種村有希子のレビュー一覧
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ネタバレ3歳と2歳の姉妹に読みました。
きのみ幼稚園の園庭にあるお城の時計は、
9時になるとお姫様と王子様が出てきます。
園児達はお姫様が大好き。
でもある日、嵐が来て、時計が壊れてしまいます...。
どうしたら時計が直るのか、園児みんなで考え、
もう一度嵐が来たら直るかも!となり、
さかさてるてるぼうずを皆でお城いっぱいに吊るしました。
もう一度嵐が来ると時計が直り、お姫様と王子様が現れます。
4月から幼稚園に通い始め、プリンセスが大好きな長女にヒットしたようで何度も「読んで!」と持ってきました。
園児達に自分で考えさせ、それを許容してあげる幼稚園。
すてきだなぁ、と思いました。
評価は低めでしたが、私と娘的にはとても大好きな絵本なので、絵本って相性があるなぁ、と改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
本書は、シリーズ『おしごとのおはなし』ということで、物語は二の次なんでしょと思っている、そこのあなた、物語だけでも充分に読む価値のある、美容師の仕事の素晴らしさを知りながらも、女の子の成長を描いた作品なのです(小学校中級から)。
しかも本書の場合、『しずかな魔女』や『小やぎのかんむり』といった素敵な物語を書かれてきた市川朔久子さんと、私の好きな種村有希子さんの色鉛筆の素朴な愛らしさが光る絵による、最高のコラボレーションである点も見逃せないけれど、物語の始まりは決して明るいものではありません。
いつも大切にしている長い髪を、お母さんに結んだり編んだりしてもらっていた、女の子「かのこ」だったが、お母さんの具合が突然悪くなり、ゆっくり休ませてあげたいことから、お父さんと二人で朝の準備をすることになったのだが、かのこは一人で髪を梳かすだけでもひと苦労で、お父さんに助けを求めてもこればかりは役に立たずと、結局、頭の高い位置でポニーテールにしてから毛先を三つ編みにしてくれるお母さんのようにはできず、首の後ろでひとつに結わえただけで学校に行くことになった。
女の子にとって、髪型がいつも通りではなく、自ら変だと感じている時の気持ちが如何ほどのものなのか痛いほど感じられた、その後のかのこは、仲良しの「美菜」ちゃんには素気ない態度をし、真後ろの席の「涼太」からはその髪型が邪魔だと指摘されて、「きのう、ちゃんとかわさなかったんじゃないのかあ。髪ぐらいちゃんとしろよな」とまで言われる始末。自分は坊主頭のくせにね。
そんな悲しいことのあった放課後の帰り道で、偶然かのこが出会ったのが美容院「Alouette(アルエット)」の美容師さんで、その時、長い髪の毛がランドセルに絡み付いて焦っていた彼女の髪を器用にほぐしながらも、「すごい。魔法みたい」と彼女に言わしめた、その『くるくるぱちん』は、あっと言う間に頭の後ろできれいなお団子にまとめられた、まさに魔法のような出来事に加えて、美容師さんの「うふふ、バレリーナさんみたいね」と片目をつぶってみせる仕種も素敵で、かのこにとっては一転して嬉しい出来事となった。
その後、かのこにとって更に辛い出来事が起こるものの、その助けになったのが偶然にも再会できたあの美容師さんであり、そこでのシャンプーのシーンは、市川さんの作品『よるの美容院』を思い出させる、美容院のそれならではの気持ち良さが、まさしくかのこの心も優しく癒してくれながら、美容師さんのある言葉をきっかけとして、今の辛さは彼女自身でなんとかできることを知ることになり、おそらくそれはちょうど同じような悩みを抱えている女の子たちにも、きっと届くのだと思う。
『にあう髪型って、ひとつじゃない』
『新しい自分になれたときって、最高にわくわくするのよ』
最初は、自ら大切にしてきて、毎日お母さんに結んでもらっていた愛着のある髪型ということもあって、どうしようか考えたけれども、最終的にかのこが決断する理由となったのが『新しいわたしになるんだよ』という、彼女自身の高揚感溢れる言葉に表れていて、それは女の子が大人の階段を昇るための大切な一つのステップなのであり、自立への第一歩でもあるのだと私には思われた、そこには最早、かつての下を向いていた彼女は存在せず、代わりに自信満々に両手を腰に当てて、「ほら、もうわたしは一人でも大丈夫なんだよ」と高らかに宣言している様子が、表紙の印象的な絵であり、市川さんと種村さんが何故この絵を表紙に採用したのかがよく分かる。
「アルエット」には『ひばり』の意味があり、それは美容師さんのハサミがまるで軽やかに動く小鳥のような印象や、できあがった髪型のあまりの嬉しさは、まるで心に羽が生えたみたいに弾む、それはまさに美容師の仕事では一番大切なことだと本書にも書かれていた、『美容院に来た人をしあわせな気分にする』のにぴったりな言葉だと感じるのと共に、その場面をカラーで描いた種村さんによる、かのこの晴れ晴れとした喜びとじんわりと押し寄せる幸せとが入り混じる絵と、市川さんの『ばら色のほお』という表現には感動を覚える程の気持ちとなり、それは女性にとって、髪が如何に大切なものであるのかを痛感させるには充分すぎる、作家二人の思いが込められていたようにも感じられたのである。
最後に、本書に書かれていた美容師の仕事についての豆知識として印象的だったのは、『ただ髪を短くするのではなくて、乾かしたときにまとまるように工夫しながら、切っていかねばならない』ことや『伸びたときに広がりすぎないようにするわざなどをつかって』といった技術的な部分と、お客さんから話を引き出す『コミュニケーション力』や、長時間立ちっぱなしで働く体力が必要といった、個人の能力を活かす部分とがあって、特に体力に関しては、かがんで行うシャンプーは腰が痛くなり、お湯や薬剤などで手が荒れたりといった、見た目の華やかさに反して重労働であることも、予め理解しておかなければならないことと感じられました。
また、美容専門学校で学んで国家試験に合格したとしても、すぐに美容師になれるわけではなく、アシスタントとして美容院で働きながら技術を磨いていき、営業時間後には自分でシャンプーやカットの練習をしてと、そうした数年間の積み重ねの末にお客さんの髪を切れるようになることも想定しておいた方が良いと思いましたが、技術力があれば、いつでもどこでもやっていけることや、将来自分のセンスでお店を持つこともできる魅力もありますし、本書を読んできっと美容師になりたい方もいると思う、そんな物語の良さと実際の仕事の情報とのバランスも絶妙で、美容師に興味のある小学生にはおすすめです。 -
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表紙の絵を見たときは、どういう場面なんだろうと思ったが、「ようちえんのおひめさま」の意味も含めて、そういうことだったのね。
子どもたちの心の中に抱く思いには、時に大人の想像を絶するような、計り知れない程に健気な純粋さがあることは、いくつになっても思い出して噛み締めたくなるものがあり、それは種村有希子さんの薄らとした色鉛筆の絵からも感じられた、子どもたちの繊細な、まるで今の天気のようにコロコロと目まぐるしく変わる表情や心模様を、優しく描いているようにも思われました。
そして、必ずそうなるんだと、真っ直ぐに信じ切っている子どもたちの駆け出す姿の、なんと嬉しそうな表情をしているのだろうということを知ってしまうと、これは叶えてあげなければと思いますよね?
だから、たとえ本編のどこかで何かを見つけたとしても、そんな野暮なことを言ってはいけません。それ以前に、それが叶ったのは子どもたちが来る日も来る日も諦めることなく信じ切った、全員の思いが結実したからなのだということを、この絵本には実感させてくれる力があります。
そんな子どもたちの思いの強さは、曇り空の無表情な扉絵から一転して、青空に照らされて鮮やかに光り輝く最後の絵との対照性が、見事に実証してくれていると共に、ここでも子どもたちを支える存在の温かさが、私には何ともしんみりとさせてくれて、世界ではいろんなことが起こっているけれど、少なくとも、子どもたちの夢を叶えてあげられることはできるんだという、その小さな一歩がやがては大きな一歩へと変わっていくような、そんな願いを込めたくなるお話でした。 -
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種村有希子さんはこれまでに読んだ二作も含めて、色鉛筆をメインとした、その素朴でふんわりとした柔らかい雰囲気が子ども心に寄り添いながらも、ポップなデザイン性に優れた斬新さを感じられる絵本作家で、本書は第34回講談社絵本新人賞を受賞した、彼女のデビュー作(2013年)になります。
普段から、おかあさんに怒られることの多い、女の子「きい」は、ある日、また怒られたことをきっかけに家出を決意するが、それを知った、双子の「うた」は果たしてどのような気持ちになったのか?
いつも二人で一緒なのが当たり前だったことを改めて痛感した、「うた」の心の中は、アルバムの写真の懐かしい思い出からも窺わせるような、何気ない仕種でありながら、決して忘れられない、そんな心に残る笑顔からも感じられた、二人のかけがえのない絆を絶対に失いたくない、きっとそんな激しい思いでいっぱいだったのだろうと思う。
「ねぇ。
おかし たべてから いったら?」
しかし、口をついて出たのは、全てを台無しにしないようにと願いを込めたような、ごく控え目なひと言であったが、そこに却って、彼女の失いたくないものに対する思いの強さが窺えるようで、私には身に染みるものがあった。
そして、その後もちょっとした呼びかけで「きい」の興味を惹かせていきながら、それぞれの場面で描かれた、弟「よっちゃん」と飼い犬「ちろ」の、双子の姉妹に寄り添うような距離感と佇まいに、普段の家庭生活での優しい関係性を感じさせて、「うた」だけでは無い、彼らの力も加わることによって、「きい」の心が少しずつ癒されていく様子に、改めて家族に於ける子どもの支えは、親だけではないということの素晴らしさを教えてくれる。
また、そんな「きい」の心が癒されていく様子は、背後のカーテンの隙間から僅かに覗いた外の様子からも感じ取れて、ページ数にしたら大した枚数では無くても、その長い時間の経過が充分に双子の絆の強さを証明しており、そうした説得力は、種村さん自身が双子の姉妹であることもきっとあるのだろうと思わせた、楽しい時だけではない辛い時こそ、繊細に相手の気持ちを慮ることができる、そんな双子の見た目のそれだけでは分からない、優しくて温かい距離感に、お互いの存在の大切さを実感させられた、双子を中心としながらも家族の素晴らしさを教えてくれる作品でした。 -
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種村有希子さんは、前回読んだ「サンタクロースになるひ」で初めて知り、そこで感じられた、色鉛筆による素朴で優しい温かみと、ぼかした雰囲気との素敵な融合と、デザイン性の高い配色は同様であり、本書の場合、雪景色の白を基調とすることで、他の色を、より効果的に映えさせているように感じられたのが、とても印象深い。
ある雪が降った朝「おとしもの、みーっけ!」と、そりを引いていた「まほちゃん」が拾い上げたのは、“ゆり”と名前がついた手袋で、大きさは、まほちゃんの手と同じくらい。
「どんな こかなぁ。
あしあとを たどったら、とどけられるかな」
上記の、期待に胸ふくらませてワクワクする様子には、まだ見ぬ女の子との出会いを読み手にも想像させるが、この後の、ちょっとミステリアスな展開には、「えっ、どういうこと?」と、読み手は混乱しながらも、落とし物を拾いながら、ずんずん突き進んて行く、まほちゃんに引っ張られるように、一緒に物語の世界に入り込んで行く、導入部の上手さだと思う。
しばらく いくと、
「マフラー、みーっけ!」
マフラーにも なまえが ありました。
「ゆりちゃんったら、また おとしてる」
しかし、落ちているマフラーはそれだけではなく、その先にもたくさん落ちており、まほちゃんも思わず「さむがりやなのかな?」と、素直な感想を言ったと思ったら、今度はその先にある公園にセーターが落ちており、それには「あつがりやなのかな?」と、彼女はおそらく脱ぎ捨てていったのだろうと想像したのだが、そのまるで大人が着るようなサイズには、「これも ほんとうに ゆりちゃんの?」と、まほちゃんも読み手同様、「?」状態に。
そして、更に足跡を辿った先には、思わずポップな異世界観と呼びたくなるような、種村さん独特の色鉛筆ではない描き方で表現した、その家と家の間の狭い道に於ける、氷柱の大迫力と、落ちているものの華やかさとのギャップが、また新たな混乱を巻き起こしそうで、それを見つけたまほちゃんも、「ゆりちゃんって おひめさまだったりして!」と、本当に異世界に向かっているような、夢のある展開になってきた。
しかし、その後、まほちゃんが足跡を辿りながら拾ったのは、ざっと挙げるだけでも、風船、空き缶、うさぎのぬいぐるみ、毛糸の帽子、飴、果物等々・・・と、謎は深まっていく一方で、まほちゃんも見たことのない林の中に入っていき、その静けさの中で突然、「ドサドサッ」と、枝から雪の落ちる音に少し不安になったりと、いろんな感情に振り回されながらも、その先に待っていたのは?
本書の物語は、タイトルから推測されるように、ある程度決まったパターンになりがちなところを、その謎が謎を呼ぶ展開に、ちょっとした冒険感を味わえる面白さに加えて、絵本自体を横長のサイズにしているのが、ちょうど子どもの背丈に合っていながら、足跡を辿る道のりの、その先の先まで見通せる奥行き感や、まほちゃん主観の視点にしたときの景色のパノラマ感に、劇的な場面の距離感といった、それぞれの場面をより効果的に演出しており、そんな様々な工夫を凝らしている点に、まず素晴らしさを感じられた。
また、子どもに向けた可愛いらしい遊び心として、表情のある木や、元は別の落とし物だったのが、人参を抱えたぬいぐるみと、一つになっていることに加えて、いろんな場面でさり気なく、まほちゃんを見守っている猫も見逃せないし、謎の真相についても、「なるほど!」と納得させられること間違いなしで、そこにあったのは、大人だから却って思いつかないのかもしれない、子どもの創造力の素晴らしさである。
そして、そんな様々な工夫を凝らしながらも、本書で伝えたいメッセージの、そのシンプルさには、それが、如何にかけがえのない素敵なものであるかを、より強調させているようにも思われ、それは、表紙の題名が、赤と青で交互に書かれていることや、最初の見返しに描かれた一人分の足跡が、最後の見返しでは、足跡が横並びになっていることからも充分に想像出来る、『二つあるって素敵だね!』を実感させてくれる、その最初のきっかけとなるであろう、出会いの素晴らしさなんだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ注目の北海道出身の絵本作家、種村有希子さんの作品。
色合いが優しく懐かしい雰囲気。
子供さんはもちろんのこと大人が読むのもお薦めします。
小さい時って何かって言うと「家出するっ!」って言うものですよね。
小さい家出からちょいと大きな家出まで、「家出」を体験した大昔の
ちびっこはかなりいるはず。
「こんなときは私の出番」と困り顔しながらも双子の妹のきいちゃんの
家出ゴコロを一生懸命そらそうとするおねえちゃんが健気です。
タイトルが「きいちゃんの」じゃなくて「きいの~」なのは、お姉ちゃんの
立場から見ているお話なのでしょうね。
大人だって家出したくなるときがある。
こんなお姉ちゃんみたいになだめたりそらしたりしてくれる人が
大人になってもいてくれたらいいのにな。