平井肇のレビュー一覧

  • 死せる魂(中)

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    ネタバレ

    各地で「死んだ農奴」売買を済ませて宿に帰って、一夜を明かした所から始まる
    売買登記を裁判所で済ませた後、知事の家で晩餐会か開かれ、お偉いさんの夫人方にもチヤホヤされ万事が上手くいっていたチチコフだが、ある噂が立ってから町中の人間に避けられるようになる
    その理由を知ったチチコフはN市を急いで出発する…

    この巻は、上巻に比べて物語要素が薄く、当時のロシア(あるいはN市)の人間模様や価値観が詳細に描かれている。作者が顔を出して文学評論をしたり、ロシアのすばらしさを語り出すなど、一味違った面白さがあった

    とはいえしっかり物語としても面白く、作品全体の「転」にあたる章もあったりと次の展開が気になりな

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    2025年03月17日
  • 死せる魂(上)

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    まさかこれは現代日本の話なのではと思う(笑
    還付金詐欺を思い出した。

    ゴーゴリの祖国ロシアに対する愛が伝わってきて楽しい。
    なんだかしょうもない主人公が可愛くなってくる。
    人形劇のような可愛いらしい雰囲気でこの本かなり好き。
    挿絵も面白い。

    つまり。愉快な本なんだよ。

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    2009年10月04日
  • 死せる魂(下)

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    ネタバレ

    チチコフの遍歴がようやく終わりを遂げる
    場所は移り、明示的に農奴の購入をする場面は無くなったが、引き続き購入はしていたらしい

    ゴーゴリの初期の構想、ダンテの『神曲』に準えるということから、本巻収録の第二部は「煉獄編」に当たり、ロシア人の善性が描き出されることとなる
    自身ののらくらさや惰性を悪いとは思いつつも変えられない人々が善に傾く様子が描かれる
    その転換からはチチコフも逃れること能わず、新たに手を出した詐欺の発覚を皮切りにこれまでの悪行が司直に暴かれる
    一度見逃されていたチチコフは、今度こそダメだと絶望のどん底に陥るが、そこに救いの手が差し伸べられる。

    当時のロシア文学らしく救いの手段は

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    2025年03月26日
  • 死せる魂(上)

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    詐欺師で人当たりのいいチチコフが、宿泊先のホテルを拠点に各地の地主を巡って「死んだ農奴」を譲ってもらう。その道中で様々な人種─酷く偽善的だったり、粗暴だったり、けちだったり─に出会う。
    作者であるゴーゴリが想定していた三部作の一部目にして、ロシア帝国の悪の部分を知らしめるパート。事実、農奴が死んだことに対して何の憐れみの念ももたずに頭数の損失、ひいては無駄な税金を払わせるとして鬱陶しがる始末。
    主題と関係ないところで言うと、チチコフが一日で食べ過ぎなところ。実際に地の文で「こういった連中の食い気と胃の腑には、作者も羨望を禁じえない。」と書かれている。
    言い回しも古風なところがあって当時の時代感

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    2025年03月12日
  • 死せる魂(下)

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    第2部は第4章までで後は第…章になっている。完成していた現行をゴーゴリが死の直前に暖炉に放り込んで燃やしてしまったせいらしい。所々抜けている箇所があって話が飛んでしまっているのも残念。結局チチコフは途中で念願を叶えたらしいがそれも失ってしまい最後はアイデンティティを喪失して去っていく。各地を地主を訪ねて遍歴していくところや地主の屋敷でイベントが起こる箇所などはナボコフも言っているようにドンキホーテの影をみることができる。当初は神曲のような構成にしたかったらしいが煉獄篇で終わってしまった感じ。地主は贅沢や賭博にうつつを抜かし、農奴は飲み屋に入り浸り、役人は賄賂で私腹を肥やすことしか考えないという

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    2011年12月18日
  • 死せる魂(上)

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    死んだ農奴を譲って欲しいと地主周りをするチチコフ。一癖も二癖もある地主たと言葉巧みに丸め込もうとするチチコフのやりとりが面白い。食事のシーンの描写も詳しいがあまりうまそうじゃない

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    2011年12月06日
  • 死せる魂(下)

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    再読。当時のロシアを風刺した作品ではありますが、笑っちゃうほど普遍的。そして、どうしようもなく愚かしい人達がたまらなく魅力的に描かれていて、これぞ純文学と呼ぶべきものかと。

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    2011年11月13日
  • 死せる魂(上)

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    題名から想像できる内容と違い、実はユーモアに溢れた読みやすい話です。しかも笑いながらしみじみと哀しくなってくる。ロシア、というとこの本のイメージが胸をよぎります。

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    2009年10月04日
  • 死せる魂(下)

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    このドタバタが、やっと終わった!という感じ。
    第一部ではからだの丸い謎の男チーチコフが一癖も二癖もある貴族たちのもとを飛び回り、彼らに取引を持ちかける。

    その取引というのが、事実死んではいるけれど書類上まだ死んだことになっていない農奴(役所の負荷を減らすために死亡登記は年一回とかだったらしい)を安く、あるいは無料で引き受けようというもの。

    心よく無料でさしだす者もあれば、死んだ農奴の相場がいくらか・騙されたのではないかと猜疑心にとらわれる者、生前の農奴の特徴や長所を強調して値段をふっかける者、なんだかよくわからないがとにかく賭けがしたくてたまらない者……などなど。
    まるでダンテの地獄篇のよ

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    2014年01月05日