小川亮作のレビュー一覧

  • ルバイヤート

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    この作品には背後世界を否定的に捉えて現世での生を重視し、しかし現世の生における成功も否定している点で、一種のニヒリズムが見て取れる。

    また、神が定めた運命を「降りかかる」と表現しているように、生をただ虚しいもの・一場の夢と捉える厭世主義的価値感を持ち、また「母から生れなかったものこそ幸福だ!」という様に反出生主義の色も強い。
    そうした遣る瀬無い無常感を満たすために、オマルは酒や酒姫に現世での刹那的喜びを見出した。その結果113番「明日のことなんか何を心配するのか?酒姫よ!さあ、早く酒盃を持て、今宵も過ぎていくよ!」のように、もはやそうした快楽で満ちているかの様に見える。
    しかしそれは彼にとっ

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    2021年12月11日
  • ルバイヤート

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    11-12世紀ペルシアの詩人らしいのだが、あまりに現代的で驚く。
    現世の快楽にこだわる詩。宗教への反発から生まれた言葉なのかなあ。すごく好きだ。
    訳者による解説も充実している。ペルシアの文化に触れたり、翻訳の意図がわかったりして、満足度が高い。

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    2021年10月31日
  • ルバイヤート

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    イスラームの詩というと、難しそうだったり考えもつかないことが書かれているイメージだったけど、これは違った。
    どの詩も身にしみるものばかりで、余計な感傷が一切ないのがかえって感情に訴えるのか、胸を打つものが多かった。その詩は無常観がありペシミスティックだけど、斜に構えたものではない。真理を追求し続けた学者が見るまぎれもない現実を写しており、酒、チューリップ、酒姫(少年)、歌が出てくるが享楽的な感じはしない。『明日なんてあると思うな、今このときを楽しもう、今日目を楽しませる若草が、明日きみの体から生えていないとは限るまい』明日も神も信じないからこその真実味、そこからくる美しさ、文化も年月も超えた良

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    2017年06月26日
  • ルバイヤート

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    大いなる人間あるある、かつ、世界あるある的テクストの洪水。

    しかしまあ、作者の視点の広範なこと!事物をどこからでも見つめる。
    地中深くに潜ったかと思いきや、空よりも高くなる。

    ぶれない4行詩。いつの間にか勇気付けられている。無常感もあり。無神論感もありはしないか?

    4行詩というスタイルはTwitterとなって現代に息づいています……てきとーなことを言いました。「酒を飲め」なるフレーズが連発で読むだけて酩酊しそうになりますな。

    「凄いです」という言葉はあまりに安易なので読後感をしたためる際には使わないことに決めています。

    凄いです。
    そしてありがとう青空文庫。

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    2013年03月12日
  • ルバイヤート

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    「諦念」ということばがぴったりの作品。
    (それだと仏教みたいだけど)

    但し、生の儚さを諦めた上で悲観的にならず、
    どこか突き抜けたような明るさに溢れている。

    だったら飲んで歌って踊ろうよ~♪という具合に。


    「人生オワタ\(^o^)/」っていう今時の言い回しを初めて見た時
    ルバイヤートのことを思い出した。

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    2012年03月24日
  • ルバイヤート

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    オマル・ハイヤーム、この世界、現世、もともとつれだされた世界なんだ、何のために来て去るのやら、生きて得るところ何があったか、わかりもしないでしぶしぶ去るのだ。だからーサーキよ酒をもって来てくれ、いまこの一瞬を人生を楽しもう、明日は我が身、重ねた盃も歌い踊った美しい舞姫もいつのまにかいなくなって砂漠の砂の中にかけらとなって残るのみ、この淋しさは何処からくるのかまさに哲学的な問い掛けのようだ、生きる喜びと酒神と好きな女性がいればそれだけでいい、他に何を求めようか一瞬を楽しめ人生の若き時は短いゆえ夜を徹して飲み通す、この不可思議な世界に存在する、いまを、過ぎてゆく時間を、我を感じてみよう、この世のあ

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    2012年03月06日
  • ルバイヤート

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    ネタバレ

    中学生の頃からこの人の詩の中で大好きな一遍があって、当時は大きいハードカバーの本しか出てるの知らなくて買えなかったけど、安く文庫でてるの知ったので購入。

    自分たちを創ったのは神だし、別に生きたくて生きてるわけじゃないし、自分たちのできの悪さの文句は神に言ってくれよ?ああ、宇宙からつくりなおせたらいいのに!まぁとりあえず酒をのもうぜ!

    緩すぎるし曲解かもしれないけど、こんなスタンスがすき。結構、「神を信じ愛し良き友とともに生きよう」みたいな詩が多いような気がするんですが(よく取り上げられるのがそういうのなだけなのかな・・)、この人は「愛」だったり「神」だったりより「宇宙」規模でなんか書いてる

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    2011年12月04日
  • ルバイヤート

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    これを読むだけで、イスラム教の真髄に触れることが出来る。何度も時間を掛けて何回でも読み直したい一冊。

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    2011年12月01日
  • ルバイヤート

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    この詩の厭世感は今の私にとても響いて心地よい。翻訳ですら心を打つのだから原文はさぞ素晴らしいのだろう。運よくこの本に巡り会えてよかった。

    もともと無理やりつれだされた世界なんだ、
    生きて悩みのほか得るところ何があったか?
    今は何のために来り住みそして去るのやら
    わかりもしないでしぶしふ世を去るのだ!


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    2025年11月02日
  • ルバイヤート

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    味わい深い一冊でした。
    はじめに四行詩を読み、お酒がいっぱい出てくるので不思議に思いましたが、解説によってその背景がわかり、思わずため息がこぼれました。

    社会状況からくるやるせなさ、限界。
    それでもなお、今にとどまり、真理の探求への道を歩み続けること。

    1000年以上前のことなのに、響き合うところもあり、言葉の持つ力を感じました。
    平易な言葉で書かれているので、それぞれの想像で読む自由さもあり、それもいいな、と。

    元々の言葉がわかるともっと味わい深いのだろうなと思いました。

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    2025年10月17日
  • ルバイヤート

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    ペルシア詩に初めて触れた。解説の濃さにも驚いた。遥か彼方の異国の風と土とが香るような一冊だった。人生観というか、全体に漂うテーマも好き。
    いくつか好きな詩があった。一番好きなものはこちら。

    あすの日が誰にいったい保証出来よう?
    哀れな胸を今この時こそたのしくしよう。
    月の君よ、さあ、月の下で酒をのもう、
    われらは行くし、月はかぎりなくめぐって来よう!

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    2024年06月16日
  • ルバイヤート

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    善アフラマズダ、悪アーリマン▼人間の王イマ(ジャムシード)。ヘビの怪物アジ・ダハーカ(ザッハーク)。『アヴェスター』6世紀成立
    ※古代イラン語。
    ホスロー1による編纂。ササン朝ペルシア。
    ※マニ教。清らかな魂を作ったのがアフラマズダ。糞尿を出す醜い肉体を作ったのがアーリマン。Manichean(マニキーアン):なんでも二元論「白か黒か」で判断する人。

    ジャムシード。偉大な王。栄光、尊厳。しかしある日、王曰く。すべては私の恩恵。お前たちは私のうちに創造主を認めよ。すると、神の恵みは王を離れた。争いが世に広がり、人心が離れる。神にはたとえ王でも謙虚につかえよ。創造主(アフラマズダ)をあがめない者

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    2025年05月05日
  • ルバイヤート

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    明日を心配するな昨日を振り返るな、この一瞬のために酒を飲めと訴えている詩集。酒飲みのための詩集。

    それよりも、死して土に還ることを強調した部分に、土葬の文化のもとにある人の思考が読み取れたような気がした。
    現代日本は火葬であり土にはならない。灰になって骨が残るばかり。今まで土葬も火葬も同じようなものだと、対して気に留めていなかったが、死後土に還りその土から草木が生えるのを当たり前としてきた人々にとって、火葬は残酷に映りそうだ。

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    2021年06月04日
  • ルバイヤート

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     4行詩。
     日本の無常観にもつながるような、「いまを楽しめ」というメッセージ。
     でも、どこにでも酒が出てくる。

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    2018年12月22日
  • ルバイヤート

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    死を匂わせながらも、生が輝く力強い詩が揃っています。
    ルバイヤートとはペルシア語で「4行詩」のこと。イランの詩人オマル・ハイヤームが中世ペルシア時代――約1000年も前に歌った詩はどれも刹那的な輝きを放ち、時を経て現代をも照らす力があります。

    いつか死ぬ。だからこの一杯を味わおう。
    今この瞬間、今ある命を、精一杯光らせるために。
    人生の儚さと生命の瞬きを愛でた、珠玉の詩。

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    2017年08月10日
  • ルバイヤート

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    ネタバレ

    儚いですね。生きるとは何でしょうか。酒ですね、はい。読みやすくて良かったが理解できないものも多数あった。

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    2015年05月05日
  • ルバイヤート

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    ネタバレ

    11世紀ペルシアの詩人、ハイヤーム。ルバイヤートとはアラビア語で「四行詩」のこと。人生の無常さと楽しさが、簡潔に艶やかに表現されていて読んでいて楽しい。李白、アブー・ヌワースとともに三大飲酒詩人ともいわれていて、酒を読む誌は特に秀逸です。

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    2015年03月03日
  • ルバイヤート

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    酒をここまで賛美した詩は知らなかった。
    天地人に諦観した作者だと感じる。

    シニアとなった時にこそ再読したいが、おそらくまだまだ理解できるほど成長していないだろうなとも、ふと思う。

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    2014年02月16日
  • ルバイヤート

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    酒と人生のむなしさのついての詩が大半の4行詩集。
    世界史で習った本を読んでみるとイメージと全く違ったりするので面白いw

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    2011年12月11日
  • ルバイヤート

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    ないものにも掌のなかの風があり、
    あるものには崩壊と不足しかない。
    ないかと思えば、すべてのものがあり、
    あるかと見れば、すべてのものがない。

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    2012年02月05日