ニック・レーンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私の生物学の基礎知識が乏しく、返り討ちにあったような読後感。だが、生命の誕生についてよくある「原始の海の有機分子が濃縮されたスープに何らかの化学反応が起きて生命が誕生した」といった説を否定し、アルカリ熱水噴出孔において無機鉱物を介したプロトン勾配が有機分子の発生を促したという説は、条件が揃えば生命が発生するのは必然であるかもしれないことを素人にも分かりやすく伝えてくれる。
またミトコンドリアは真核生物の単一の起源であることなども、驚かされる。私もそばの木にもミトコンドリアを持ち、その共通の起源は40億年前にアルカリ熱水噴出孔でもぞもぞ動いていた生物にまで遡れるとは。生命の不思議さについて改めて -
Posted by ブクログ
エキサイティングで一気に読ませる。生物をエネルギーの観点から論じ、その起源と進化について述べられている。生命が利用するエネルギーは酸化還元反応による電子の流れ、それを利用したプロトンの汲み出し、その結果生じるプロトン勾配を利用した水車的なナノマシンによるATP産生による。そこから最初に生命が生まれたのはアルカリ熱水噴出孔と推測する。そこにはプロトン勾配、細いスポンジ状の道、H2、CO2がある。また、真核生物の進化については、古細菌を宿主として細菌が内部共生しミトコンドリアが生まれ、そこから生み出される多量のエネルギーで複雑性を獲得できた、とする。その結果、性別が生まれ、種が拡散し、老化が生まれ
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Posted by ブクログ
ネタバレすごーく単純な細菌と、すごーく複雑な真核生物の間がいないのは何故か?…細胞内共有説ってちょっとエグい。
生命誕生の環境を天然のプロトン勾配=具体的にアルカリ熱水孔に絞り込んでいく過程は画期的なんだろうけど、イマイチ興味外( ̄▽ ̄)むしろ、内部共生体にバラまかれたパラサイトをイントロンとしてスプライシングするのはいいけど、スプライソソームがトロいんでリボソームの邪魔する為に核膜ができた…の方がずっと面白い。何じゃそりゃ。
ブロンズ・コントロールのくだりは微笑ましいが、巻末の原注なので、読み飛ばされちゃうかも。元国防大臣が科学者を上院へお茶に誘うなんて、日本じゃ考えられない〜 -
Posted by ブクログ
専門外だと難易度高めだが、じっくり読めば理解出来なくはない感じで、しかも論理展開が面白い。どういう話かというと、生命の誕生についてなのだが、細菌みたいな原核生物からどうやって真核生物に進化したのか、という物語。
そこには内部共生という過程で、細胞同士が融合したり、更にプロテオバクテリアなどを取り込んでしまう進化の過程があった。それがミトコンドリアだが、これにより、真核生物はより強大なエネルギーを代謝する能力を得る事ができた。
ー 初期の地球で生命の誕生の助けになりえた環境は、定常的な炭素とエネルギーの流れが組み合わさったアルカリ熱水噴出孔。熱水孔の細孔内の薄い半導体の障壁をはさんだ地球化学 -
Posted by ブクログ
生命の誕生時から現在にいたる「生命史」をエネルギーの観点から説明した本。
よく詩的な表現で「生命の灯を渡す」みたいなことを言うが、まさにそれで、ある観点からすると、生命史とは、原始の生命誕生時に発生したエネルギーを化学反応で連鎖させて再生産し続けた歴史とも言えるのだと理解できた。
この「生命の灯」の正体(レドックス反応からATP生成に至る過程)や、その「渡し方」、つまり原核生物と真核生物の分岐(ミトコンドリア革命)を含めた生命の進化について、ドキュメンタリーみたいな筆致で描かれていた。ただ、化学や生物のリテラシーが乏しい私からすると、生成AIに聞きまくって、やっと概要を掴めた程度だったので