小澤征爾のレビュー一覧
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読んだ本 小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾×村上春樹 20260403
これは不思議な体験です。
村上春樹が小澤征爾とクラシック音楽について語り合う対談集なんだけど、村上春樹のマニアックぶりがすごすぎる。
JAZZの本の時もそうなんだけど、その蘊蓄の深さの紹介のような気もしてくるぐらい。
なんだけど、その造詣の深さは小澤征爾を圧倒するぐらいで、演奏者よりも深く音楽を理解するリスナーが果たしているのかって驚きました。
深く聞き込むことと、それを言語化する能力が合わさって、そう聞くものなのか、そういう違いがあるのかって夢中になって読みました。
なんだけど、全然理解はできてないんです。
全く実感のない文字上の音楽体験。
さすがに読んで感銘を受けたからって、マーラーの演奏をいくつも聞き比べる気はしないもんね。
比べたってわかんないだろうし。
相手が小澤征爾っていうのが素晴らしい。
音楽家であり冒険家。 -
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この本が素晴らしいのは、実のある夢のコラボレーション。小澤征爾さんは世界的な指揮者ですが、彼の音楽家としての実力は、われわれはいつもは、演奏される音からしか、うかがい知ることができません。
村上春樹さんは、素敵な小説家ですが、ノンフィクションライターとしての実力も、アンダーグラウンドなどで実証済み。この本でわかったことは、春樹さんは、それに加えて、小澤さんが活躍されるクラシック音楽についても、永く深く聴き込んでいたということ。ちょっと他にいなさそうな稀有なリスナーをインタビュアーに配して、さまざまな演奏を共に聴きながら発せられる質問や感想に刺激され、小澤さんは古い記憶もよみがえり、語り、それを当代きってのノンフィクションライターが臨場感ある文章にしたのが、この本。演奏以外の形で、小澤さんの奥行きの深さを示しています。 -
Posted by ブクログ
小澤征爾と村上春樹という、クラシック音楽と文壇の巨人による対談集。「マーラー」「オペラ」「バーンスタイン「グレン・グールド」というテーマについて、二人は縦横無尽に語り尽くす。あるときはレコードを聴きながら、あるときは村上の仕事場で。この二人にとって、バーンスタインの存在は大きいようだ。小澤征爾の若手音楽家に接する姿勢やリハーサルの仕方は、ほとんどバーンスタインのやり方をまねていると言っていいだろう。文庫化にあたり、日本を代表するジャズ・ピアニスト大西順子が、小澤指揮のサイトウ・キネン・オーケストラと2013年9月に共演したときの顛末が追加収録されている。 大西はこの公演の直前に引退を表明し。音楽とは関係ない仕事に就くことが決まっていた。ところがこの演奏を引き受けたことで、彼女はその仕事を断られてしまう。村上は淡々と事実をふり返るが、おそらく内心では、彼女ほどの実績を持つ人間が正当に評価されていないという憤りを感じているに違いない。
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小説家の村上春樹は、指揮者の小澤征爾も驚嘆するほどの鋭い耳を持っている。
そして、クラシックに関する造詣も深い。
時には、小澤も知らないような知識を披瀝して小澤を驚かせる。
村上春樹は、若い頃ジャズ喫茶を経営していたので、ジャズに関する知識は尋常ではないと思っていたが、クラシックに関しても同様だ。
音楽に対する、途轍もない情熱を持っているのだ。
その情熱が小澤征爾を刺激して、通常では語らないようなことまで語り出す。
ボストン•シンフォニーでのエピソード、師であるカラヤンとバーンスタインの差などが続々と出てきて「えっ、そうだったの」と感嘆しきり。
極付で面白い。
中でも、ジャズ•ピアニストの大西順子とのエピソードが感動的だ。
村上春樹が大西順子の引退コンサートに誘う。
演奏に感動した小澤征爾は「ブラボー!」と叫ぶだけではなく、楽屋に行き、大西に「引退を許さない」と伝えるのだ。
小澤征爾の面目躍如。
そのためにどうしたかと言うと、小澤は、松本でのサイトウキネンフェスティバルに大西を招いたのだ。
そこで競演したのが、「ラプソディ•イン•ブルー」。
その時の演奏はYoutube で観ることが出来る。
その緊張感あるピアノとオーケストラの掛け合い。
どう動くが分からない大西の演奏を、柔軟に臨機応変に受けてみせる小澤の懐の深さ。
大西が演奏継続を決めたのは、この演奏で受けた刺激のためだと言う。
村上春樹の取り持った感動的な出会いだ。
その前には、さりげなく、カズオ•イシグロとの交友が述べられている。
村上春樹は、東京でカズオ•イシグロと食事をした際、二人ともジャズもクラシックも大好きなことを知る。
カズオ•イシグロは長篇を書き終えたばかりだった。
彼はタイトルも内容も語らなかった。
日本のジャズ•ミュージシャンの話になったとき、村上春樹が推したのが大西順子だ。
そして、彼女のCDをプレゼントしている。
その後、イシグロはノーベル書を受賞する作品を発表するが、そのタイトルを見て、村上春樹は驚く。
タイトルは「Never let me go」。
それは、大西順子のCDに収められたジャズのスタンダード•ナンバーだった。
(「Never let me go」は、邦訳「わたしを離さないで」)
大西順子を挟んだ、村上春樹とカズオ•イシグロの麗しい関係が分かって楽しい一節だ。
小澤征爾の「征爾」という変わった名前が、小澤の生まれた満州で満州軍を指揮していた板垣征四郎の「征」と、満州事変を起こした石原莞爾の「爾」から取られているのは有名な話だ。
二人は小澤征爾の父開作の友人だったのだ。
それだけで、開作という男が只者ではないことがわかろうというものだ。
その父の血を受けて、アジアに夢を見るのではなく、世界に夢を見たのが小澤征爾だったのだ。
もう、小澤征爾がこの世界に居ない。
そのことが、どれほど悲しいことなのか、本書は教えてくれる。
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Posted by ブクログ
村上春樹さんの音楽の知識はすごいのだけれど、小澤征爾さんとの会話が本当に楽しい。それは日常が垣間見れるからではないかと思う。そう感じたのは、村上さんの家に小澤さんが遊びに来るシーンだ。村上さんが冷蔵庫から冷えたビールを何種類か出す。小澤さんはその中から懐かしいなあと言って一番安い外国製のビールを選ぶ。
「これこれ、これがうまいんだよ。貧乏をした時によく飲んだなあ」と言いながらグビグビと飲むその姿が目の前に見えてなんだかとても美味しそうに思えた。
音楽祭で若手の音楽家へのお二人の会話もクラシック音楽は素人に近い私でも音楽が聞こえてくるようで楽しかった。 -
Posted by ブクログ
予想以上に面白かった。
やはり村上春樹は小説よりこういうインタヴューものやエッセイの
ほうが良いのではないだろうか。
それもクラシックオタクではなくもう評論家・研究家の域なので
小澤さんが知らないことや気づいていなかったことまで
深く掘り下げることができる。
指揮や楽器を学んだらそこそこプロとして活躍できたのでは
と思わせられるほどの注意力、洞察力がある。
題材は以下。いずれも素晴らしい曲ばかり。BGMにどうぞ。
マーラーの9番なんて泣けてきそうです。
・ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番
・ベルリオーズ幻想交響曲
・ブラームス交響曲第1番4楽章
・マーラー交響曲第9番4楽章、1番3楽章
小澤さんの指揮は5年前にウィーンフィルの公開リハーサルで見たきり。
リハーサルを聞きに来ただけと思っていたら突如舞台に立ちフィデリオを指揮。
闘病中と聞いていたので胸にグッとくるものがあるのを思い出しました。 -
Posted by ブクログ
この本をきっかけに苦手意識のあったベートーヴェンを聴くようになった。ピアノコンチェルト3番が大好きになり丁度アニバーサルイヤーだった昨年生で聴けたのは感慨深く縁を感じた。ご本人達はおそらく" (レコード収集家の人たちには) 興味のない聴き方"といった話をされてたが自分は好きな曲や人軸で聴き比べするのがクラシックの醍醐味たる聴き方だと思っているのでこの本に出てきた曲をspotify podcastでプレイリストも作って色々と聴き比べている。マエストロの昔話を交えた前半の聴き比べをもっとやってほしかった。後半はどちらかというとマエストロの現在の活動(執筆当時)にフォーカスされているのだがおふたりの関係性の深さが読み進めるごとに感じられ、対談の形式ではあるがその場その場の寄せ集めではなく村上さんがマエストロの活動に足を運んでしっかり取材されており(取材という目的でやってるのではなく2人とも本当に好きなものに吸い寄せられてその場が生まれてる感じがまた良い)最後のハプニングには思わず吹いたしこの本のハイライト。またそれらの対談や取材を通してせまった "良き音楽""良き音楽家"は、村上春樹でさえも言葉にできないような、でもそれが真に感じられるようなエピソードだった。大好きな一冊。