米川良夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「東方見聞録」をベースにした幻想小説。元の皇帝フビライにマルコ・ポーロが世界の都市の有様を語るという体裁で、フビライとマルコ・ポーロの対話をはさみつつ様々な都市が描写される。マルコ・ポーロが語る都市の姿は、実在する都市であり、記憶の中の都市であり、かつて過去に存在した都市であり、やがて未来に存在するであろう都市。あるいは、ひとつの都市の姿ではなく多くの都市の姿から帰納された都市であるかもしれないし、ある概念に基づいた演繹された都市、ある都市が別の都市へと反映された姿かもしれない。またマルコ・ポーロが語りフビライが聞くのであるが、その語りは常に一方向ではなくフビライからマルコ・ポーロへの働きかけ
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Posted by ブクログ
戯れの中に秩序が芽生えている。
マルコ・ポーロの見聞録として構成された
この都市カタログは奇形児ばかり集められたような印象ではある。
けれども、過剰も欠落もそこにはない。
ありのままの都市が確かにある。
水道管だけで成り立つ都市にしろ、
郊外しかない都市にしろ、
旅立つことしかできない都市にしろ、
それらの描写は緻密だが、その合間には空虚しかない。
語られたものがすべてで、都市は外側に屹立する。
見えない都市であるのは、彼らが目を閉じているからだ。
目を閉じ、身をおいているのだ、言葉の都市に。
目を開けば、この日常こそが
過剰と欠落の充溢であることが感じられるよう。
もちろん、都市カ