大澤昭彦のレビュー一覧
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ピラミッドからブルジュ・ハリファまで,「技術」ではなく「文化」に焦点を当てた建築物の「高さ」の歴史。
扱う建造物は古代から現在まで幅広いが,特に鉄&ガラスという材料革命を経てシカゴやニューヨークに摩天楼が林立するようになる19世紀末からの記述が厚く,中でも第二次世界大戦以降にその「文化」が世界各地に拡がっていく様が詳しい。単純なデータの羅列・スペック比較に終わらず,権力や経済性,景観をめぐるあれこれなど,建てる者,使う者,見る者の立場から高層建築の歴史を考察している最終章も興味深い。
新書にして400ページを超えるという結構なボリュームだったが,楽しく読めた。 -
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高層建築物をめぐる世界史。高層建築物というと、20世紀や21世紀につくられたアメリカ、日本、シンガポール、台湾、ドバイなどの高層ビルが浮かんでくる。この本では古代メソポタミア、古代エジプト、イスラム建築、日本の城など様々なものが取り上げられている。その分、通常の新書よりも1.5倍程度の厚さになっている。
高層建築物の意味を考えるとして著者は以下の7つの視点を取り上げている。
1.権力
2.本能
3.経済性
4.競争
5.アイデンティティ
6.眺め
7.景観
人間、お金があり権力を持つと派手なことをして人に見せびらかしたい見栄っ張りになるのは古今東西を問わず共通しているようだ。「俺 -
Posted by ブクログ
東工大の、景観・都市計画、建築・都市計画法制史を専門にされている先生が、古代から現代に至るまでの高層建築物の歴史を纏めた本。構造や材料的なお話ではなく、背景や意味合いを中心に書いているので、ド文系の私でもとっつき易く読めました。
新書の割に400ページ超と、物量がハンパ無いのですが、写真もちょこちょこ入っていて文章も読みやすく、スーッと入ってくる感じです。
例えば、ローマ時代の高層アパート(紀元一世紀で6~8階建てって…)のエピソードや、WTCの設計者が高さではなく、ツインタワーであることそのものに重きを置いていた、というそれぞれのエピソードも興味深く読めました。
終章は「高層建築物の意味を