ウィリアム ゴールディングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私はこの作品における「ほら貝」は組織や社会といったシステムのメタファーであると考えた。強いカリスマ性を持つものが作り上げた組織ではそのリーダーが強い発言権を持つ。しかし、それはリーダーであるもののカリスマによって成り立っているものであり、民主的な行動(組織全体に発言権を持たせたり平等に接し合うこと)を行うのは有効ではない。また、物語終盤でほら貝が破壊されたのはシステムの崩壊を暗喩している。カオス状態の環境でシステムを維持するのは難しく、これまでのリーダーの行動に異議や不満を抱いていたものがそのシステムを崩壊させる行為はまさしく世界の縮図であると感じた。
非常に面白く色々と考えさせられる作品だっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもというものは大多数が周囲の環境によって簡単に染まってしまうほどの純朴さをもち、悪か善かどちらになるかは周囲の環境ないしリーダーの存在性(カリスマ的素養)に依存する。刹那的であり、自己保身的である。責任をもつものが存在していない完全なる自由の或る地とは、楽園にも地獄へも姿を変えることができるが人間である限りは楽園となるとはないであろう。大義名分・言い訳・事情、言葉としては何でもよいが理由さえ存在すれば他者を自己利益のために侵害することができるのだから。ここでいう蠅の王とは恐怖の雰囲気そのものであり、これ自体に力はない。しかし一度蔓延してしまえば簡単には収束されず、子供ほどの純たるものしか存
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Posted by ブクログ
ウィリアム・ゴールディングの代表作『蠅の王』です。
疎開のためにイギリス国外へ向かう飛行機が無人島に不時着し、少年たちがそこでサバイバルをするというお話。
読んでいて感じたのは、寓話性があるということ、その寓話性で言えば、『動物農場』が近いかなと感じたことです。あとがきにはキリスト教的な解釈について軽く触れられているので、そちらについては割愛するとして……。
システム、民主主義、理性、人としての温情などは、大自然の中で危機に晒されたとき、無力なのだと感じます。たとえそれが正しいとしても、相手側に敵わない武力や権力があるとき、その正しさは間違いになってしまうということ。
常日頃よく -
Posted by ブクログ
ネタバレ40~60年前の小説の訳者あとがきで幾度も出会い、読んでみる気になった。
中盤の終わりくらいまではかなり良かったのだが、以降徐々に怪しくなってゆき、クライマックスはハリウッド映画のようになってしまっていてがっかり。いわゆるハリウッド映画的とされるものが醸成される以前の作品であるはずだが、不思議なことだ。
本作品から見えた幻覚は『無限のリヴァイアス』、『癒しの葉』、『地獄の黙示録』。
『癒しの葉』は、エレメンタルのありようのモチーフになったのではないかと思ったり思わなかったり。
『地獄の黙示録』は、狂ってく様と後半に覚えた「オイオイ、いーのかよそれで」なガッカリ感。
『無限のリヴァイアス』は