山本薫のレビュー一覧

  • とるに足りない細部

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    あまりに痛ましいレイプ殺人の描写。全く救いようがない話で暗鬱な気持ちになる。これは書かれるべくして書かれた。

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    2025年10月30日
  • とるに足りない細部

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    パレスチナ生まれの作家が書いた小説。
    何といっても自分の国が理不尽に奪われ、殺され続けることは許せんでしょう。ホロコーストの被害者であるユダヤ人が一番わからなければ。西欧(日本も)がイスラエルを批判しきれないのは大間違いです。

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    2025年01月26日
  • とるに足りない細部

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    現代パレスチナ文学の騎手である、アダニーヤ・シブリーが2017年に発表した小説。
    1949年8月、ナクバ渦中のパレスチナで起きた実在の少女強姦事件から着想を得た作品とのこと。
    本作は第一部と第二部で分かれており、第一部では1949年8月のその事件をイスラエル軍の兵士の目線で語る。
    そして第二部は飛んで2004年現代のイスラエルで暮らすパレスチナ人女性が少女強姦事件の記事を見たことでパレスチナに渡って事件の痕跡を辿るという物語。
    虐殺は個々人の人生を大きな出来事として括ってしまい、彼ら彼女らの人生を剥奪してしまうものだ。「とるに足りない細部」として。
    この物語はそんなパレスチナで人知れず個人に降

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    2024年12月19日
  • とるに足りない細部

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    「訳者あとがき」で、この作品が政治的な文脈で捉えられ利用されることに作者が強い違和感を持っている、との記述があった。その気持ちはわかる気がする。一人ひとりの人間に起きた出来事をその人のリアルな生の流れの中で描き出すための工夫や、二部構成で悲劇を巧みに変奏してみせる技量こそ、この作品の評価として取り上げられるべきだろう。とは言え、イスラエル/パレスチナに生きる人々のひとつの現実を思い知らされることも確か。いずれにしても、多くの人に読まれるべき本だと思う。

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    2024年12月15日
  • とるに足りない細部

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    アラビア語の原題は“تفصيل ثانوي”、英語では”Minor Detail”。 ثانويはminorやsecondaryにあたる言葉らしく、副次的や従属的を指し、いずれにしろ「主流ではないもの」を意味するようだ。

    著者はパレスチナ生まれ。現在はエルサレムとベルリンを拠点にしている。
    本書の原著はアラビア語で書かれている。各国語に訳されているが、邦訳は重訳ではなく、アラビア語から訳されている。
    第一部と第二部に分かれた中編。
    いずれもテーマは、1949年8月、ナクバ(「大惨事」)に付随して起きた、イスラエル兵によるベドウィン少女の集団レイプ殺人である。第一部では、当事者のイスラエル軍将

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    2025年03月10日
  • とるに足りない細部

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    ネタバレ

    登場人物2人の行動について、なぜその行動を取るのかわからないと思うことが度々あった。淡々とした記述が余計に描写をくっきりさせていて、状況は眼前に浮かんでいるのにそこにいる人の気持ちを理解できず、かなり動揺しながら読んだ。なぜそこまでするのか。わからないのは自分が今平和と幸せの中にいるからなのかなと思った。そして自分がパレスチナ問題についてあまりに無知なせいもあると思った。調べてみよう。

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    2025年02月26日
  • とるに足りない細部

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    第一部 過去の痛ましい事件
    第二部 事件を知った今に生きる人物がその痕跡を探す
    今に続く人種差別、戦争。
    過去の と書いたけど、決して風化していない現在進行形の厄災。
    痛みは続いている。

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    2024年11月23日
  • 山田錦の身代金

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     物語は烏丸酒造の「風の壱郷田」の田んぼの山田錦に、刺激臭のある青紫色の薬剤が撒かれたことから始まる。烏丸酒造は、一本100万円以上になる純米大吟醸を作っている。その100万円の価値が決まったのは、オークションである。パリオークションとニューヨークコレクションがあり、パリオークションで、最高値がついた。烏丸酒造は、1600年代初頭、大阪の陣の頃からの創業。400年の歴史を持つ酒造屋である。先祖伝来、一子相伝で口伝の玉麹の技法がある。通常は麹米を総破精麴であるが、吟醸は突き破精麴が使われる。玉麹は、米の中に麹ができるようだ。
     田んぼに毒が撒かれて稲が枯れ、脅迫状が届いた。身代金の要求は500万

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    2023年06月02日
  • 山田錦の身代金

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    ネタバレ

    面白かった。

    田んぼに身代金がかけられるなんて何と斬新な。

    獺祭の会長、桜井さんも実名ででてきてぐっとはいりこでしまった。

    ドローンでの犯行、ドライアイスなどの展開は読めてしまった。

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    2021年12月24日
  • 山田錦の身代金

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    「山田錦」をご存知だろうか。イネの品種の1つで、酒造好適米(いわゆる酒米)の代表格である。兵庫県で大正年間に育種され、以来、多くの酒造家に好まれてきた。現在でも酒米の最大生産量を誇る名品種である。

    本書の主題はその「山田錦」。
    1本100万円という高級日本酒の醸造元である烏丸酒造に、脅迫状が届いた。日本酒の原材料となる「山田錦」を育てている田んぼに毒を蒔く、やめてほしければ500万用意しろという。実際、田んぼの一部に毒が蒔かれているのが発見され、酒造会社は大騒ぎとなる。
    由々しき事態。しかし、超高級日本酒を相手取ったにしては要求が低すぎないか・・・? 犯人の狙いは何なのか。
    警察も捜査に乗り

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    2021年11月22日
  • とるに足りない細部

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    パレスチナで起こっていることの片鱗、当事者の痛みや虚無感を苦しみとともになんとか言葉に変えて伝えていて、読みにくい重いと言ってる場合でなく最後まで読まねばならない と感じた。

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    2025年09月10日
  • とるに足りない細部

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    イスラエル・パレスチナの知識が何もないまま読んでしまったので背景がうまくつかめず。とるに足りない細部に心を捕らわれてしまった女性が、自身も「とるに足りない細部」の一部になってしまった、というような話かな?

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    2025年04月08日
  • とるに足りない細部

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    重い内容だった。

    と書くことすら、不謹慎に思える。
    今の日本で生活している私には、
    空気、空の色、臭いそんなものも
    別物に感じてしまうほど、
    というか、想像出来ない環境。

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    2025年01月18日
  • 山田錦の身代金

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    日本酒に使う山田錦の田んぼに毒をまかれたくなければ身代金を払えという要求を軸に、醸造タンク内で見つかった杜氏の死の謎を、キャリアの警部やジャーナリスト、居酒屋なの女将とかが挑んでいくのだが、登場人物が多くて、火曜サスペンス劇場みたいな話だなと思った。

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    2024年12月15日
  • とるに足りない細部

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    1949年にイスラエル軍がベドウィン少女を殺害した日と自身の誕生日が同じという些細なことがきっかけで、現代に生きるパレスチナ人女性が、まだイスラエルの占領が続く中でその事件の真実に近づこうとするお話。抑制された筆致で、現在のイスラエル/パレスチナ問題を文学に昇華させている。純粋な文学作品だと思った。

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    2024年11月19日
  • とるに足りない細部

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    いきなりの空気感で始まる小説。
    イスラエルの地で起きた少女レイプ事件が加害者側から描かれた第一部と、事件の詳細を語るパレスチナ女性目線で描かれた第二部からなる。

    なんの予習もなく始まるのでこの地域に何が起きているのか、地理やその気候を知っておくと入り込めそうだ。

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    2024年10月20日
  • とるに足りない細部

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    とても悲しく思う。しかもこれらが史実とは。
    国という概念を持たず国境を意識せず自由に彷徨うベドウィンに想いを馳せた。

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    2024年10月15日
  • とるに足りない細部

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    感想
    誰も気にしない。気にしたところで何も変わらない。人間の意識が届かない。だけれども確かにそこにある。人間の生活の空隙に。覗いている。

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    2024年09月20日