元々タイトルは知っていて、手に取ってあらすじを読んだところ舞台が北海道の月浦だったので、親近感を抱き読んでみました。
パンとコーヒーのお店&宿泊施設を営む夫婦と、そこに訪れる様々なお客さんの人生が交差する、暖かいお話です。
同名映画の監督兼脚本家である三島有紀子さん自身によるノベライズということ
...続きを読むで、映画を観ていなくても不思議と目に光景が浮かぶような、読みやすい文体で綴られています。
以下、自分の覚え書きとしてそれぞれのお話をまとめています。
ネタバレになるので、未読の方はご注意を。
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田舎から都会に出て頑張っていたけれど、一緒に旅行に行くはずだった彼氏にドタキャン&フラれてしまい、1人月浦に来たOLの話
多忙な父親と上手くいかなくなった母親が家を出て行き、小学校の先生も的外れなお節介をやいてきて、自分の居場所が分からなくなった女の子の話
長年銭湯を営んできた夫婦が、お互いを思いやるあまりすれ違い、新婚旅行先だった月浦を訪れる話
主人公夫婦のなれそめと、様々な出会いを通して変わって行った二人の関係性についての話
どのお話もそれぞれに良かったのですが、個人的に2番目の、両親の離婚で居場所を見失う女の子の話が、とても胸が締め付けられて印象的でした。
仕事ばかりであまり一緒にいる時間がなく、向き合い方が分からないながらも、娘を思う父親。
父を誇りに思い自分を愛してくれる母親が大好きだったのに、その母が急に居なくなった現実に、心がついていかない娘。
ぎこちないけれど二人の距離が縮まるシーンでは、出先なのに涙ぐんでしまいました。
手元に置いて、ふと思い出した時にまた読みたくなる一冊でした。