速水敏彦のレビュー一覧
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他人を見下すとはどういうことか。例えば、モンスターペアレント。我が子には全く非がなく、教師の方に間違いがあると一方的に決めつける態度。そういった、「自分は何も悪いことを行っていない。ただ他人の考えが間違っている」という態度をもつ人の増加がなんとなく増えているなと思い、手に取った一冊。
仮想的有能感という言葉は初めて聞いたが、面白い考えだった。自信の経験や実力に基づかない有能感。また、他人叩きをする心理に対して、他者を低く見下すことで自身を相対的に高く感じられるような心理と述べているのは、興味深い。このような現象の背景に、本書は教育のあり方まで話を広げる。良い点を評価しない、競争を行わない教育により子供は自分の長所を見つけづらくなるというような論調。
面白い本だったが、後半はあまりにも筆者個人の理想とする生き方のようなものが押し付けられているような感じがして残念。データを元に、客観的な分析が行えているだけに。
もっとも印象深いのが、映画「ライムライト」について語る部分。他人の幸せを願い、自らの利益を失う、その際に感じる感情を真の悲しみと言っていた。
そういった、悲しみの減少があると言っていた部分は非常に興味深い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ仮想的有能感に浸ることで、恵まれない人生に充足感を得ようとする、他者の価値を下げることで自分の評価高を求める。本書はそのような傾向は中高年にもあると書いてはあるが、なにぶん,タイトルが刺激的なために誤解を与えやすい。
あと、ピーナッツのルーシーとチャーリーの引用例や女性のみの被験者のデータについて触れるなど、不当に若者、子ども、女のみ貶めている印象も否めない。
データのみとってきて分析しているが、ではその仮想的有能感から逃れるためには、という解決策を示さないあたり、典型的なダメな教育学の本。
…というふうに批判すると、仮想的有能感と言われるのだろう。
読んで無駄というわけではなかったのだが、参考文献リストぐらいつけてほしい。あとこの手の社会批判本は、ほんと著者の人格次第で読み手に不快になるか、ならないかが分かれると思う。
若者がキレやすいのはネットやゲームだけのせいでなくて、昔の若者よりもがんばっても報われないことがわかりきっているから。大人は子ども若者批判をする前に夢を与える生き方をしなくてはいけないのだが。 -
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第1章 感情が変わった
第2章 やる気が低下する若者たち
第3章 他者を軽視する人々
第4章 自己肯定感を求めて
第5章 人々の心に潜む仮想的有能感
第6章 自分に満足できない人・できる人
第7章 日本人の心はどうなるか
という構成。
第1章では子どもの様子から感情の変化について述べている。
怒りを感じ表出しやすくなった。悲しみにくれ、喜びにくい、感情を表出しにくくなったなどの変化を様々な文化的側面(歌、映画など)からも考察する。
第2章では、やる気がもてず、自信をもてない若者が増えていることに警鐘を鳴らしている。
また、若者が集団を好まない傾向にもあると指摘する。
第3章では、親が過度に教師に主張したり、傍若無人な若者が増えていると述べている。自分のことだけに感心をもち、他者を軽く見る人がいるからこそ社会的迷惑行為が増えるという。
第4章では、自分自身への感心の集中と肯定的感覚、さらにその考えを維持したいという欲求から、自己愛的性格が浸透していると指摘している。
第5章では、他者軽視と仮想的有能感のメカニズムを解き明かしている。本人の意識されないところで仮想的有能感が形成されると、他者軽視という態度や行動が表面化する。
第6章では、仮想的有能感と自己愛的有能感は別とした上で、有能感を4つのタイプ、年代別
に分けて考察する。
第7章では、仮想的有能感が今後進むとして、それを断ち切る方法として、しつけの回復、自尊感情の強化、人との触れ合いを提言している。 -
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ネタバレ自分の自己中は許して欲しいのに、
他人の自己中は頭に来る。
そんな人は、他人を見下しているとな。
統計やアンケート結果には根拠がないし、
ずいぶん偏った(批判的な)意見ばかりが取り上げられていたが
自己中を自覚している身には耳の痛い話が多かった。
以下、気になった文章の転記
・今の子供は怒られた事に対して被害妄想がある。
・怒りを感じても関係が壊れるのが怖くてぶつかろうとしない。怒りの感情の出し方がわからず、物を隠したり仲間はずれにしたりしてしまう。
・代わりがすぐに手に入るから、あきらめが早い。悲しまない。努力しない。
・エスキモーのある種族は怒りの感情がない。悲しみという言葉がなく孤独という意味の言葉があるだけ。
・人から注意を受ける⇒低く見られた⇒怒り
・自分の長所と短所が言えない。⇒昔は集団で遊ぶことによって比較し、自分が何に優れて何に劣っているかが自分で分かっていた。⇒絶対評価によって比較が出来なくなった。協調性がないこと(自己中)も個性とみなされざる負えない風潮。
・親の問題行動
①担任がハズレ(世話になっている発想がない)
③家族旅行で学校を欠席
・罪悪感が薄れているのは、地獄に堕ちる、閻魔様などという怖い話を聴かされなくなったから。
・ホームレスへの対応
・ピーナッツに見るルーシーとチャーリーの性格
・プライドが高くて他者に助けを求めない自分の弱さを露呈したくないので。劣等感に目を向けず他人を見下すことで優越感に浸る。
・甘やかされすぎる事によって生じた自己愛への危険
★(a自尊感情)の高低×(b仮想的有能感)の高低
a自尊感情…自分は優れている
b仮想的有能感…他人軽視
①仮想型(a低×b高)クレーマー
②全能型(a高×b高)傲慢社長
③自尊型(a高×b低)人望社長
④萎縮型(a低×b低)欝傾向
・冷めている・熱くなれない理由⇒努力なくして成功することがカッコいいと考えている。自分自身の努力の経験が乏しい。
・自分の失敗を認めたくないから、先手を打って他者をバカにする。
・自己中を防ぐ⇒勉強だけしてればよいというのは× 積極的に家の仕事を分担させ、社会で生きる事、自分の役割を教える。どんなに小さいことでも習慣化させることが大切。
自己中の私が、子育てなど出来るだろうか。
これは、自分が自己中だと自覚した中学生からの悩みでもある。
自分が当たり前だと思っていたり、いいじゃんいいじゃん
と思ってやっていたことが自己中だったということに
指摘されて初めて気づくことが多い…
最近、自分が怖い。
自分を客観視出来ていない事ほど怖いことはない。
楽観主義すぎるのも、考えものだと考えさせられた一冊。