新井久幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
京大のミステリ研に所属し、長らく新人賞の下読みをしてきた筆者がミステリの「お約束」をまとめた一冊。たしか、綾辻先生が紹介されていて手に取ったんだったかな。
タイトルには「書きたい人のための」とありますが、読み専門の私としてもミステリガイドとして楽しむことができました。おかげで付箋がまたいっぱい……。
本筋とは関係ないかもしれませんが、最も心に残ったのは「食わず嫌いしないで、何でも読む」というアドバイス。
私にとっての読書は娯楽であり趣味ですから、好きなジャンルの、お気に入りの作家だけ読むというのでも問題はないのでしょう。
でも、読書に限らずどのジャンルだって、知らないよりは知っている方が楽しめます。また、たとえ読んでつまらないと感じたとしても、その本が「合わなかった」ということは得られるわけです。
大好きなミステリーというジャンルをもっと楽しむために、興味がないからと手に取らなかった本にも目を向けてみようと思いました。
また、作者がこれだけ手を尽くして書き上げ出版された作品のですから……読む側としてもっと楽しめるようになりたいなとも感じましたね。 -
Posted by ブクログ
# 感想
私は小説を書きません。ただ本は読むので、もっとミステリ小説の意図がわかるようになりたいと思って、本書を読みました。
本を読み終わった後になんかおもしろかったなとか、なんかおもしろくなかったなとか思うのですが、どういう理由なのかは表現できないと感じていました。この本で少しでも足しになるといいなと思ったのですが、その一つが幻想味と論理性(P.25)かなと感じました。この本を読んで読後の表現力が上がるわけではないかなとは思いますが、一方で考える一つの要素は得られたかなと感じました。
ここで紹介されていた本を読みながら、この本の説明を活かして感想が書けたらなと思います。
# 抜粋
- 「『幻想味』に関しては、ミステリーのセンスから外れない限り、とんでもないものであればあるほどよい。日常的常識のレベルから、理解不能のものであればあるほど望ましい」とあり、解決の「論理性」に関しては、「『論理性』は、徹底した客観性、万人性、日常性のあるものが望ましい。『本格ミステリー』とは、この両者に生じる格差、もしくはそこに現れる『段差の美』に酔うための小説である」とある。(P.25)
- かまいたちの夜(P.60)
- タッチの差でも、探偵の解説より先に「そうだったのか!」と気付いたことは、長く印象に残る。わずかな差がだが、「気付き」の快感を侮ってはいけない。
これをもって、「真相に気付いた」という人もいるだろうが、そんなものは気にする必要がない。むしろ、「だって分かるように書いてるから」と胸を張ればいい。この、「一瞬早く気付かせる」を意図的にやるのがどれだけ大変かは、実際にやってみればすぐに分かるはずだ。(P.101-102)
- 後輩の編集者が、本のリードやタイトル案に四苦八苦してページをめくっている姿を見ると、「原稿の中に答えはないよ。本屋で棚でも眺めて来れば」と言うことにしているし、自分でもそうしている。(P.167)
- と同時に、腑に落ちたのだ。世界に入り込んでいればいるほど、ちょっとした綻びから、世界は容易に崩壊するのだ、と。(P.176)
- 成功する秘訣は、失敗の回数を増やすこと(P.179)
- そしてもう一つよくされる質問が、「デビューするのために、もっとも大事なことは何ですか」というものだ。
(中略)
複数の作家が、同じような質問を受けた場面を目にしたことがあるが、異口同音に答えていたのは、「まず、一つの作品を最後まで書き上げること」だった。(P.185-186)
- 「読むと書くとは表裏一体」。沢山読み、読みっぱなしにしないで、どうして面白いのか、自分なりに考える習慣を付けることだ。(P.190) -
Posted by ブクログ
ミステリの編集者によるミステリの書き方講座。
編集者だから、文章の書き方の踏み込みが浅いのは少し残念。
例えば「美人」「すごい絵」という書き方ではなく、文章でどんなふうだから美人なのか、どうすごいのかを書き、美人だなあ、と読者に思わせること、というのはその通りだなあ、と思い、具体的にどんな文章ならそう思わされるかな?と思いながら読み進めたら、文章の例がなくちょっとがっかりした。
また、ミステリにおいてネタバレは最大の禁忌ということはわかるが、ネタバレがないように十分に配慮されていたので、例の具体性が弱い。正直書き方の講座なのだから、ネタバレがあることは注意喚起した上で、具体的にどのように書かれていたか教えてほしかった。
だが、伏線の書き方は具体例があって、興味深かった。愚弟例があるからこそ、「伏線はバレない」むしろ、印象に残るように伏線は書くことというのが記憶によく残った。 -
Posted by ブクログ
日頃書くのはもっぱらビジネス文書ばかりだが、「文章の書き方」的な本は参考になる部分も多くて、ジャンルを問わず読むようにしている。
本書はミステリを書きたい人のための一冊。具体的なノウハウに加えて、心構えやら、視点やら、デビューまでの道のりやら、関連するあれこれが詰まった一冊だ。
実のところ、個人的にはミステリを書きたいどころか、小説全部でも年間10冊程度しか読んでいない。これからもミステリや小説を書くことはないに違いない。
しかし、〈幾何の証明問題で、補助線を引くと一瞬で答えが分かるようなのがあるだろう。そういう補助線が、小説にも必要〉〈書いているうちにどんどん分量が増えていくことは往々にして起こり、そうなる理由の一つに、説明のし過ぎがある〉といったノウハウは、長い文章を書く際に、知っておいて損はない技術だろう。
〈ミステリを書くのであれば、読書は本当に必要〉というだけに、本書には多数の良質なミステリが紹介されている。ブックガイドとしても読む価値あり。