エレナ フェッランテのレビュー一覧

  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    小説としてここまで客観的な視点が入らない物語も中々無いのではないか。
    作中はエレナが自分とリラの人生を一から振り返り、書き連ねている形のため、全巻通してエレナの心情や苦悩、空想も含め全て赤裸々に語られていた。
    2人の波瀾万丈な人生を描いてはいるが、客観的に語られていればここまで惹きつけられる内容にならなかったと感じた。
    エレナの細部にまで渡る心情の描写、最後の最後まで囚われたかのように自身とリラを比較し続けてしまう想いが綴られてこその魅力になっている。

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    2025年03月15日
  • 逃れる者と留まる者 ナポリの物語3

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    ネタバレ

    エレナはナポリを離れ結婚生活を始めるが、思い描いていた結婚生活を送ることができずにいた。そこで何十年も思い続けているニーノとの再会を果たす。国内の情勢の変化に伴い混沌とした環境で苦しむリラを支え、自らの著作活動も進まず、夫への愛情も見失い、子育てにも苦しむエレナはニーノと愛人関係に落ちてしまう。家族との訣別を決心しニーノと旅行に出かけるシーンで今回は幕を閉じるが、エレナとリラの人生はどのような顛末を迎えるのか。最終巻も楽しみにしたい。
    かつて暮らした街から逃れてもなおリラの幻想からは逃れられず、どれだけリラから離れようとしても節目節目でエレナの前に立ちはだかるリラ、死んでくれとまで願うほど憎む

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    2025年02月26日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    HBOでドラマ化もされたイタリアのベストセラー、ナポリの物語全4巻。とにかくはちゃめちゃに長い本なのだがあらゆる時間を削っても読ませるドライブがある。貧困と暴力にまみれたナポリのある地区。幼馴染みの女の子二人の幼少期から60年以上に渡る愛憎の物語。

    このお話は主人公のレヌーとリラの友情物語として紹介されることが多いようだけど、ただの友情物語では終わらず、猟奇的な「地区」に翻弄され縛り付けられる人間たちを群像劇的に描いた物語として読んだ。
    主人公はレヌーでありリラであるけれど、同じ地区に暮らす女たちの物語であり、ソラーラ兄弟の物語でもある。

    地区での日常が書かれる中に、イタリアならではの家族

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    2021年05月25日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    終わってしまった…読み終わったばかりでまだ咀嚼しきれていないけれど、とりあえず読みながら考えていたのは、これほど女性の友情をリアルに率直に描いた作品を読んだのは初めてかもということ。全く違う個性の他人同士がお互いに惹かれ合い、気が合い、友達になる。相手への共感や憧れ、好意、信頼だけでなく、相手には負けなくないという気持ちや嫉妬、反発もある関係。お互いに相手の全てを受け入れられるわけではなく、嫌悪感を持つところもあったりする。長い人生の中で親密な時もあれば離れる時もある。それでもお互いが唯一無二の存在である。とてもとても複雑な、一筋縄ではいかない関係。ある意味、恋愛関係よりも濃くて深いかもしれな

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    2020年07月01日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    いよいよ最終巻。1〜2巻の華やかな展開に比べ、3巻はフェミニズム、政治を中心に勝ち目のない絶望的な圧で喘ぐ2人にこちらも息ができなかった。4巻は2人の安定な暮らしの危うさとリナの脆さの秘密がちらりと見えてそして。読み終えてしまった。初めて「リラとわたし」を手に取って夢中でページを繰った、2人に出会えたあの日に戻れたらと思う。

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    2020年05月31日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    3年がかりで刊行された「ナポリの物語」が、遂に完結した。してしまった。最終巻を読みながら、残り少なくなっていくページが惜しくて惜しくて。ずっと、このなかにいて、リラとエレナを見ていたかった。
    最終章を読み終えて、一巻の冒頭へ戻り、また反芻して。。面白い本は、読み始めて数秒でブラックアウトする感覚があり、このシリーズはずっとそんな幸せな感覚のなかで読んだ。ページを開くと、私もナポリの町に居る。貧困と、暴力と、噂話と、男達女達の駆け引きと、金と、クスリと、ありったけの生にまみれたあの「地区」へ、私も運ばれていく。

    リラと私、ことエレナの手記として始まるこの長い物語。リラは極端で、野生動物のように

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    2020年04月22日
  • 新しい名字 ナポリの物語2

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    2巻も勢いは落ちないどころか、怒涛の。途中で本を置くことなどとてもできず一気読み。すっかり日が暮れた。残りも読ませて…

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    2019年01月15日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    「自分の意見は断固主張しながらも、非の打ち所がない普段の行いによってあらゆるひとたちから信頼を得てバランスを取るのだ。」(376頁)

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    2018年09月18日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    NYTが選ぶ21世紀の100冊で1位。思春期に誰もが通る嫉妬や挫折、広い世界への憧れ。リラの頭脳とカリスマに「成瀬」を重ねて楽しい部分がある一方、子どもではどうしようもない地域や家族のしがらみが苦しい。続刊も積まねば!

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    2025年09月28日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    分厚さに最初は怯んだものの、一気に読み終えてしまった。それくらい空気感が自然で、引き込まれる。リラとエレナの女の友情のゆらぎ、地縁や階級に縛られた人間関係。自分とは違う国、時代を生きているのに、自分の小中時代を思い出して重ねてしまった。それくらい感情がリアル。夢想しては現実を見つめて、リラと近づいては遠のいて…相反する感情のせめぎあい。周縁消滅-ズマルジナトゥラ-という感覚も、なんとなくわかる気がする。青春期、今までと見える世界が変わって、家族を全く違う他者として認識する感覚…。2巻以降でもこれについては触れられるのだろうか。まだまだ序盤なので、これからさらにこの世界観にトリップできるのが楽し

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    2025年04月20日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    4部作を一気に読んだ。長く濃密な旅路だった。
    世界的ベストセラーになったのは、あらゆる境遇の人の共感を得やすいからだろうか。二人の主人公と言うべきエレナとリラは共にナポリの貧しい地区出身で、中学にすら行く子供が珍しい環境で育つ。しかし、共に素晴らしい頭脳を持ちながら、教育を受ける機会を獲得し都会に出て徐々に知識人・中流階級へ仲間入りしていくエレナとは対照的に、リラは進学を阻まれ10代で商店主と結婚し、以降の人生もナポリの地に根を生やし続ける。しかし2人の友情は、互いへのごく繊細な愛情・羨望・憎悪・嫉妬をない混ぜにしながら、一種の複雑な共依存の様相を呈し、生涯にわたって続くことになる。

    一巻の

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    2023年06月24日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    孤高のリラと、そんな彼女をいつも追いかけてしまうエレナの友情の物語。4部作の1冊目。
    ただただ周りに翻弄される幼少期から、諦めも含めて道を選択していく思春期までを描いている。
    評判の割にどこから面白くなってくるんだろう、、と諦めそうになりつつも読んでいると、主人公達の不器用(でも、どこか自分にも経験があるよう)な毎日が、どう変化していくのか、段々のめり込んでしまった。
    残り3冊を読み進めるには少し腰が重たいが、これからの展開が気になる。

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    2020年12月12日
  • 新しい名字 ナポリの物語2

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    すごい。地域柄なのか、みんなすごく気性が激しいんだなと思うけれど、人間関係の機微や人の複雑さが微妙なところまでうまく描かれていて、本当に面白いし、読み応えがある。彼らはもう私の中で生きている。

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    2020年03月03日
  • 新しい名字 ナポリの物語2

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    青年期。エレナがリラを意識しすぎ?とも思えてきた。
    子供時代から丁寧に描いているからこそ、登場事物一人一人の人生の歩みがめちゃめちゃ興味深い。特に地区の男性陣。皆色々曲がり道を進みながら人生を歩んでいる…。

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    2025年05月03日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    エレナとリラ、ふたりの少女の物語。4部作の1作目。作者は主人公と同じ名前だが、半自伝的作品?続きは読むか検討。

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    2023年03月22日