別役実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
3月3日別役実逝去。彼の舞台は見たことが無いのですが、子供の頃に深く刻まれている名前です。NHK「おかあさんと一緒」の中で「おはなしこんにちは」というコーナーがあって全く砂糖の入っていないような不思議な奇妙な大人っぽいお話が読まれていました。朗読・田島令子、作・別役実という名前をそこで知りました。お話の筋はまったく覚えていないのですが、子供を喜ばせる気が全然感じられない、だからこそ、都会っぽい謎めいた雰囲気がたぶん小学生高学年になっていた自分にはとても印象的でした。その気分を改めて感じようと、この童話集を開きました。最初の「街と飛行船」から衝撃。まるで新型コロナウィルスで封鎖される街がモデルの
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ネタバレ40年前からの愛読書(三一書房刊行のもの)
不条理をしみじみと味わうような物語と思っていたのだが、3.11原発震災以降、これらの物語群の描く不条理が他人ごとではなくなってきている感じがします。
街中の人たちが何年も何年もかけて掘ってきた巨大な穴、その大工事の目的が実は何もなくて、無為に暮らしていると街に諍いが絶えないから始まった工事だった、次は何年もかけてそれをみんなで埋めていく。
あるいは、何の役に立つのかわからない巨大な機械が街の中心に据えられていて、それを撤去しようとすると機械が作動して妨害する。そうやってそこにあることだけが目的の黒々とした機械。
親があちこちの街でお星様を売りつけると -
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Posted by ブクログ
大氏王朝を滅ぼした三輪の葛城王朝は、さらに天ノ原一族によって追いやられ、葦原の中ッ国はみずがきの都に王朝を開いたミマキイリヒコによって支配されていた。
ある日、いつものように沼に舟を出していたアミは、日が暮れて暗くなった水面に、やわらかな羽毛に包まれた大きな卵のようなもの…「うつぼ舟」を見つける。それには髪の長い女と、生まれたばかりの赤子がひっそりと寄り添って乗っていた。
うつぼ舟とは、王朝の血をひく女が、他の王朝の男の子供を産んだときに、母子を「夜見(よみ)の国」捨てるために使うもの。それがどうしてアミたちのくらす大沼に流れ着いたのか?
大氏王朝最後の王・アシハラノシコオが夜見のスサノオと -
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街と飛行船
空中ブランコのりのキキ
夕日を見るX氏
黒い郵便船
の4つの童話が収録されている。
と、気づいたのは「あとがき」を読んでからである。
本のタイトルが「空中ブランコのりのキキ」なので、4つの童話ではなく、各章のタイトルだと思って最後まで読んでしまった。
そう感じたのは、はじめの3つの童話を「黒い郵便船」で回収しているような構成だったからだ。とはいっても完全に回収されるのではなく、謎はたくさん残るのだが。何度も読み返したら、いろんな発見ができそう。
すべてに共通しているのは、やさしいファンタジー。
最後は消えてしまう。という終わり方をするのだが、「消える」ことに意味があるようでない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ3つの短編と1つの長編。
どの作品も言葉で表現するなら、ヨーロッパな雰囲気の幻想的な話かな。
各作品のテーマというか作者が伝えたい事ってのが何かイマイチよく分からかった。
・街と飛行船 ★★
非常に短い作品。
とある町の空に飛行船がずっと佇んでてという話。
・空中ブランコのりのキキ ★★★
これまた非常に短い話。
願いを叶えてもらった代わりに鳥になったという話。
・夕日を見るX氏 ★★★★
これも短い話。
夕日のキレイさがありありと表現され良かった!!
・黒い郵便船 ★★
ながーーい話で読むのに時間がかかった。
書いてることの意味が分からない場所が多く読みにくかった。
物語全 -
Posted by ブクログ
出版社/著者からの内容紹介
今から30年ほど前、「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向け
の人気番組があったのを覚えているでしょうか。そこで朗読された童話が、本書
に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。
表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴の
ある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まり
と、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンド
で終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。それ
は、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重
ね、復刊を望む声が多