古市真由美のレビュー一覧

  • 極北の海獣

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    凄い本に出会ってしまった。という感想しかない。
    海獣というのはジュゴンのような〜?という予備知識しかなく、アラスカに到達したロシアの博物学者の冒険譚なのかと思って読み進めた。そしてわかったことは絶滅してしまった動物たち。人間のせいで…ということ。
    ほとんど歴史に名を残せなかった人たちで紡がれたこのフィクションは博物学のみならず世界の広さもそこに住まう人間の傲慢さも生きとし生けるものすべての存在価値も考え直されてくれる。そして、訳者先生の淡々としているけれど鋭く的確な品のある文章が私たちに理解の助けを与えてくれた。
    著者、訳者、出版社誰も彼にもお礼を叫びたい。

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    2025年11月04日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    創作童話集。グリム童話をはじめとする昔話のような、苛烈な結末にならずに、心がほっとあたたかくなるようなやさしいしめくくりのお話が多くて、読んでいてとてもおだやかな気持ちになる。それでいてペイッコの物語のようにちょっとハラハラドキドキすっきり、というのもあるし、波のひみつのようにもの悲しい物語もあるし、心のいろいろな場所に働きかけてくるのがとてもよい。
    「春をむかえにいった3人の子どもたち」では、最後の添え書き「一八八九年の春に」を見て胸にくるものがあった。この年、ロシア帝国がフィンランドをロシア化しようときびしい政策を採り始めたのだとのこと。つらいなかでも春を待つ心があふれる物語なのだな。今に

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    2024年11月12日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    【動機】知人からすすめられて

    フィンランドのお話を詰めた短編集。何話か読んでからめずらしくあとがきを読むと、訳者がどんな思いでお話しを選んだかが書かれていた。

    「あなたにとっての幸せを見つけてください」

    これがこの本のお話、そして訳者からのメッセージだと感じた。ときどき読み返したらどうだろうという想いから★5。

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    2024年05月07日
  • 極北の海獣

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    ネタバレ

    3世紀にわたって、1頭の生態がわからない動物を調べるために命を張った調査や、のちの復元について書かれていて「滅びたものと相まみえてみたいと、だれもが一度は夢見たのではないだろうか」という言葉に衝撃を受け、良い冒険小説を読んだと思いました。

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    2025年05月25日
  • 処刑の丘

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    この時代の雰囲気を知れたらと思って読んだ
    読み進めていくにつれ真相が気になるし人物に入り込めてソワソワしたり悔しい思いをした
    結局相手が使った手口を使用してうまい具合に反撃?できてスッキリというより胸を撫で下ろす感じ、ホッとした。
    面白かった!

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    2025年03月31日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    ネタバレ

    「フィンランド童話の女王」と呼ばれる作者の作品の中から選りすぐりの短編を翻訳した童話集。 厳しい冬が長い土地柄ゆえ春を尊び喜ぶ様が生きることの肯定に直結している感じがする。人間や動植物、精霊と言った種族の違いこそあるもの、基本的に共生する仲間たちというフェアな設定であることも素敵。気に入ったのは『氷の花』『山の王の息子』などファンタジー色強めの作品たち。
    『氷の花』はアリスン・アトリーの『妖精のおよめさん』の中に収録されていたお話に似た雰囲気だった

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    2024年09月07日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    フィンランドの作家アンニ・スヴァンが1933年に発表した童話集の中から選ばれた13編を収録。北欧らしい、素朴さと厳しさの入り混じる童話は、少し馴染みがない感じがするが、昔話を聞き慣れている子には違和感はないと思う。
    個人的には、「小さなヴァイオリン」「子牛のピエニッキと森のこびと」「夏のサンタクロース」「ふしぎの花」「山の王の息子」が好きです。
    自然や生き物たちの描写がとてもいいと思った。

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    2024年05月03日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    13編の物語集。
    森の様子や小人や妖精、魔物、魔法、春の女神などが出てきて描写が美しく、フィンランドらしい風土や気風を感じて癒された。
    静かであるけど力強い話。
    コイヴのクラシカルな挿絵もとても良い。

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    2023年11月26日
  • 処刑の丘

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    フィンランドの作家「ティモ・サンドベリ」の長篇ミステリ作品『処刑の丘(原題:Mustamaki)』を読みました。

    北欧ミステリは6月に読んだ「カーリン・イェルハルドセン」の『パパ、ママ、あたし』以来ですね… これまで北欧ミステリは数十冊読んでいますが、フィンランド作家の作品は初めてです。

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    2014年推理の糸口賞受賞

    かつて虐殺の舞台になったことで〈黒が丘〉と呼ばれた場所で、男たちが処刑と称し青年を銃殺した。
    警察は禁止されている酒の取引に絡む殺人として処理したが……。
    事件の影に見え隠れする内戦の傷。
    敗北した側の人々が鬱屈を抱える町で、公

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    2023年01月25日
  • 処刑の丘

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    刑事が主人公で連続殺人があるものの、そう言った意味でのミステリではない。でもこの読み心地のよさは掘り出しものと言えます。

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    2017年03月05日
  • 極北の海獣

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     ヘルシンキの自然史博物館に展示されているステラーカイギュウの骨格標本にまつわる人々の物語だ。第一章はカムチャッカ半島の周辺を探検していたベーリング隊の学術員シュテラーさんだ。半島探検中に遭難し、無人島に漂着したベーリング隊は、そこに住むステラーカイギュウを捕獲し命をつなぐ。その肉が美味であることが世間に伝わり乱獲される。同時にラッコが乱獲されることにより、ラッコが主食としていたウニが増殖し、ウニが海藻を食べつくすことによりステラーカイギュウが主食を失った状況も併進する。結果ステラーカイギュウは絶滅する。

     100年が経過し、アラスカ総督府夫人と義妹の物語、さらに100年経過し、ヘルシンキの

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    2025年08月19日
  • 極北の海獣

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    発見から27年で絶滅してしまったステラーカイギュウを巡る物語。探検家、博物学者、最後から2番目のアラスカ総督、昆虫画家、鳥卵博物館の標本管理士…面白くないわけがない。

    史実の隙間の誰も知り得ない詳細を埋めるように作られたフィクションであるがゆえに、タイムワープしてその時代を覗き見ているような感覚に陥った。

    人類による絶滅、という概念がなかった時代にそれを証明する事自体が困難だったなんて、これを読むまで考えたこともなかった。生物への愛と探究心に溢れたかつての人々の努力によって、いま当たり前に知ることのできる事実がある。彼らに敬服する一方で、同じ人間によって絶滅に追いやられたいくつもの生物がい

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    2025年08月01日
  • 極北の海獣

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    今はこの地上にいない巨大な哺乳類にちなんだ近世の物語。それぞれ違った目的で彼の地に向かう彼らの精神力が凄まじい。

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    2025年06月10日
  • 処刑の丘

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    ミステリーと思って読むと物足りなさはあるが、知らなかったフィンランドの歴史や人々の生活ぶりを知ることが出来て面白い。登場人物もいい。

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    2024年03月21日
  • 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

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    フィンランドで童話の女王とよばれるアンニ・スヴァン 後にすぐれた児童文学作品に贈られるアンニ・スヴァン賞が創設される

    ヒーシ、ペイコットなど特有の魔物が出てきた

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    2024年03月12日
  • 処刑の丘

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    ボリシェヴィキって何となく悪役のイメージがあったけど、この時代のフィンランドではむしろ自由の象徴だったのだろうか。ケッキのヴェーラへの思いは独占欲が強くて共感できず。今の日本の雰囲気がこの作品のフィンランドに似てるぞ。

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    2017年06月25日
  • 処刑の丘

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    フィンランドの歴史を知らず読みました。
    警察内に味方はなく、どんな結末になるのかと一気読み。
    オッツォやヒルダの人物像は魅力的。
    フィンランドの歴史についての本も併せて読みたい。

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    2017年05月05日