audibleが淡々としたデジタルボイスでスベリ気味だったのでこれは紙の本の方がお勧め。
Posted by ブクログ
アリ学者によるアリの本。
アリって身近な生き物だから研究され尽くしてるのかなと思いきや、未だに毎年新種が発見される世界だそうで、そこから驚いてしまった。
Posted by ブクログ
アリの社会には働かないアリが一定数いるという。怠けているわけではなく仲間が疲れたときに代わる「控えの戦力」だ。しかしすべてのアリが常に働き続けるとどうなるか。過労死するアリが増え社会全体の維持が困難になるという。
これは人間社会にも通じる。効率を追求しすぎると余裕がなくなり組織の持続可能性を失う。ではなぜ働かないアリがいることで社会が安定するのか。研究によれば労働に偏りがあるほど全体の生産性が向上し危機に強くなるという。
適度な休息と役割分担が社会の安定には不可欠なのだ。個々が支え合い休むことで全体が健全に機能する。アリの世界から学べることは多い。
Posted by ブクログ
きっかけは、2024年10月7日の文化放送「田村淳のNews CLUB 今週のスゴイ人」に著者の村上貴弘さんがゲスト出演し、とても楽しそうにアリの話をしているのを聞いたことでした。村上貴弘さんはおしゃべりをするハキリアリの研究を深めた結果、アリ語で寝言を言う筋金入りのアリ研究家。
アリがこの地球に出現したのは約1億5,000万年前。約5,000万年前にはほぼ現存する属が出現し、その後さらに、多様な環境に適応する中でさまざまな種に分かれていった。現在、分かっているアリの種類は約1万5,000種。アリはほかの昆虫が到底生きられないような場所にも適応している。例えば、酷暑の砂漠や、極寒の地や、海中で生活しているアリもいる。
さらに、アリは真社会性と呼ばれる見事な社会を作る。アリの個体はそれぞれが適切な判断基準を持ち、それに沿って自由に動き回る。それが何万個体と集積することでいわゆる「集合知」となり「最適解」に極めて近くなる、というのが実情に近い。個々が自由に行動していることが、利他的行動となり、それが全体に集約されると最適化されていく。誰かに押し着せられたものにただ従うのではなく、自分自身の中にちゃんと決断する基準を持つ。そしてそれらを粛々と積み重ねることで、社会は最適な選択にたどりつく。
まさに1億5,000万年を経た進化の結果で、生物学的には生身では人間よりよっぽど進化しているそうです。