二人の身に起きた事件が物語とともに進展していき、優しかったはずの伯父になぜ撃たれたのかとか、トーリがアーチャーを孤立させようとした理由とか、伏線がきれいに回収されてスッキリ。悪者と思っていたトラヴィスが、最後には味方になるのも予想外で良かった。
体は大人、心は少年のアーチャーが、初SEXしてから四六時中やりまくったり、ブリーへの愛をこじらせて町を飛び出したり、内面が思春期の少年のままなのが良い。ブリーはブリーで、無垢な美青年を育成する背徳感がありつつ、独占欲にとらわれず、アーチャーを孤独から救おうと奮闘する姿に好感が持てた。
ロマンス本にしては設定が重すぎ、登場人物が多すぎ、特にブリーの交友関係が広く、美人で大卒でコミュ強は恵まれすぎだろうと鼻についた。あと、ブリーの犬はちょこちょこ登場するのに、アーチャーの犬がほぼ空気で、ちゃんと世話してるのか心配になった。
「あらすじ覚え書き」※ネタバレあり
強盗に父親を殺されたブリーは故郷を出て、湖畔の小さな町ペリオンに流れつく。湖へ続く道の途中にはアーチャー・ヘイルの家があり、口のきけない彼は誰とも交流せず孤独に暮らしていた。父と手話で会話をしていたブリーは、アーチャーに話しかけ、大事な人を目の前で失った過去を持つふたりは、次第に仲を深め恋人同士になる。
携帯電話の故障でブリーが死んだと勘違いしたアーチャーはパニックにおちいり、自分がブリーの重荷になっていると気づいて町を離れる。外の世界に出て、人々の反応は様々であり、それは自分のせいというより、彼らがどういう人間かによって左右される。ブリーにふさわしい男になるためには、自分のために戦う必要があると気づいたアーチャーは、町に戻ってブリーに愛していると告げ、コナーの遺産を相続して町の運営を始める。
七歳のアーチャーには、優しい母親アリッサと酒びたりで暴力を振るう父親マーカスがいた。伯父のコナーはアーチャーと母親を愛しており、三人で町を出ようとするもマーカスに感づかれ、追突事故でアリッサは死亡。コナーはアーチャーが自分の子供だと言い、撃ち合いになって兄弟は死亡し、“叔父”マーカスの銃弾を喉を受けたアーチャーは声を失う。