ウィリアム ゴールディングのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
無人島に不時着した飛行機、そこで生き残った子供達による生活を描いたものであるが、新訳版ということもあり、非常に読みやすくはあったものの、西洋の文化的な下地などをあまり理解できていなくても考えさせられるのは名作たる所以なのであろう。
果たしてこの作品の主人公ラルフは何歳の設定で、一体どの程度の人数が不時着し、何日ほど島で過ごしていたのであろうか。これらをあまり絞りすぎていないからこそ想像に頼らざるを得ない。
そもそも子供たちによる自治について、この作品では失敗に陥っているのであるが、何故にそうなったのかを考察することは、必要不可欠であろう。その要因たるものとして、集団心理より人の残虐性や人より優りたいという虚栄心にも似た欲望など、子供であろうとさまざまなものを人は元来有しているからなのであろう。
それは極限まで追い詰められればこそ判断・考えを超えたものが滲み出てくるのであろう。
火を起こすことにより、救助を求め続けることが正常な判断によるもので、これを正しいものとして描かれると反対に、豚を殺してその肉を食べるというのは何処か野蛮で悪を感じさせる描かれ方をしている。
しかし現実的に狩りを実行して食糧を確保するというのは生きていくことに欠かすことが出来ないもので、人間として「食べる」ことは何よりも優先されるべきものであり、そう考えればやはりそれを悪と捉えるとすれば、原罪的に人は悪の種子を有しているものと捉えられよう。
そしてどうして互いに反発し争わなければならなかったか。そこまでまだまだこの作品を読み込めていないのが本音である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ40~60年前の小説の訳者あとがきで幾度も出会い、読んでみる気になった。
中盤の終わりくらいまではかなり良かったのだが、以降徐々に怪しくなってゆき、クライマックスはハリウッド映画のようになってしまっていてがっかり。いわゆるハリウッド映画的とされるものが醸成される以前の作品であるはずだが、不思議なことだ。
本作品から見えた幻覚は『無限のリヴァイアス』、『癒しの葉』、『地獄の黙示録』。
『癒しの葉』について。エレメンタルのありようのモチーフになったのではないかと思ったり思わなかったり。
『地獄の黙示録』について。狂ってく様と、後半に覚えた「オイオイ、いーのかよそれで」なガッカリ感。
『無限のリヴァイアス』は全般的にオマージュを捧げてるように思われる。特に、結末において相葉兄が投降を訴えかけたさまは本作品の結末を意識したものと覚えるが、ひときわ輝いて見える。