G・K・チェスタトンのレビュー一覧
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ネタバレ青い十字架
実は最初に読んだのは小学生の頃だ。この話だつまたかどうかは忘れたが、実は僕はブラウン神父と15年も前に出会っている。その時どう思ったのかは忘れたから、実質的には今回が初めてと言えよう。ブラウン神父の話でありながら名刑事ヴァランタン目線で話が始まり、おかしな2人の神父の謎を追うことになる。ブラウン神父が主人公とわかっていながらも、神父の活躍と奇怪なイタズラの数々とがどう繋がるのかわからないのがこの話の面白さ。格言めいてこの話をまとめるなら「後ろぐらい奴は事を荒立てない」といったところか。
あの台詞はここに出てくるのか!しかも言ったのはヴァランタンかい!しかもあれは刑事から見た愚痴 -
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ネタバレ――
このあたりでチェスタトンをどうぞ。
英国ミステリってだいたいミステリの全ジャンルを網羅してるなと思うのだけれど、怪奇・伝奇ミステリといえばやっぱりチェスタトンになるでしょう。
これもしかし、誰訳で読むかによって随分印象が変わりそうでもある。注釈の付け方とか――注釈を訳文の中に盛り込んでるイメージの中村訳ブラウン神父譚のほうが、個人的にはスムーズで好きなんだけれど原文派は違和感あるのかしら。
本書は原題を『The man Who Know Too Much And Other Stories』ということで、『知りすぎた男』の訳書から漏れた「Other Stories」を一 -
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チェスタトンの面白さがやっと分かってきた感じがする。
高校から大学にかけて、ドイル、クリスティー、クイーン、カーと読んできて、そこからブラウン神父に手を伸ばした。当時は何かひねった文章というイメージが強く、チェスタトンの逆説というような解説を読んで、こういうものを逆説というのかと、良く分からないまま文字面を追っただけだった。
最近、南條氏訳のチェスタトンの短編集を何冊か読んできて、理性と狂気、信仰と科学、迷信、伝説と論理といったことについて、チェスタトン流の表現方法が漸く分かってきた気がする。
謎を解き明かすといった点からも、本作に収められている各編はとても面白い。
冒頭作の『 -
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ネタバレ『クレイン大佐のみっともない見た目』
ある日突然帽子の代わりにキャベツをかぶり始めたクレイン大佐。村の人々は気にはなるけど追及はできない状態。隣人の従姉妹で画家のキャサリンが初めてキャベツを指摘する。クレイン大佐が語るキャベツをかぶる理由。
『オーウェン・フッド氏の信じがたい成功』
テムズ河の河畔にできた工場からの排水で汚染される河川。地元の有力者たちと議論を交わすオーエン・フッド氏。論的であるハンター医師の国会議員立候補の応援に回るフッド氏の目的。クレイン大佐との賭け。
『ピアーズ大尉の控えめな道行き』
クレイン大佐とフッド氏が食事中に聞いた「家庭での豚の飼育を禁止する法律」。議会の横暴 -
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シリーズ第5短編集にして最終作。風采の上がらなかった神父も世に知られる人物になったしフラウボーも前作で分かるよう過去の人物になった。
実は本書収録の『村の吸血鬼』は本短編集の後に発表されたものだが作者の死去に伴いここに掲載されるようになった模様。たぶんフラウボーが出てきた話が本当のラストで次作は新シリーズの構想があったのだろう。
今まで動揺に神父の逆説と文章で幻惑させてくる様な構成。映像化したら早々にバレそうなトリックもあるがそれ故に文章で楽しむ作品なのかもしれない(時代を変えてドラマ化され、そちらもシリーズ化はされている)。
これまでの探偵小説とは異なり相棒が記述するスタイルでないのもあるが -
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冴えない風采ながらも鮮やかな知性を光らせる名探偵ブラウン神父シリーズ3作目。前作とはだいぶ期間が空いているためかシャーロック・ホームズを意識した『復活』が冒頭に収録。解説によると第4作目とは時期的に重なっており意図的に振り分けた模様。そのためか本作では不可能犯罪系というかトリッキーなのが多い。個人的にブラウン神父モノはトリックの宝庫と言われているけど『ムーンクレサントの奇跡』みたいに冒頭の美談めいた話が真相に繋がるみたいな人生の妙味を説いたところに味わいがある気もする。
読んでいて気になるのはブラウン神父は飄々としているのでやはりフラウボーのような相棒をレギュラーで固定して欲しかった。