エレナ フェッランテのレビュー一覧
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ネタバレエレナはナポリを離れ結婚生活を始めるが、思い描いていた結婚生活を送ることができずにいた。そこで何十年も思い続けているニーノとの再会を果たす。国内の情勢の変化に伴い混沌とした環境で苦しむリラを支え、自らの著作活動も進まず、夫への愛情も見失い、子育てにも苦しむエレナはニーノと愛人関係に落ちてしまう。家族との訣別を決心しニーノと旅行に出かけるシーンで今回は幕を閉じるが、エレナとリラの人生はどのような顛末を迎えるのか。最終巻も楽しみにしたい。
かつて暮らした街から逃れてもなおリラの幻想からは逃れられず、どれだけリラから離れようとしても節目節目でエレナの前に立ちはだかるリラ、死んでくれとまで願うほど憎む -
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HBOでドラマ化もされたイタリアのベストセラー、ナポリの物語全4巻。とにかくはちゃめちゃに長い本なのだがあらゆる時間を削っても読ませるドライブがある。貧困と暴力にまみれたナポリのある地区。幼馴染みの女の子二人の幼少期から60年以上に渡る愛憎の物語。
このお話は主人公のレヌーとリラの友情物語として紹介されることが多いようだけど、ただの友情物語では終わらず、猟奇的な「地区」に翻弄され縛り付けられる人間たちを群像劇的に描いた物語として読んだ。
主人公はレヌーでありリラであるけれど、同じ地区に暮らす女たちの物語であり、ソラーラ兄弟の物語でもある。
地区での日常が書かれる中に、イタリアならではの家族 -
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終わってしまった…読み終わったばかりでまだ咀嚼しきれていないけれど、とりあえず読みながら考えていたのは、これほど女性の友情をリアルに率直に描いた作品を読んだのは初めてかもということ。全く違う個性の他人同士がお互いに惹かれ合い、気が合い、友達になる。相手への共感や憧れ、好意、信頼だけでなく、相手には負けなくないという気持ちや嫉妬、反発もある関係。お互いに相手の全てを受け入れられるわけではなく、嫌悪感を持つところもあったりする。長い人生の中で親密な時もあれば離れる時もある。それでもお互いが唯一無二の存在である。とてもとても複雑な、一筋縄ではいかない関係。ある意味、恋愛関係よりも濃くて深いかもしれな
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3年がかりで刊行された「ナポリの物語」が、遂に完結した。してしまった。最終巻を読みながら、残り少なくなっていくページが惜しくて惜しくて。ずっと、このなかにいて、リラとエレナを見ていたかった。
最終章を読み終えて、一巻の冒頭へ戻り、また反芻して。。面白い本は、読み始めて数秒でブラックアウトする感覚があり、このシリーズはずっとそんな幸せな感覚のなかで読んだ。ページを開くと、私もナポリの町に居る。貧困と、暴力と、噂話と、男達女達の駆け引きと、金と、クスリと、ありったけの生にまみれたあの「地区」へ、私も運ばれていく。
リラと私、ことエレナの手記として始まるこの長い物語。リラは極端で、野生動物のように -
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分厚さに最初は怯んだものの、一気に読み終えてしまった。それくらい空気感が自然で、引き込まれる。リラとエレナの女の友情のゆらぎ、地縁や階級に縛られた人間関係。自分とは違う国、時代を生きているのに、自分の小中時代を思い出して重ねてしまった。それくらい感情がリアル。夢想しては現実を見つめて、リラと近づいては遠のいて…相反する感情のせめぎあい。周縁消滅-ズマルジナトゥラ-という感覚も、なんとなくわかる気がする。青春期、今までと見える世界が変わって、家族を全く違う他者として認識する感覚…。2巻以降でもこれについては触れられるのだろうか。まだまだ序盤なので、これからさらにこの世界観にトリップできるのが楽し
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Posted by ブクログ
4部作を一気に読んだ。長く濃密な旅路だった。
世界的ベストセラーになったのは、あらゆる境遇の人の共感を得やすいからだろうか。二人の主人公と言うべきエレナとリラは共にナポリの貧しい地区出身で、中学にすら行く子供が珍しい環境で育つ。しかし、共に素晴らしい頭脳を持ちながら、教育を受ける機会を獲得し都会に出て徐々に知識人・中流階級へ仲間入りしていくエレナとは対照的に、リラは進学を阻まれ10代で商店主と結婚し、以降の人生もナポリの地に根を生やし続ける。しかし2人の友情は、互いへのごく繊細な愛情・羨望・憎悪・嫉妬をない混ぜにしながら、一種の複雑な共依存の様相を呈し、生涯にわたって続くことになる。
一巻の -
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