かこさとしのレビュー一覧
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すごく良かった。
絵本作家のかこさとしさんのエッセイなんだけど、ですます調で書かれていて堅苦しくなく、人柄もでてとても優しい文体。
一章と二章のかこさんの少年時代や青年時代の話が面白かった。
子供を語る大人って、子供を神聖視してるというか、純粋無垢な存在だと言う人が多くて私はいつも違和感を感じてたんだけど、かこさん曰く「『子どもっていうのは、純粋無垢の天使だ』なんて言い出す方がいると、だから、もうゾッとしちゃうんですね。」と。めちゃくちゃ頷いてしまった!
子供って結構残酷だし、嘘つきでずるい。
でもそう言う悪いことをして失敗して自分で考えて善悪を分かっていくんだと。
かこさんは本当に子どもが好 -
Posted by ブクログ
ネタバレかこさとしさん、なんて大きな温かい視点で、絵本を書いていらしたのでしょう。
命をかけた人々の思いを胸に、戦後の全ての変化から、迷いながら大切なものを自分の視点で考え、子どもたちの未来に行きついたこと。仕事も、絵本作家としても、人生そのものに妥協せずに、誠実に生きていらしたこと。どの絵本も子どもたちから学んだことを隅々にまで気を配り、よく考え考え、作り上げてきたこと。
特に科学絵本を書く際に、子どもたちに向けて責任を持って「見取り図を描く」姿勢には頭が下がる。
戦争に深く後悔されたかこさんだからこそ、非戦の絵本を読んでみたかったとしみじみ思う。 -
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かこさんが亡くなられて数年。かこさんは今頃、どこかで今の日本を見ておられるのだろうか?どんなことを危惧し、どんなことを思っておられるのだろう。
「子どもは子どもなりに持っているもの、考えていることが必ずあるはず」という一文。子どもを見る上忘れてはいけない。侮ってはいけない。子どもは「小さい人」だ。
最後の数ページは特に胸に響いた。
「生きるということは、本当は、喜びです。
生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです。」
それを多くの子どもに感じて、知ってもらいたい。
戦前に生まれ、敗戦ですべてのことがひっくり返り、戦後を生きてきたかこさんの言葉は重かった。 -
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名著復活!絵本作家かこさとし、子供の頃の四季を通じた遊びの記憶。大人になって振り返る甘酸っぱい思い出の数々にはしんみりします。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」で有名なかこさとし(自分には「からすのパン屋さん」の印象)の作品。1975 年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その後長く絶版だったのが2018年に復刊(ありがとう復刊ドットコム!)、その文庫版。
越前の武生で過ごした子供の頃の遊びについてイラストを含め詳細に記録している。筆者の記憶力には驚かされる。多くの遊びは実際にやったことはないが、なぜか懐かしさを感じる。母が同じ北陸の出身なので、自分の小さな頃に教わった遊びもちらほらと。
お -
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かこさんの考えに迫りたくて購読。2019年の、いやこれまでに読んだ本の、5本の指に入る名著だ。
閉店間際の本屋でよくぞ手に取った。私。
かこさんの生い立ち、なぜ子どもの絵本を描くようになったかが、よく分かった。
そこには、戦争を境に掌を返すように態度を変えた大人への不信があった。
以下、特に心に残った言葉
・幼少期には、自然に触れて生活するのがいい。 それも大自然というより小自然、子どもの力で何とか処理できる程度の。
・これまでの僕は昭和20年で死んだのだ。ここから先は余生である。自らの誤りを償わなければならない。
・子どもは、世界の実体、成り立ちを知りたがっている。でもその糸口を見つけら