あらすじ
これからの文学に必要なもの――それは「軽さ」「速さ」「正確さ」「視覚性」「多様性」……である。神話や古今の名著名作、さらには科学者や宗教家の文献までをも考察の対象に収めながら、自らが作家として目指してきたところを示し、紀元3000年にいたるまでの長大な未来を視野に入れて疲弊した現代文学を甦らせる処方を語るカルヴィーノの遺著。
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Posted by ブクログ
カルヴィーノから未来へ向けられた、文学についての6つの提言。
その中でも注目すべきは「軽さ」。
あゝ、なんともカルヴィーノ的!
他の文学者、学者なら同じことを言うだろうか。
純文学でございと重々しく後代にのしかかっていては、文学は途絶えてしまうだろう。
文◯春◯や☓原☓太郎氏に、利権を死守するべく選挙に立候補する方々にぜひ手向けるたい言葉である。
Posted by ブクログ
カルヴィーノが晩年にアメリカで行った講義ノート.講義自体は6回であったが,本人が文章としてまとめることができたのは5回分であった.6回のテーマはそれぞれ,軽さ,速さ,正確さ,視覚性,多様性,一貫性であった.どれもカルヴィーノ作品のキーワードと言えるだろう.これは,その逆となる言葉を常に意識していたことも意味している. 39ページでカルヴィーノはこう書いている.
"重さを備えた言葉を味わうことができなければ,言葉の軽やかさを味わうこともできないでしょう"
カルヴィーノはいろいろな文学作品を例に挙げながら,彼の文学論を展開している.そこから浮かび上がってくるのは,他者を認めながら自分を形作っていくことの重要性ではないだろうか?重さ,鈍重,…etc. を認め,それとは逆向きにあった自分が向かうべき道を築くために,何を考えてきたのかを説明しているように私には思えた.
Posted by ブクログ
ぼくは、レトリックに満ちた文章に弱い。ボルヘスもそうだが、カルダーノもそうだ。この講義を聴けた人は幸せだったと思いたくなる。早くに亡くなられたことが悔やまれる。