ジェイン ハーパーのレビュー一覧

  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    これはおもしろい。
    処女作というからこの作家の次の作品が楽しみ。

    設定としては過去の事件と、それが尾を引いて起きたかのように見える現在の事件というありがちなものではある。
    決して新しさはないが、過去の謎と現在の謎をうまくオーバーラップさせているし、そこかしこにあやしさをちりばめながら徐々に真相にせまっていく感じがとてもうまい。
    何より、人物を描くのがうまくキャラが立っている。地元の警官レイコーには一瞬で好感を抱き、その誠実さに打たれ事件の解決を応援する気持ちで事件の展開に夢中にさせられた。

    0
    2019年03月11日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

     原題は"The Dry"。なので邦題も『渇き』だけの方が良かった。完結なタイトルは好みなのだ。

     オーストラリア発の邦訳作品は滅多に手に入らないので、南半球ミステリとはかなり興味深い。ここでの『渇き』とは、ずばり乾燥のことである。オーストラリアでは雨に恵まれず長期的な干魃に身まれた挙句、大規模な山火事に発展することもあると言う。雨と湿度の多い日本に住んでいるぼくらには想像すべくもない水不足事情の下で本書はスタートする。

     幼い子供まで含めた農場の一家惨殺という衝撃的な開幕の地に、かつてこの土地を追いやられた主人公が帰郷する。捜査官として経歴を積んだ主人公の心中で、かつ

    0
    2018年01月26日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    面白かったー!今年のわたし的ベストミステリ暫定1位に、突如躍り出てきた。オーストラリアと言われたら、コアラとかアウトドアスポーツとか大自然とかのステレオタイプなイメージしか持ち合わせていない貧弱な私の脳にとって、衝撃の旱魃。
    暗さと重さも大変に素晴らしい。人物造型○、ストーリー展開○、余韻○。
    閉塞感と、一抹のセンチメンタルもよく出ている。

    0
    2017年08月09日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    前作より面白かった
    前作とのつながりを感じる部分が散りばめられていたのと、結末が前作よりすとんと落ちた
    各登場人物の背景なんかも前作より練られていたように思った

    0
    2023年02月05日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アーロン・フォークの第二弾。
    最後に何かどんでん返し的なことがあるかと思ったが、そうでもなかった。
    現在と、キャンプの話が交互に出てきて、最終的に謎がとける。
    母と子の関係、SNSでのトラブル、そっちの方が気になってしまった。
    レベッカ立ち直って!

    0
    2022年11月07日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    オーストラリアの作家さんのお話。
    オーストラリアは、乾燥して、燃えやすいんだと、思った。
    犯人が最後までわからなかったが、分かった後からは展開が早かった。
    過去の事件は結局自殺だったのかなーと思ったが、最後に犯人がわかり、ちょっとスッキリしたけど、つらい話だった。
    ストーリー自体は面白かった!

    0
    2022年10月23日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    オーストラリアのミステリーを読むのは初めてでした
    なかなかに面白かったので「オーストラリアもなかなかやりおるわい」とどこから目線なのか本人もよくわからない目線で偉ぶっておりましたが
    書いたのはイギリス人なんですよね

    しかしながらオーストラリアがもつ特殊な気候風土「渇き」が作品の基幹ともいえ
    「渇き」がもたらすオーストラリアの田舎町の閉鎖的な雰囲気が大きな目くらましになっていました

    主人公が持っている「弱み」がなかなか共感できなかったんですよね
    なぜ親子が街を出ていくことを「簡単に」選択したのか

    それは自分が幸せな街に育ったからだと読み終わって気付きました

    誰も助けてくれないなんてある?

    0
    2022年05月27日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    オーストラリア発のミステリーは、数が少ない割に面白いものが多いと思っています。
    自然の容赦の無さも独特ですが、オーストラリアものは人間関係のドロドロ具合が濃い印象。

    謎解きのある『ピクニック・アット・ハンギングロック』…といった感じかな。

    0
    2019年10月18日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    私は好きだった。女性の描き方にはイラッとしたけど、実際にマウントしたい人とか、集団の中でも個を主張する人とか、いるんだよね、と共感出来た。謎解きの面ではご都合良く‥と思った。

    0
    2019年10月12日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    初めてのオーストラリア発ミステリー。

    日本で生まれ育った者としてはなかなか考えにくいのだが、オーストラリアでは干魃は珍しくなく、十年から二十年に一度は大規模な干魃が起こりそんなときに起こる山火事は大惨事になるらしい。
    日本のように毎年どこかで豪雨や台風の災害が起こる国とは真逆だが、これもまた自然が起こす災害だ。

    原題は「THE DRY」。だが邦題ではそこに「偽り」が加わる。
    その「偽り」とはどんな「偽り」なのか、それは読んでいくうちに分かっていく。

    主人公は普段はメルボルンで仕事をしているアーロン・フォーク。主に経済犯罪を担当する連邦警察官だ。
    その彼が生まれ育ったキエワラという田舎町を

    0
    2019年10月10日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    シリーズ第2作。職場の研修キャンプで山に入った5人の女性が遭難し動きが取れなくなり、1人が姿を消す。そのキャンプの様子と捜索する刑事たちのパートに分かれる。キャンプでなにがあったのか。それぞれに対する不満、苛立ち、追い込まれていく心理状態。そのなかにある伏線。謎解きの面白さとそれぞれの駆け引きの面白さ。次第に女性たちの本音が見えてくる。その怖さも読み応えがある。

    0
    2019年08月23日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    馬鹿な酔っ払い1人のせいで、どれだけ大勢の人間が人生を狂わされたことか…
    可哀想なエリー、アーロン、そしてルークもグレッチェンも。
    殺人事件の方の犯人も意外すぎてビックリ!!
    ぱっと見のイメージより読みやすくておもしろかった。

    0
    2018年02月15日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    現代で起きた一家惨殺事件と20年前の殺人事件が交差しながら展開していく。テンポもよく、とても面白かった。あとがきをみると次回作もあるとのこと。期待。

    0
    2017年11月22日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    まず邦題が秀逸だと思った。
    旱魃によってより一層疲弊してしまった田舎町・キエワラ。
    その町に20年振りに帰郷するアーロン・フォーク。
    「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた。」という手紙と共に。
    ルークの事件の真相、そして20年前フォークが町を出なければいけなくなったエリーの死の真相。
    過去と現在を行き来しつつ話は進む。
    ミスリードに嵌りなかなか真犯人がわからなかった。
    そして何回か登場する「火災の危険度→極度に高い」という表現。
    旱魃の水分がなく暑さだけが残るカラカラした風景、そして疲弊した町の人々の心中。
    読んでいてなんだかこちらまで疲れて来た。
    いつかこの町に纏まった雨が降れば良いのにと

    0
    2017年07月11日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    イギリス出身でオーストラリア在住の作家「ジェイン・ハーパー」の長篇ミステリ作品『潤みと翳り(原題:Force of Nature)』を読みました。
    イギリスの作家の作品が続いていますね。

    -----story-------------
    CWA賞受賞『渇きと偽り』続篇!
    企業の研修キャンプで森に入った同僚女性5人が遭難。
    4日後にやっと森から出てきたとき、5人の中の一人、「アリス」が忽然と消えていた。
    手がかりは、連邦警察官「アーロン・フォーク」の携帯電話に残された、「アリス」からの「あの子を苦しめて……」というボイスメッセージ。
    遭難か、事件か。電波の届かない森の中で、何が起こったのか。

    0
    2023年06月25日
  • 渇きと偽り

    Posted by ブクログ

    青春時代のほろ苦さなんてものではない、町民のまとわりつくような視線が全編に根付いて、この物語に重くのしかかっている。

    “キエワラ”このオーストラリアの小さな田舎町は、干ばつが続き人々はギリギリの生活をしている。
    それは、全てが乾ききっていて、何かのきっかけさえあれば燃えてなくなってしまうほど。

    小さなコミュニティでは、良くも悪くもみんな知り合いで、人付き合いに何かと気を使うのは、どこの国でも同じ。

    過去の出来事がもとで逃げ出すようにして町を出た主人公アーロン・フォークは、古い友人の葬儀のために町に帰って来たが、その死に疑問を持つものから調査を頼まれる。
    しかし町の人は、何十年も前のことで

    0
    2022年08月13日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    前作「渇きと偽り」は主人公アーロン・フォークのパーソナルな物語だったが、今作では一歩引いた立ち位置から事件に介入する。山中での合宿研修に参加した女性グループのメンバーが行方不明になるというシンプルな筋書きながら、彼女達の一色触発な人間模様は中々サスペンスフルだし、フォークと亡き父の確執に決着がつくのも見所だが、前作と比較するとかなり見劣りする。マーティンの逸話は物語に然程必要なかったし、カーメンのズケズケした物言いも些か唐突的な気がした。前作の傷心からフォークが立ち直る晴れやかなラストは中々良かったのに。

    0
    2022年06月27日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    企業の合宿研修で森に入った五人の女性。道に迷い、やっとの思いで脱出したとき、そのうちの一人が忽然と消えていた。手がかりは消えた女性が連邦警察官フォークの携帯電話に残したボイスメッセージ。遭難か、事件か。外界から隔絶された大自然は、女たちの虚飾を容赦なく剥ぎ取っていく。オーストラリアの豊かな森を舞台に繰り広げられる、衝撃のサスペンス。

    渦中の女性たちの葛藤がやや長く感じられた。前作の方が好み。

    0
    2022年04月30日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    森林の密室感作りとそれを反映した陰湿な人間関係、現在と過去を交互に展開させる展開の方法は非常に面白かった。主軸の密室に囚われた人間関係に加えて、連続殺人犯の存在と経済犯罪捜査を入れることでミステリーとしての展開の可能性を読者に提供し、ミステリーとしての完成度が非常に高く、また殺人事件捜査ではなく森林での行方不明で終盤まで捜査が展開されるのは良かった。
    捜査官の身の上に関する描写が不十分に感じた。

    0
    2022年04月10日
  • 潤みと翳り

    Posted by ブクログ

    どこの国の母親同士の嫉妬、いがみ合いは同じなんだと感じた。海外のミステリーを読んでの感想にしては意外な展開。
    前作よりこなれていて読みやすかった。次回作にも期待。

    0
    2020年05月20日