土井敏邦のレビュー一覧

  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    これでパレスチナ関連の岩波ブックレット8冊すべてを読んだ。そのうち4冊の著者、土井敏邦が、日本で国軍への抗議や人道支援に奔走するミャンマー人らの姿を追ったドキュメンタリー映画「在日ミャンマー人―わたしたちの自由―」の監督であることも知った。
    なかなかのジャーナリストである。

    2023.10.7のハマースの攻撃でイスラエル側の死者は約1000人(兵士と警官は約300人で残りは民間人)といわれる。2014年、51日間続いたガザ攻撃の時のイスラエル側の犠牲者73人と比べた時、この後の報復は異次元のものとなるだろうと思った。
    この本はガザに住む旧知のジャーナリストMから伝えられた2024.4月までの報告をまとめたものである、と彼は断っている。
    ほぼ毎年パレスチナに通い、書き、映像にして発表してきた彼は、現在のガザ問題の根源はハマースではなく「イスラエルの占領」だと明言し、以下の報告を進める。(10.24からの状況)

    1.生活必需品の欠乏
    電気も燃料もないため水道が使えない。果樹用の井戸からもらっている。
    小麦粉がなく主食のパンが作れない。
    家にあった米、缶詰など食べているが一日一食。店で買えるものもあるがとても高い。飢餓状態が出ている。
    医薬品もなく、病院も閉鎖している。
    まもなく冬がやってくるのに。
    2.破壊と情勢
    10.31時点で建物の三分の一は破壊されている。まだ1ヶ月もたたないのに恐ろしい数の人が殺された、何10万まの人がホームレスに。ガザの住民はすでに殺されたか殺されていく人たちと飢餓で死んでいく人たちの2グループになっている。
    以下、戦車で家を砲撃されたりして多くの人が家族や友人を殺される様が書かれているが、前に読んだ「オマルの日記」の方が詳しいと思う。
    イスラエルはガザ北部の住民を南部に追い立て、その南部にも攻撃を仕掛けている。テントや壊れた建物に避難した人々に新たな場所への移動を強要するなどやりたい放題。苦難を与えることが狙いになっている。
    3.ハマースとガザの民衆
    本の後半は、ハマースと民衆の間のズレが取り上げられている。
    土井さんは、問題の根源がイスラエルによる占領であると分かっていても、10.7の越境攻撃は間違いだと思っているようだ。ジェノサイドを引き起こすほどのイスラエルの攻撃にさらされたからだ。しかしそれはどうなんだろう。この本がM氏の情報に頼っていることが影響してないだろうか。
    苦しむパレスチナ住民の中にハマースへの怒りが育つのは理解できるが、では、どうすればいいというのだろうか。ハマースがいようがいまいがパレスチナ人を殺し尽くそうというのがイスラエルシオニストの目的ではないか。
    難しい問題だが私はハマースに心惹かれる。

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    2026年02月03日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    今、パレスチナで起こっている事を、数字や、他国のメディアでの情報ではなく、現地にいる人の声を聞きたいと思っていた。

    だから、「死と隣り合わせの日々を生きる人びとの声を伝える」という表紙の文言に、迷う事なく手に取った。

    発言について検証できていないとあったけれど、Mさんは、根拠のない情報ではなく、ジャーナリスト、研究者として、多くの情報源を元にした情報を我々に伝えてくれた。中に出てくるインタビューされている人たちも、代表者ではなく、そこで生きていかざるを得ない人、一人一人の想いであり事実である。

    イスラエル、ハマス、欧米諸国に思うことは多々ある。
    明日を楽しみに待つことはなくとも、明日に恐怖や不安を感じない日々をパレスチナに。

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    2025年01月04日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    ネタバレ

    土井敏邦監督の、映画ガザからの報告を映画館で見て、このブックレット購入。映画の最後は、ガザに入ることができない土井敏邦監督が、Mさんというジャーナリスト、研究者とのメッセンジャーやり取りで得た情報、映像で締めくくられている。映画を見たのは2024年11月。このブックレットが出たのは2024年7月。
    Mさんとのやり取りで食料がない、薬がない、水がないというのがすでに1年以上前の2023年10月の話で、10月7日のハマスの行動に端を発したイスラエル軍のガザ攻撃はすでに11月27日までに15,000人のガザ市民を殺しており、この時点でMさんは、この戦闘ですでに殺されたかこれから殺される人たち、と、飢餓で死んでいく人たち、の二つのグループにガザ住民は分類できると述べている。
    そして同じ頃、自殺者も増えるだろうと。
    ここからすでに一年たち、戦況、といっても圧倒的一方的な軍事力をもつイスラエルがハマスと言わずガザ住民を殺戮し街を破壊しつくしている。
    1年以上経過してまだガザが存在していることが不思議なくらいの過激な攻撃、それを支援して恥じない英米独、、日本も加担。Mさんの家も砲撃され破壊し弟たちが亡くなる。全てのガザの家で、住民におきていること。淡々と状況を語るMさんの証言。これを今流行りの、意地悪いまでの[検証]などする必要ないくらい、詳しく淡々と語る現実、今一刻を生き延びたい、子どもたちを死なせたくないという魂の叫びがきこえる。
    夜、本を読む明かりも電気もなく、インターネットもなく、夜できることは、思い出の廃墟で泣きノスタルジーに沈むことだけだ、とMさんのコラム。
    残酷なイスラエル軍の攻撃、
    残酷な気候、暑くも寒くも人を疲弊させ雨風は即席資材不足のテントを直撃、
    飢餓の猛威、飲み水すらない。
    1948年のナクバは小さなナクバと思える、今が本当のナクバだと言うのだ。
    このブックレット全てを書き写して覚えて唱えたいくらい、引き裂かれる思いしかない。自分の言葉は出ない。
    後半のハマスについてのMさんの考察、意見、土井さんとのやりとりは貴重だと思う、そして、なにも言えないしわからない、私たちが口出ししできることではない。それでも私がいつも思うのはパレスチナの人々にはいかなるときも、レジスタンス、抵抗、闘争、帰還する権利があるということ。
    最後の20ページ余は読むのが息苦しい。崩壊したガザの価値観、社会、団結。モラルの喪失。これも辛すぎる戦争によりガザの人々が分断されているということ。
    そして、イスラエルという大きな敵の存在が、ハマスにいかに不満が集まり嫌われても、住民をハマスの下に団結集結させる、というパラドクス、、、
    土井監督や本書にでてくるガザの人々のハマスに対する考え、怒りは理解できる、でも、私たちは外部のものとして、イスラエルの占領植民地支配アパルトヘイトが根源的な原因だということに依拠してここからできる戦いと支援をすべきではないだろうか。状況悪化という変化しかない、1年と1ヶ月が経過したということへの虚無と悔しさと怒り。一日1時間1分でもこの不公平な戦争を止め1人でも多くの命を繋ぎ留めて、と祈るしかない。貴重な記録、証言、ブックレット。読むことしかできない自分が虚しい。

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    2024年11月04日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    浮かれてる場合か!( ゚д゚ )クワッ!!

    岩波ブックレット1096です

    はい、今なおイスラエル軍からの攻撃にさらされるガザ地区に住む現地ジャーナリストの「報告」をまとめたものです

    まさに、現地で何が起きているのかが詳細に「報告」されております

    8/15のハマス側の発表によるとパレスチナ人の死者は4万人を超えたととのことです

    とんでもない数字です

    しかも今なお住むところも食べるものもない生活を何十万という人々が強いられている現状があります

    また、この苦しみの中でハマスは民衆の中で急速に支持を失っていることも「報告」しています


    どうすればいいんだろうね?

    とりあえず今自分がアホみたいに本が読めてることに感謝する気持ちが生まれてたりするんだけど、誰に何を感謝すればいいのかも分からん
    神に?なんか違うな〜

    そして、このとんでもない地獄を遠い海のはてから眺めて「自分はこんなことにならなくて良かったな〜」って思うことに罪悪感を感じてしまう
    でもそれもなんか違うな〜とも思う

    「あー良かった」と思っていいと思う
    だけどその「良かった」を何とかしてガザ地区の人に分けてあげられないかな〜なんてことを思った一冊でした



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    2024年09月14日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    ネタバレ

    パレスチナは第3次中東戦争から57年、イスラエルに占領されている。また、ガザ地区は四方の壁に囲まれ、外やモノの往来を厳しく制限されており、次第に「天井のない監獄」と呼ばれるようになった。ハマスはイスラエルの植民地主義支配・占領と戦うために生まれた組織だったが、2023年にイスラエルの音楽祭で約360人を無差別に射殺というテロを起こした。イスラエルはハマスに報復し、ガザのインフラは崩壊、全人口の65〜70%がホームレスになり、住民たちは飢餓で苦しんでいる。ハマスのテロは法的・倫理的問題があり、占領に対する抵抗暴力ではなかった。故に、欧米諸国はテロが起きてすぐ被害者イスラエルを支持した。責任はハマスの最高指導者ハーニカにあるのは確かだ。イスラエル・ネタニヤフ首相が今後どうハマスに対応していくのかは予測できない。ハマスをパレスチナ分断のため利用したこともあるからだ。たとえ戦争が終結しても、ガザ地区の生活基盤の再建には2,30年はかかるとされる。占領の事実を黙殺してきた諸外国はこの現実を受け止めどう行動すべきか考えなければならない。

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    2024年08月25日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    「今」ガザで何が起きているのか。
    少しでも気にかけている人であれば、想像を超えるような内容では、無い。それが恐ろしい。今ガザで起きている事柄は報道されているのにも関わらず、(あえて言うが)世界のなんと無関心なことか(私も含めてだ)。
    世界に平和など永遠にこないであろう。
    だが、だからといって、それを諦めてよいはずも、ない。

    果たして、5年後、10年後、50年後、100年後、1000年後の「今」のガザでは何が起こるのか。

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    2024年08月22日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    非常に難しい問題。戦場へ向かうジャーナリストの主張も分かるし、それを引き止める側も理解できる。リスクを冒した報道がなければ、「世界を見る目」は失われていくだろうし、世界情勢から目を背けてはならない点は大いに賛同。政府が必要以上に干渉や行動規制をかけることにはジャーナリズムの観点からも批判的であるべき。ただ現地での安全が十分に確保されているのかどうかも重要な点で、時に周りが止めることも必要になるとは思った。いずれにせよ、迷惑とか自己責任とかそんな簡単な言葉処理する問題ではないと認識。

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    2022年03月04日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    2015年年初にフリージャーナリストの後藤健二氏らがISに拘束・殺害されたことをきっかけに高まった、危険地域の取材・報道に否定的な世論に対し、危険地域報道を主たる仕事とする現役のジャーナリスト10名が、その意義や自らの体験、更に今後の在り方などを語ったもの。
    執筆者は、2014年にジャーナリストとして世界で初めてISの拠点ラッカを取材した(同時に、拘束されかけた)報道カメラマン・横田徹、世界的な映像ジャーナリスト・綿井健陽、フリージャーナリスト・土井敏邦、アジアプレス大阪オフィス代表・石丸次郎らである。
    まず、「なぜ、ジャーナリストが危険地域へ行く必要があるのか?」については、「(紛争における)ジャーナリズムの使命は、紛争当事者(国)の発表ではわからない、現地で起こっている真実を世界中の人々に伝えることである。それにより、当該紛争にどのように対応するべきかを、人々が客観的に判断する材料を提供することである」という主張で全員がほぼ一致する。
    そして、当然ながら次には、「なぜ、“日本人”ジャーナリストが行く必要があるのか?なぜ、世界的な巨大メディア(ロイター、AP、CNN、NYタイムズ等)の取材・報道ではダメなのか?」という疑問が湧いてくるが、これに対する答えは、いくつかに分れる。大勢は、「イラク戦争後の自衛隊のサマワでの活動のような事象は、他国のメディアで取り上げられることはほとんどなく、日本の関心事については日本のメディアが取材・報道することが必要」というものである。
    しかし、私が印象に残ったのは、もう一つの少数派の主張で、それは、世界各地で起こる戦争や大惨事も “日本人絡み”でないとメディアは詳細に伝えず、国民も関心を示さない日本の現状に問題を提起し、「日本人が他国の出来事を“同じ人間のこと”として捉えられるようにするために、日本のメディアが日本人に共感できる感覚・切り口で“同じ人間のこと”を伝えることが必要」というものである。私は常々、他国で起こった事故などの報道の際に、日本人の死傷者の有無を殊更に伝える日本のメディアに違和感を覚えており(もちろん、自分の知人が巻き込まれていないかを知る上で大事な情報ではあるが)、この主張には強く共感する。
    更に、ジャーナリストの取材中の死について、そのリスクをどのように引き受けるべきなのか、メディアはその事実をどのように報道するべきなのか、残ったジャーナリストはその事象をどのように検証してその後に活かすべきなのかなどについて、それぞれの執筆者が語っている。
    ジャーナリストのほかにも、本書でも取り上げられている国境なき医師団などの医療関係者、外務省スタッフ、インフラ関連企業・商社の社員など様々な人々が危険地域で活動する現在、日本人として為すべきことは何か、そのためにどのような対策をとり、どこまでのリスクを引き受けるのかを考えさせる一冊である。
    (2016年1月了)

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    2016年01月11日
  • ガザからの報告 現地で何が起きているのか

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    書名のとおり、ガザの友人の記者からの情報をまとめたもの。

    ハマスとガザの人々との複雑な関係が描かれているところが、自分にとっては新しい視点であった。

    確かにハマスは悪んだけど、それを生み出しているのはイスラエルだしね。。。

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    2025年01月21日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    戦場やテロ、災害地など危険な場所に自ら深くまで入り込み、最前線の実態を見続けるジャーナリスト達。日本でも稀にニュースで彼らが拘束されたり、殺害されると大きなニュースになる。一時期イスラム過激派に拘束されて殺害されたジャーナリストの報道では、多額の身代金が要求され、世論は自己責任で行う行為に、何故国民の血税で彼らを救わなければならないのか、といった風潮が沸き起こった。私も心のうちでは何処かそうした想いがあった様に記憶している。本書を読んで果たして同じ気持ちのままいる事ができるだろうか。
    世界各地で未だ止まない紛争や自然災害。誰もがその実態がどうなっているのか、今現場で人々がどの様な状況に陥っているか知りたがっている。大半は欧米メディアの伝える報道や、現地のテレビ、ニュースメディアの流す映像を、時には邦人カメラマンの撮った映像・写真などから想像している。それらは画像という意味では真実に限りなく近いであろうが、一緒に掲載される文章はそのまま真実として受け入れてしまって良いものだろうか。実際にイスラム世界が流す報道と欧米メディア、ロシアとウクライナでは同じ映像でも違った見方、表現で流しているのを、インターネットで繋がれた世界で同時に見ることができている。
    流す側、報道する側の立場によって、映像や写真は如何様にでも変わる。真実は自分の目で見て話を聞く以外に無いのが現実だ。危険地域に飛び込むジャーナリスト達は何を目的に死の危険を伴う現場を訪れるのか。歴史的な現場を収めれば確かに巨額の金にはなる。だがそれだけで死地に飛び込むことができるのだろうか。
    本書はそうした危険を犯しながらも、真実を伝えようとするジャーナリスト達の何故に迫る一冊だ。だが確かに本書すらも真実であるかはわからない。本の売れ行きにも利益がつきまとうからである。だが読み終わった瞬間に、彼らがそれぞれ様々な使命感やリアルな感情によって動かされていることを知る。表面に見えている映像だけでなく、その背景にある「構造」を知るために彼らは危険を顧みず現場にいる。そこに至るまでには国家権力との戦い、言葉の壁、現地の真の情報、ゲリラが構える武器、そして必要となる資金、様々な困難を乗り越えてようやく目にすることが出来ても、そこで命を落とす者も多い。
    それでも尚追い続ける姿勢には、感動や衝撃以上の何か特別な感情を抱く。自分には無い何かが彼らを支配し突き動かしているという事実。
    私にそこまでして相対する物事が、取り組む仕事があるだろうか。自分に対する疑問が湧き起こる中、いつしか彼らに対する尊敬の念すら起こっている。理由はどうあれ、彼らの生き方、考え方に触れて刺激を受ける事は無駄では無い。

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    2023年09月01日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    日本では拘束等が報じられると自己責任論が前面に突出し、半面万一不幸にして亡くなれば、英雄視といったワンパターン報道になり、戦場に何故ジャーナリストが向かうのか、その戦場の現実はどうなっているかなどの本質論は捨て置かれている現状がある。
    10人のジャーナリストの生の体験と声を聴くことで、その心理をある程度理解することができる。
    ただ、拘束拉致された場合の国や住民側の対応についてはほとんど触れられていないので、その辺の本音も聴ければなお理解が深まったかもしれない。

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    2016年03月13日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    10人のジャーナリストによる共著で、一貫性を持たせているというよりは、それぞれの体験や主張が展開されていて、各自のジャーナリストとしての個性が見える。
    ただ、内容的には不満が残る。著者の多くが、外務省による旅券返納命令事件を取り上げ、取材の自由の侵害や政府による都合の悪い情報の統制であると問題視している。また、その契機となった「後藤さん事件」に対するマスコミや世論の自己責任論やジャーナリストへの批判に違和感を表明している。確かに、そういう側面もあるのだろうが、「ジャーナリスト」特有の政府批判、批判をしてもあまり非難を受けるおそれのない主張に聞こえる。それよりも、こういう場面にあって、一般の読者が知りたいのは、リスクを侵して危険地域に入ったジャーナリストが拘束され、人質となって、身代金や日本の政策変更を要求されたときに、政府や国民がどうすべきか、どうしてほしいのかについて、ジャーナリスト側の意見ではないだろうか。人質を盾にした要求には一切応じないという国ならともかく、日本は、人の命は地球よりも重いとして、超法規的措置で犯罪者を釈放するような国だ。人質救出のために、大臣やら副大臣やらが現地入りし、また、政府の対応について一々国会で議論になったり政治問題化して、国全体にとってもっと重要な政策課題が停滞したりするコストまで考えれば、自己責任論が出てきてもおかしくないと思うのだが、そこで日本という国がどうすべきなのかについて、本書では誰も何も言っていない。そういうことに思いが至っていてないのか、それとも、これに関する主張をすることを逃げているのか。
    本書については、このような不満があるが、土井敏邦氏が、ジャーナリストは一種の生業で、真実を伝えたいという純粋な気持ちの一方で、スクープを取りたいという色気があるのも事実であると告白していることは高く評価したい。また、玉本英子氏の誠実なジャーナリストとしての姿勢も、「旬の現場」や特ダネを追って危険地域を駆け回る「戦場ジャーナリスト」とは異なり、地道な取組みに共感を覚えた。

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    2016年01月24日