エイミー E ハーマンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読むだけで、目が新しくなる。
観察、分析、伝達、応用、の4部にわけて、観察するとは何か、を抽象的な理論と具体的な事例を交えて解説する。
観察力が高いと、ホテルの石鹸が廃棄されていることに気づける。その気づきが発展途上国の衛生面を向上させることにつながる。観察力が低いと、客観的事実ではなく主観的な意見に基づいて行動してしまい、最悪の場合罪のない人を傷つけてしまうケースに発展することもある。
見えないものが見えるようになるだけでなく、見た事実を伝える時の言葉選び、観察力を日常にどう応用していけば良いか、も本書で構成されているのが個人的に好きな部分。
アートにはあまり興味がなかったがこの本は楽しめたし、この本を通して美術館に訪れたいという思いが強くなった。 -
Posted by ブクログ
アートは観察力を磨くのに最適である、待ちゆく人を観察して予測しても、答え合わせはたいてい出来ない。一方、アートなら、どのような意図を持っているか、情報などを予測して、答え合わせまで出来る。観察の最適な練習素材である。
アートは人によって見え方が違う。アーティストが特定の感情や風刺を込めなくても、鑑賞者がそれを感じ取ることがある。この時自分と異なる見方を受け入れることが出来れば、知覚の差を埋めることが出来る。知覚フィルターの存在を知っているだけでも齟齬や誤解を避けられるし、他人が自分と同じように見ないことに腹をたてずにすむ。事実、他人は自分と同じようにものを見ない。同じように見るはずがない。あなたの見方は、あなただけのものである。
ものを見た時の感じ方は経験に影響される。経験は知覚フィルターの基礎である。
事実を追求する時は、主観的な意見と客観的な意見を区別することが大切だ。
よくある知覚フィルターとして
見たいものを見るというものがある、確証バイアスなどが細かな印象を変える。
見ろと言われたものを見ることなどがある
ものを見る前に情報を与えられると、事実をそのまま理解しづらくなる。物事を正確に理解するには、できるだけ多くの情報を集め、できるだけ多くの視点で見ることが大事だ。得た情報を整理し、優先順位をつけ、意味を解読する。タイトルや箇条書きなどはあとでいい。
まず自分の目で見る→既存の情報や意見を参考にする→もう一度、自分の目で見る
で良い。基本は自分の目で見ることが大切である。2度見ること!
変化に気づけない
変化盲とも言われた、たとえば毎日木は変化しているが少しずくのため気付かないなど、少しずつの変化には気づきづらい。
自分が色眼鏡をしていると気づくことで色眼鏡が外せる。
情報の山から裏付けの取れた事実だけを抜き出すには、実際の経験、観察に基づいて確かめた事項である事実を集めなければならない。ものを見る際はポイントとなる情報があり、誰が関係していて、何が起きていて、それはいつ、どこでおきたのかを把握すると全体像がつかみやすい。
状況を正確に理解するためにはできるだけ多くの客観的事実を集めなければならない。
些細な情報を見逃すのは、こうあるべきという期待が強すぎるから。
細部の情報を見つけられるようになったら、細々としたことにこだわるあまり、全体像を見失わないように注意する。
説明の際は「絵を描く」ように説明する。その際にカンバスが真っ白だということに気をつけるべき。他の人には自分が書いた線や色しか見えない。
物理的視点を変えるのも観察において重要。
五感を使って観察・分析することも大切、吸収できる情報が増える、たとえ絵であっても、五感というフィルターを通すことで情報を吸収するための取っ掛かりになる。
他者の視点に変えてみるというのも観察・分析するうえで重要、人の視点を使うことで読み取れる情報が借りた人の視点×分だけ増える。具体的手法として有名人の視点を借りるというのも有用、有名人の視点を使うことで自分にないしてんで観察・分析出来る。
自分の世界について誰かに説明する時は、当たり前と思っていることも省かないように。情報をもれなく伝えるために次の質問をすべし
・省いた情報はないか?
・私にとって当たり前のことはなんだろう?
・違う世界からきた人が、私の世界について知らないことはなんだろう?
観察して情報を集めるのも大切だが、その情報の優先順位をつけるのもまた大切。集めた情報の中から重要度の高いものを抽出するために有用な三面アプローチというものがある。「私は何をしっているか?」「私は何を知らないか?」「私は何を知らなければいけないか?」というものである。最小限の手間と時間で答えを得るためには、1番多くの解が得られそうな疑問に集中すべきである。
情報に優先順位をつける時は、緊急度と重要度に気をつける。
優先順位はその人の人となりを雄弁に語る。情報の優先順位は自分という人間を反映している。観察結果を伝える際は、特定の情報がどうして優先度が高いと思うのか、説明できるようにしておくと良い。
メッセージを確実に届けるために、3つのRという考え方がある。
リピート 口頭で繰り返してもらう、もしくは、聞き手に対して、難しい点、簡単な点を聞き理解を深めさせる。
リネーム 名前を変えて伝えたいことを伝わるようにする。
リフレイム 認識を変える、視点を変えるメッセージを入れる。
不快な内容を伝える際は、思ったことではなく、見たものを伝える。
突きつけられた事実があまりに惨たらしかったり、信じられなかったりすると、人は情報を遮断する。心理学ではこれを「意図的盲目」と呼ぶ。
感情にのまれて論理的に考えられない時は、観察で使ったポイント(誰が、何を、どこで、いつ)を使って状況を整理。
不快感や嫌悪感を感じたら、主観的なそれらの感情を吐き出すことも重要、そうすれば冷静に客観的な分析を始める事ができる。
白熱した議論で、苦境に立たされたときにも3つのRが役に立つ。
リピート
自分の発言を復唱して伝わったかどうか確かめるのにも使える。議論が白熱した時には、相手の発言を繰り返すことで白熱した議論をおさめる。互いの考えを繰り返すことで、互いに対する理解を深め、相手がどのように世界を見ているかについて理解を深めれる。
リネーム
責任のなすりつけ合いから逃れる方法として、名前をつけ直すという手がある。全部ひっくるめて名前をつける。そうすることで解決策、再発防止策などこれからのことを考えられる。
リフレイム
懸念事項は、角が立たないように質問として投げかけると良い。一方が問いかけ、もう一方が答えるので必然的に会話が成立する。質問にすれば、相手に選択肢と逃げ場が提供できる、自分自身も誤った情報や憶測に基づいて結論を急がずにすむ。
感情に支配されそうになった時は、冷静に主観情報と客観情報を分けて考えてみる。
バイアスを上手に利用する3つのルールとして、
バイアスを自覚し、悪いバイアスは排除する。
バイアスと事実を混同しない。バイアスは、事実を見つける道具と心得る。
バイアスは事実の裏付けにはならず、経験や感情から生じるバイアスがあると、一方が他方よりも好ましく見える、しかし、それはどちらが正しいとか優れているという根拠にはならない。バイアスは、視野を広げるための基準点と捉えると良い。
結論を第三者に聞いてもらう。
自分のバイアスは身近すぎる上、無意識の領域にあって捉えづらい。第三者に確認してもらう。自分が導いた結論を他者に話して、役立つかどうか確認する。バイアスを上手く利用する。
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Posted by ブクログ
アートを観ることを通して観察力や注意力を向上させるという本。実際にFBIその他の研修もやっていて効果があるのが窺えるし、自分自身も見てるようで見ていないことが多々あるのを実感。
まずは観察。人が気づかないことに気づけるか。フィルターを意識し、憶測はせずに見たものを見たままに認識する。
次に分析。現場へ行き、五感を活用し、他者の意見に耳を傾ける。
そして伝達。見たものをそのまま描写するのは実は難しい。意識的に客観的な表現に徹し、思ったことではなく見たことを言葉にする。聞き手のことを考える。
また美術館に行った時に見方も変わってくるかなと思う。 -
Posted by ブクログ
星4.6
刑事系探偵小説における観察力について考えている時に、当時発売されたばかりの『独学大全』に言及があったのをみつけて手に取った。
日々の観察の前提を変えさせられる内容だった。まず (1) 目の前に鎮座してあるはずのものを正確に漏れなく言語化することの、"思った以上の"難しさを知ることができた。次に、(2) 見えているものを"正確に、客観的に(主観的な価値判断になりうるまのを廃して"言語化することの難しさを思い知らされた。そして、(3) 見えるものに対して道徳的に「見てはいけないかもしれない」「考えてはいけないかもしれない」要素が含まれていたとしても、なお客観的描写の水準で言葉にすることをやめる必要はない、ということを学ばされた。
(3) を特に意識させられたのは、ヒエロニムス・ボスの地獄絵を言語化する時だった。ボスの地獄絵には、口にすれば卑猥で反道徳的な内容も含まれる。それでもボスの絵は確かにそこにある。ならば、言語化できないわけがない。そういう意味で絵画は常にそこに在る。
こうした思考プロセスを辿らせることで、この本は、自分が普段「見てはいけない」「見つめてはいけない」と思っていたものへの盲目状態を緩和してくれた。たとえば自分は、道ゆく人をあまりジロジロと見ないようにしていた。しかし、特に好奇の目線で見ないことを自分自身理解しているならば、別に道ゆく人はそこに「在る」わけで、努めて見ないようにする必要はどこにもない。そう考えられるようになってから、若い女性がバッグに提げるマタニティマークや、片足を引き摺っている壮年の料理人、シャツのヨレたスーツ姿の男性、人の鞄の糸のほつれ、などが、ただそこにあるものとして、眼に飛び込んでくるようになってきた。それらは自分が「見ないようにしてきた」頃から、既にそこにあったのだ。
読書によって自分の技能がすぐに変わるというのは多くの場合都合のよい幻想に終わることが多いけれど、少なくともこのハーマンの本は、数少ない例外に属する本だろう。何か見逃しがちな物事について目星をつける技能に、読み手がこれまで蓋をしてきたというのなら、その蓋が外れる。眼から鱗が取れた後のような世界を、読んだ後すぐに経験できるだろう。 -
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世界の見方が一気に広がる。
「見える」じゃなくて「見る」を徹底する。主観を排除し、客観的に。自分が日常的に色々なことを見落としてることを突きつけられる。
木を見て森を見ないこともあれば、森を見て木を見ないこともある。
それらを集約的に我々に伝え、啓蒙してくれる存在がアートだ。幸いにも美術史家の業績によって、我々はアートであれこれ考えたことの、ある種の答え合わせが可能。
アートを眺めながら、日々「見る」姿勢で過ごしてみる。道端に生えた一本の花もしっかり「見る」ことできっと日常がより一層色鮮やかになる。
日進月歩ではあるだろうが、きっと大きな閃きへと繋がるはず!
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社会で活躍していくためには違いを見つけることが大切で、それを磨く方法の一つが"客観的な観察力"である。
観察力は、すでに答えが分かっている、美術作品を観察することで鍛えることができる。と冒頭で述べ、様々な分野の芸術作品から、適切に観察する方法を伝えていく。
観察、分析、伝達、応用の4ステップで展開することで、ただ見るだけでなく、伝えるところまで書かれているところがこの本の特筆すべき点だ。
また、途中に、実践編として、作品から読み取る課題がいくつもある。大切なことを噛み砕いて伝えながらも、頭でっかちにならないように、使える知識になるように工夫が施されている。
観察力を鍛える上では、理論だけでなく、実践を伴って、少しずつ鍛錬していかなければならないことが、身に染みて分かる。そして、いかに自分は見ただけで、観察をしていないのかも…。
特に揺さぶられた箇所は、絵に何が足りないかを考えるところ。観察と言われれば、描かれているところばかりを見てしまうので、この視点を知ったときは、思わず目を見開いた。
観察力を磨きたい人にはもちろん、感性で絵を見るのもよいことだが、もう少し別の視点で捉えてみたい、と考えている人にも是非勧めたい。読み終えたあと、美術館で過ごす時間は倍以上になること間違いなし。 -
Posted by ブクログ
個人的には久しぶりの趣味の読書のカテゴリーに入る本。
この本では芸術作品を題材に、多様な物の見方、特に他の人の視点を考える事にフォーカスが当たっていたと思います。つまり、名画をこう見るべき、作者はこう言う意図で作ったと言う形ではなく、どう見たら良いのだろうか?と考える事を推奨していた様に思います。そして、ただ多様な見方が存在する事だけに注力するのではなく、多様な見方がある事を認識しつつ、発生した問題にどう対処すべきか、矛盾にどう対処したら良いか、ミスに対してどう対処したら良いか等、答えを自ら(もしくは周りの人と)導くための手引きが書かれていました。
著者は、美術史家で弁護士のエイミー・E・ハーマン氏で、美術作品を使用してビジネスマン向けの課題解決のセッションをこなしている方。
名画の見方そのものや歴史的背景等を学びたい人はこの本の想定読者では無いと思います。
スマホのニュースやSNSは、知らず知らずのうちに自分の視野が狭くなるので、ふと我に返りたい方なんかが読むと良いのかも知れません。
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Posted by ブクログ
絵画を通じて観察力を磨く技法を身につけるための本。
ここで言う観察力とは状況を俯瞰的に、詳細にそして客観的に捉え分析し、適切に言葉で表現することまでも含んでいる。つまり、目で捉えた情報を自己完結させるだけでなく、他者に正確に伝えることまでをも射程に入れている。観察するのみで伝える技法をなおざりにしては、生死をも左右しかねない重大な局面の判断の成否を決めかねないからだ。
このような観察から分析、伝達までの一連の過程で鍵を握るのは、いかに客観的でいられるかであるように思う。絵画を観察するにしても人によって注目するポイントや絵から感じ取る印象が変わるように、人間にはその人の経験や文化慣習、思想などから由来する認知の偏り、バイアスが存在している。自分自身がどのような場面で、どのような思考に囚われやすいか、何に着目しやすいかを知った上で、それらを一度傍に置いて目の前の事実を捉える訓練をする。その練習として、この本を読んだ後に美術館に行くのも面白いだろう。 -
Posted by ブクログ
アートについての本やと思ってたら、それよりも考え方の本やし、心理学的でもあるな。
仕事に使えそうな考え方が書いてあったり、外国で起こった出来事とか事件について知れて、それを観察力と絡めてるのがおもしろい。
現実世界での困難には、難解なアートを見た時と同じように対処する。
この視点で自分の仕事に取り組んでみると、それだけで今までと見える世界が違う気がした。仕事でお客さんからのクレームの電話を受けることが多いけれど、その際に、まず事実をじっくり聞き、情報を客観的に理解する。そして相手に伝わりやすいように優先順位を付けて具体的に話す。主観を交えるのではなく、事実だけに注目することが大切と学んだ。