ジョージ秋山のレビュー一覧
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■あらすじ(ネタバレ注意!結末まで書いてます)
長野県松本市に生まれた蒲郡風太郎。幼少時代に父は家庭を捨て、女と家を出て行き、残された母と風太郎は極貧生活を送る。母が病気になっても医者に払う金がなく、ついに風太郎をおいて逝ってしまう。銭があれば、母を助けられたと思った風太郎は、金こそが力であり、正義だと思うようになる。
風太郎は盗みを繰り返し、人を裏切り、大事な人をも殺める。何も失うものがなくなった風太郎は、金を手に入れるために大手会社社長の車に前に飛び出し、社長に取り入っていく。社長には二人の娘がいた。美しい長女に惚れるが、風太郎に想いを寄せる醜い次女と結婚し、社長を殺害してその地位を -
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ネタバレ「銭ゲバ」と同時期に連載。なんと。
ギャグ漫画からの脱却をこんな鮮烈な形で行うとは。
wikipediaによれば、
>第1話が掲載された『週刊少年マガジン』は各自治体で有害図書指定され社会問題に発展した最大の問題作
>今後の主人公が宗教的世界に目覚め人生のよりどころを確立することが説明されていたが、結局、描かれないまま最終話をむかえた。しかし、『週刊少年ジャンプ』(集英社)1981年26号に読み切りで完結編が掲載されその結末では実現している。
が、
>完結編は、ジョージ秋山捨てがたき選集 第2巻『銭ゲバの娘プーコ アシュラ 完結編』(青林工藝舎)に収録。
とあるので、この文庫版はブツ切りの状態 -
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ネタバレ蒲郡風太郎が殺しすら用いてのし上がり、その果てに……という話。
取り込もうとした会社社長の娘の、美しい三枝子と不美人な正美。
秋遊之助という作家。
追って来る刑事や、その子供や。
超個人的な話で始まるのだが、さらに会社が水俣病に似た公害を引き起こしたり、政治家に野心を抱いたり、社会的な話にもなっていく。
(このへんで三島由紀夫「青の時代」を連想したり、南米小説の成り上がりものを思い出したり。)
(石牟礼道子「苦海浄土」も。)
とにかく苛烈な成り上がりで、しかし悔恨と虚しさに常に苛まれている……このあたり、悪の権化的な扱いに反して、ナイーブで純粋だ。
「私は美しいものがすきズラ。美しい人の心が -
購入済み
おもしろかった
宗教にハマるひとや不遇の環境で育った人の心情がリアルに描かれていた。主人公みたいなひとがこの世にいるかと思うと、こわくなったが興味深かった。一気に読んだ。
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生まれたのは親と言うものがいたからかもしれない、だが、アシュラが生き延びたのはアシュラ自身の生命力の強さであり、アシュラには親の手を借りたと言う事実がない。親がきちんと自分を育てようとしてくれていれば、アシュラは阿修羅となって生き延びる必要がなかった。愛されないと生まれて来ただけでな人間にはなれないんだなぁ…父親に叫ぶアシュラの「なんで生んだ」言葉は正当なんだよ…。アシュラが自分の力で生き延びたからこそ、親を許せ、許さないとお前が辛い、と言う事も言える時が訪れている…アシュラが一人で生き延びた事に対して、誰かが彼に償わずして、アシュラに人間らしく許してやれ、と言うのは酷だ。
「にくい」と言いな -
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木原音瀬の『WELL』を読んだ時、生き延びる事で世界が好転する可能性があるのなら、人肉を食べてでも自分が生き延びる価値はあると感じた。また、一緒に生き延びたいと思う人間がいるのならなおさらタブーを犯す理由があるな、と。
コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を読んだ時、人肉食いでしか命を繋げられない様な極限の世界に居ながら息子を生かす為に人肉を食べずに頑なに生きようとした父親、彼はきっと、この崩壊した世界で人類が生き延びるのは難しいと考え、それならば人肉を食べずに出来得る限り生きて、獣ではなく人間の心のままで死ぬことを選んでいたのだと思う。人間の理性を残したままで出来得る限りの命の限界まで。