ジェイン ハーパーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原題は"The Dry"。なので邦題も『渇き』だけの方が良かった。完結なタイトルは好みなのだ。
オーストラリア発の邦訳作品は滅多に手に入らないので、南半球ミステリとはかなり興味深い。ここでの『渇き』とは、ずばり乾燥のことである。オーストラリアでは雨に恵まれず長期的な干魃に身まれた挙句、大規模な山火事に発展することもあると言う。雨と湿度の多い日本に住んでいるぼくらには想像すべくもない水不足事情の下で本書はスタートする。
幼い子供まで含めた農場の一家惨殺という衝撃的な開幕の地に、かつてこの土地を追いやられた主人公が帰郷する。捜査官として経歴を積んだ主人公の心中で、かつ -
Posted by ブクログ
オーストラリアのミステリーを読むのは初めてでした
なかなかに面白かったので「オーストラリアもなかなかやりおるわい」とどこから目線なのか本人もよくわからない目線で偉ぶっておりましたが
書いたのはイギリス人なんですよね
しかしながらオーストラリアがもつ特殊な気候風土「渇き」が作品の基幹ともいえ
「渇き」がもたらすオーストラリアの田舎町の閉鎖的な雰囲気が大きな目くらましになっていました
主人公が持っている「弱み」がなかなか共感できなかったんですよね
なぜ親子が街を出ていくことを「簡単に」選択したのか
それは自分が幸せな街に育ったからだと読み終わって気付きました
誰も助けてくれないなんてある? -
Posted by ブクログ
初めてのオーストラリア発ミステリー。
日本で生まれ育った者としてはなかなか考えにくいのだが、オーストラリアでは干魃は珍しくなく、十年から二十年に一度は大規模な干魃が起こりそんなときに起こる山火事は大惨事になるらしい。
日本のように毎年どこかで豪雨や台風の災害が起こる国とは真逆だが、これもまた自然が起こす災害だ。
原題は「THE DRY」。だが邦題ではそこに「偽り」が加わる。
その「偽り」とはどんな「偽り」なのか、それは読んでいくうちに分かっていく。
主人公は普段はメルボルンで仕事をしているアーロン・フォーク。主に経済犯罪を担当する連邦警察官だ。
その彼が生まれ育ったキエワラという田舎町を -
Posted by ブクログ
まず邦題が秀逸だと思った。
旱魃によってより一層疲弊してしまった田舎町・キエワラ。
その町に20年振りに帰郷するアーロン・フォーク。
「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた。」という手紙と共に。
ルークの事件の真相、そして20年前フォークが町を出なければいけなくなったエリーの死の真相。
過去と現在を行き来しつつ話は進む。
ミスリードに嵌りなかなか真犯人がわからなかった。
そして何回か登場する「火災の危険度→極度に高い」という表現。
旱魃の水分がなく暑さだけが残るカラカラした風景、そして疲弊した町の人々の心中。
読んでいてなんだかこちらまで疲れて来た。
いつかこの町に纏まった雨が降れば良いのにと -
Posted by ブクログ
イギリス出身でオーストラリア在住の作家「ジェイン・ハーパー」の長篇ミステリ作品『潤みと翳り(原題:Force of Nature)』を読みました。
イギリスの作家の作品が続いていますね。
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CWA賞受賞『渇きと偽り』続篇!
企業の研修キャンプで森に入った同僚女性5人が遭難。
4日後にやっと森から出てきたとき、5人の中の一人、「アリス」が忽然と消えていた。
手がかりは、連邦警察官「アーロン・フォーク」の携帯電話に残された、「アリス」からの「あの子を苦しめて……」というボイスメッセージ。
遭難か、事件か。電波の届かない森の中で、何が起こったのか。
オ -
Posted by ブクログ
青春時代のほろ苦さなんてものではない、町民のまとわりつくような視線が全編に根付いて、この物語に重くのしかかっている。
“キエワラ”このオーストラリアの小さな田舎町は、干ばつが続き人々はギリギリの生活をしている。
それは、全てが乾ききっていて、何かのきっかけさえあれば燃えてなくなってしまうほど。
小さなコミュニティでは、良くも悪くもみんな知り合いで、人付き合いに何かと気を使うのは、どこの国でも同じ。
過去の出来事がもとで逃げ出すようにして町を出た主人公アーロン・フォークは、古い友人の葬儀のために町に帰って来たが、その死に疑問を持つものから調査を頼まれる。
しかし町の人は、何十年も前のことで