柴田治三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大正から昭和にかけて東北帝大に滞在したドイツ人哲学者(作者)が,日本をより深く知ろうと考え,弓道(本書では弓術と表記)を学ぼうと決意,幸い日本でも指折りの指導者から学ぶことができることとなった.
武道はどれもそうだと思うのだが,その根本には禅の思想が深く絡んでいる.我々も普段は意識しないが禅の思想に無意識に絡め取られている.これに論理や合理を生業とする哲学者がいどむのであるから,なかなか難題である.
しかし,かれは5年間これに真摯に取り組み,帰国時には5段と認められ,指導者からは秘蔵の日本刀も贈られた.
こういった到達点は作者の努力のたまものであるのだが,一方,指導者にも恵まれたこそであるとも -
Posted by ブクログ
ページ数は少ないものの、とても内容の濃い本だった。
タイトルは「日本の弓術」という名前になっているけれども、この中で語られているのは、「弓術」というよりも、的中を重く見ずに一射一射に全精神を込める「弓道」についてだった。
この本は、弓道についての技術的な解説はまったくない。だからこの本はハウツー本ではなく、「弓道」の精神を通じて、その根底にある禅的精神・日本的精神を、日本人以外に向けて紹介している本だと言ったほうがいい。
日本人は、禅的な文化が浸透している空気の中で生活をしているので、「自分で射ようとしないで、自然に矢が射られるにまかせる」というような無意識の心境について、外国人よりは理解が