ジェイン ハーパーのレビュー一覧 潤みと翳り オーストラリアの連邦警察官フォークが主人公のシリーズ第二作。 前作「渇きと偽り」は、オーストラリア特有の干魃の季節の中で土地も心も渇ききったヒリヒリするようなサスペンスを描いてあったが、今回は逆に雨が降り注ぐ森の中をさまよう女たちに何があったのかを描く。 前作ではフォークの警察官としてというより...続きを読むは自分自身のプライベートな問題と向き合う話だったので忘れていたが、元々フォークは経済犯罪、資金洗浄とか企業の不正取引とかそういう犯罪を担当しているらしい。 今回、企業の合宿研修中に森で行方不明となった女性アリスはフォークが捜査をしている企業の内部協力者として、企業の様々な極秘文書やデータを渡してくれるように頼んでいたらしい。 ということは、それが会社にバレて消されてしまったのか。 だがここで別の説も。この森では過去に何人もの女性が殺されたり行方不明になった事件が起こったらしい。犯人とされる男は随分前に逮捕され刑務所内で獄死。しかし彼が本当に犯人なのかどうかは分からない。 ということは、真犯人が別にいてその犯人に連れ去られる、あるいは殺されてしまったのか。 だがさらにフォークが調べて行くと別のトラブルも見えてくる。 アリスは自ら行方を断ったのか、それとも誰かに連れ去られたのか、それとも遭難しているだけなのか、事故が起きたのか、それとも…。 フォークと彼の同僚カーメンとの捜査の合間合間に挟まれる合宿研修の様子は、まさに女同士のマウント争いという感じでドロドロしたドラマ。 面白いような、見たくないような。 行方不明のアリスは典型的な自己主張の激しい女性で、積極的には付き合いたくないタイプ。だが他の四人の女性もそれぞれクセがあってあまり好きにはなれない。 アリスが結局どうなったのか、何が起こったのかは、正直言っていろんなパターンの結末が考えられるし、どうとでも持って行けるので、そこに謎解きの余地は少ない。なのでミステリーではなくサスペンスなのだろう。 そもそも女性たちの森の中でのドラマが描かれている時点で殆どネタバレしている感もあるが、最後までどう来るかは分からないと思いつつ読んだ。 ちなみに女たちの醜い争いで終始するわけではないのでご安心を。 作中で他の仲間が言うように、アリスがどうなろうがあまり同情できないタイプなのでそこはどうでも良い。 ただ、都会の開かれた世界なら何とかやり過ごせることでも、こんな閉鎖された空間では普段ならやり過ごせることがやり過ごせなくなる、小さな引っかかりがたまらなく許せなくなることもあるのだろうと思うと興味深かった。 今回もフォークのプライベートな部分、亡き父が自分に寄せる思いを感じ取られるところが描かれていた。 しかしフォークの本来の仕事、経済犯罪の捜査についてはほとんど脇に置かれていたのが残念。といってもフォークはその点に置いても一番下っ端らしく、上司からの命令にしたがって動くだけということらしいが。 次こそフォークの警察官としての活躍が見られるのかどうか。 それとフォークの男性としての魅力がそこまであるのか疑問。よほど見た目が良いのだろうか。 Posted by ブクログ 潤みと翳り 企業の研修キャンプで女性5人のグループが遭難し、4人だけが帰還する。キャンプで何があり行方不明の女性はどうなったのか、連邦警察官フォークのシリーズ第2作。 森のなかで遭難し食料もなく寒さに凍えるうちに、女性たちの本性があらわになっていくさまと、捜索にあたる警察の様子とが交互に語られる手法が、うまく...続きを読む緊張感を高めている。 前作では、干ばつの熱波とともに主人公の過去にまつわる苦悩が濃厚に描かれていて重い読後感だったが、今回そのあたりは添え物程度で事件の謎解きに重きが置かれている。 タイトルは第1作でも感じたのだが、原題の『Force of Nature』のほうが深みがあっていいと思う。 物語としては独立しているが、やはりシリーズ1作目から読むことをおすすめしたい。 Posted by ブクログ 渇きと偽り オーストラリアの農村地帯で起きた殺人事件。かつての親友が絡むこの事件の真相を、休暇中の警察官が追っていく。 閉鎖的な人間関係と極度の干ばつによって、住人は誰もがストレスを抱えてイライラし、その捌け口を弱者に求めている。原題が「The Dry」とあるように、息苦しいほどの熱波に覆われた貧しい町という...続きを読む設定がじつに効果的。 意外な犯人もさることながら、数十年経っても過去の事件の呪縛から逃れられない主人公の、うんざりするような日々が印象深い作品だった。ただ、翻訳の技術的な問題なのか、文章は味気なく読みにくい。 でも、続編も読んでみよう。 Posted by ブクログ 潤みと翳り 「渇きと偽り」の続編。 森での合宿研修の5人の女性。脱出していた時には1人が消えていた。 設定は面白く、合宿中の描写と、その後の救援時の描写が交互に書かれており、なかなか面白く読めた。 続編に期待。 Posted by ブクログ 渇きと偽り 星3.5という感じだろうか。主人公フォークは昔の親友ルークの葬儀に出るために、20年振りに故郷に行くことになった。20年前の少女の自殺事件と今回のルークとその妻とその子供の殺害事件が、交差しながら進んでいく。広い大地の中の小さな村の閉鎖的で排他的なコミニティーは、仲間から外れると生きていけない。 そ...続きを読むれぞれの秘密と嘘が絡みあっていく。 出来ればもっとルークの内面を書いて欲しかった。 Posted by ブクログ <<<12・・・・・・・・>>>